#109 予言に支配された世界……
全ての真実が明らかになった。
ホドが消滅した真実。
そして、ヴァンが選んだ道……その真実。
「ガイ……一先ず、剣を収めませんか。貴方の復襲は…この場にいるものの殆どを切らなければ達成されません……。」
イオンが……そういった。
ガイは…驚愕の表情をしていたが……。
直ぐに収める。
「そんなつもりなんか……ハナから無かったさ……。」
そういいながら……。
そして、その場での調印式は無事に……終了した。
今度は守れる。
そう皆が誓い………。
「悪かったな……皆。」
ガイは皆に謝罪をしていた。
「真実が……真実を知るにはコレしかなかったんだ……これしか。」
ガイは……顔を俯かせた。
「ガイ……」
ルークには………かける言葉が見つからなかった。
「人間って………なんて………。」
その時アルは……1人。
離れたところで立ち止まっていた。
「争いあって……憎しみあって……。そして戦争の……その理由は…………石ころに書いていたから?」
自問自答を続ける。
「何で……?……争う事なんかより……手を取り合った方が……仲良くするほうが余程簡単なのに………。」
「この世界の醜さ………おろかさ…………アイツが言った言葉………間違いじゃない……のか?」
頭の中でグルグル回る………。
その石ころの為に犠牲になったの1つが、故郷……。
その犠牲になった人たちは何も知らなかった……。
何も知らず……崩れる街から……絶望の中……命を絶たれてしまった。
「……ルっ アルッ……!」
あの街では……瘴気のせいで人々は苦しんでいた。
もしかしたら……予言が無かったら……救えた……?
いや、間違いなく救えた……。
「あるっ…!アル!」
予言通りにする。
全てはそれが最優先事項。
その為には、人間の意志などは二の次。
全ては予言の為に……。
そう……この世界は……
【予言に支配された世界】
“ガシッ!!”
両肩に感触があった。
それで……
「ッッ!!」
「アルッ!!!」
ティアの顔が目に入ったのだ。
ティアは凄く心配していた……。
「しっかり……!アルっどうしたの……?」
そう言っていた。
周りのみんなも……同様だった。
「あっ……ご……ゴメン。オレは、大丈夫だよ。」
アルは……笑顔を作り、そう言う。
「アル……お前、オレの事で……。」
ガイがそう言う。
間違いなく、ホドの話をしてからだ。
自分の故郷のこと……それが頭を過ぎってしまった。
そう考えられる。
そして、アルの性格を考えたら……。
「いや……それは、違う……とはいえないかな。」
アルは気丈に振舞う。
「大丈夫だよ。本当にさ……。真実が知れたのは良かったと思うし。それに……【それ】を話した事で……今後は予言に従わない決意とだって取れるから。」
アルはそう言った。
今は、予言から外れているのだ。
「ゴメンっ!色々な事を知って頭が混乱してるんだと思うから。」
アルは笑いながらそう言う。
確かにこの世界は……愚かだし、醜い部分もある。
でも……。
今目の前にいる人たちはかけがえのない……人たちだから。
「アル………。」
ティアは、ほっとしていた……。
その目は……いつもの優しい……彼そのものだったから。
優しくて……とても愛しい……。
ティアは……そっとアルに抱きつこうとした……その時!
「さて……イチャラブも結構ですが。早く行きましょうか?これから色々と大変なんですから。」
コホンっ!っとジェイドが……。
「あっ///」
「そーだそーだ!たーいへんなんだからね〜♪アルもティアも働いてもらうよ〜♪」
にゅっ!っとアニスが……。
「えっ////」
「ははは……仲いいって良いなほんとに。」
「見ていて……凄く気持ちが良いものです……。すばらしいです。」
「同感だな。」
「ええ……とてもくすぐったくて……微笑ましいです。」
「ですのですの♪」
残りの皆は……にこやかに……2人を見ていた。
この笑顔を……消さない様に……。
これから皆でがんばっていくんだ……。
そう……決意した瞬間だった。