小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#107 ガイの決意




























場所は変わり、




【グランコクマ】





平和条約を結ぶ……。

その約束をしてくれた事をピオニー陛下に伝えるためだ。

「そうか。漸くキムラスカが交渉する気になったか。んで?何処で会談する?」

いつもと同じ変わらぬノリでそう聞く。

「本来ならダアトなのですが……。」

ジェイドは口ごもる。

ダアトは中立の立場にいるのだが、今は違う。

「今は不味いですね。モースの息のかかってないところが望ましいです。」

イオンがそう付け加えた。

モースが戦争を望む以上。

その根城でもあるダアトでは妨害される危険だってあるのだ。

「ん………。」

アルも腕を組んで考える。

で…… 1つ。

思いついた!

「そうだっ!ユリアシティではどうかな?ねえティアっ!」

アルがティアの方を見てそう聞く。

「え?……でも 魔界よ?良いの?」

ティアが少し驚きながらそう聞き返した。

「それは良い考えだとオレも思うぜ!その魔界に降ろす外郭大地を降ろそうとしているんだぜ?それに瘴気の事もあるし……。寧ろこの際叔父上達に魔界の状況を知ってもらった方がいいと思うんだ。」

「あ……そうね。」

ティアは……笑顔になっていた。

自分の故郷を知ってもらう……。

良いことだと……本当に思った。



「良いトコ……だよ?オレはそう思う。」


ティアに耳打ちをする。

「え……っ//?」

ティアはアルの顔を至近距離で見てしまったから…

思わず赤くなる……。

「綺麗な花だってあるし……。ティアが育った所でもあるからね……。」

そう言って微笑んだ。

「あっ……///ありがと……//」

ティアは……必死に周囲に気づかれないよう……声を小さく……小さく……していた。




「悪くないですね。では陛下。魔界の町にご足労願います。」

皆もティアとアルの話は聞かれてなかったようだ。

まあ、ジェイドだったら 聞いているかもだけど、今は茶化すわけにはいかないんだろう。


全てが決まり……。

そして、陛下も立ち上がる。

「何処にだって行くさ。ケテルブルクに軟禁されてた時を考えたら何処でも天国だぜ。なぁ?ジェイド?」

「あははは………。」

アルは思わず苦笑い。

この陛下からしたら……軟禁……なんて正に地獄だろう……。

わかる気がする。 苦笑

「ん……?」

アルはふと周りを見渡したとき違和感を感じる。

周りを見渡したのは本当に偶然だ。

意識したわけじゃない。

見たもの……。

それは…………。





「………………………。」





ガイの暗く……重く……そして冷たい瞳。

そんな姿だった。
























そして……謁見の間から出て暫くして。

「ガイ?」

アルはガイを呼び止めた。

「あん?どうした?」

ガイは、振り返り答えた。

さっきの表情は……もう無かった。

「いや……その、何か思いつめた表情をしていたからさ?」

アルは、ガイの表情を伺いながらそう聞く。

「あッ……。いや……。」

ガイは明らかに動揺をしていた。

まさか、そう聞かれるとは思ってなかったようだ。

「……どうかしたのか?……その、ひょっとして今回の平和条約が関係してる?」

アルは言葉の一つ……そしてガイの表情が変化した時の会話の流れ……。

それを思い出し、導き出されたのが……。

【二国間の平和条約】だ。

「はは……お前さんはエスパーなのか?なんでそう的確なんだかな……。」

ガイは手を上げながらそう言っていた。

どうやら、当たっていたようだ。

「いや……そんな感じがしたんだ。それに……だって、ガイはホドの生まれって教えてくれたから。」

アルはそう答える。

ガイはホドの出身だ。

それは、以前グランコクマで教えてくれた。

その……その故郷が滅んでしまった理由は……。

「アル。」

ガイはアルのほうを見る。

「ん……?」

ガイの真剣な目を見てアルはそれ以上いえず、ガイの方を向いた。

「これからの事、オレを信じて見守ってくれないか?確認したい事があるんだ……。頼む。」

ガイは頭を下げ……そういった。   

「ちょ…!まってって!頭下げないでよ!オレに……!」

アルは少し慌ててそういった。

「大丈夫だから!オレはガイを信じてるから。」

ガイは頭を下げたままだったから、

アルはもうそう言うしかない。

旅の仲間は皆心から信頼できるメンバーだ。

その仲間が頭を下げたら……。

疑う……そんな選択肢なんてない。

「ありがとな……。」

ガイはそう言うと……、アルと一緒に皆の方へと向かった。







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