小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#110 地核振動停止作戦







































場所は変わり……。




【シュリダン】




雲行きは怪しくなり……

空には黒い雲が覆っていた。



「………。」




空を眺めていたのはタマラさんだ。




「タマラ!来い!振動発生装置の演算気をタルタロスに運び入れるぞ?」

「まあ たいへん!頑張らないと!」



アストンとタマラ……2人の技術者だ。



「さぁて……いよいよ 仕上げじゃ!!」



気合十分!


だけどタマラは……。



「ねぇ……アストン。」



心配事がある様だ。

それは空模様……。



「嵐が来るね……腰が痛むもの。」



そう……【嵐】は……直ぐそこまで近づいていた。

全てを……根こそぎ奪ってゆく暴風雨が……。

















場面は同じシュリダン。

そこにいたのは無数の兵士と……。

「ここか…… スピノザ。ベルケンドの研究者度もが逃げ込んだと言うのは。」

リグレットだった。

スピノザは……頷いた。

「なるほど……シュリダンか。技術者同士で手を組んだわけだ。」

街を眺め……そう呟く。

「お前はここにいていいのか?スピノザ。」

「え……?」

スピノザは……リグレットのその表情に戦慄した……。

「我々は如何なる手段を用いても目的を果たす。これから起こることをよく見ておけと閣下直々のお言葉だ。……見届けてやれ。ヴァン・グランツの敵となるものの末路をな……。」


その言葉が合図だった……。

兵士達は……雄叫びを上げ……街へと向かっていったのだ。
















場面は変わり……。



【ユリアシティ】



そこでは作戦の最終確認が行われていた。

ノエルが前に出て説明を行う。

「タイムリミットは百三十時間です。改造を終えたタルタロスでシュリダンを出発。地核突入点であるアクゼリュス崩落後へ……これに約五日。百二十時間。つまり実際に作戦に使える時間は十時間弱と言う事になります。」

その説明を聞いて……思ったこと。

それはきっと皆も同じだろう。

「脱出まで込みで十時間……か。」

短い……と言う事だ。

「ええ……これは厳しいですね。」

こればかりはジェイドも同感だったようだ。


「百三十時間と言う数字自体おじいさん達が逆算で出したぎりぎりのものだそうです。その間だけはなんとか音機関をもたせて見せる……と。」


何とか……か。

「とても心強い言葉……だよね。」

アルはそう思った。

初めて1つになった技術者同士の結晶だ。

それだけでも心強いのにこれ以上無い言葉だった。

「そうね……。」

ティアも同様だった。


「あっ……心強いのは心強いって私も思うんだけど……その〜時間切れのときはどうなるの?」

アニスが……誰もが聞きにくい事を…… 苦笑

ノエルは……少し言いにくそうに答える。

「……えーー 惑星の中心部は高密度の瘴気に満たされており……また非常に強いこの星の圧力が……」

「ええっと……つまり?」

アニス……。

「わかってる……よね? ぺちゃんこってこと……じゃないかな?」

アルはそう代わりに答えた……。

「はい……それで 皆「きゅう〜……」です。」


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皆……ある程度はわかっていたんだ。

でも……いざその話を直に聞いちゃったら……!

顔も引きつっちゃうんだろうね? 苦笑

「いいですか!星の圧力ってすっごい負荷がかかるんですよ!それに耐える譜術障壁を発動させるだけでも大変な技術をですね……!」

安心させようとしてくれてるのかな?


……でも逆効果だと……。

「そんなトコに生身で!!!」

アニス大パニック!

「やはり、命がけ……ですね。」

「ふーむ……。」

「はは……流石に星そのものの力を抑えたり〜……はできないな。」

アルは手をグーパーしながら呟いてると……。

「当たり前よっ!たとえ出来たとしても絶対やらせたりしないからっ!!」

ティアがシャットアウト!その考えを!

「わっ!だ……だいじょうぶだって!出来ないんだからさ!」

ティア……凄く心配してくれてるみたいだ。

冗談でも……滅多な事言えないね。




「んなラブコメしてる余裕あるのっ!!2人とも!!」

アニスはアニスでやっぱり超動揺! 苦笑


そして、イオンの方を向いて……。

「イオン様!!イオン様だけでもシュリダンに残った方がいいですよ!今回ばかりは!」

イオンを最優先で考えた。

流石は元導師守護役!

「え?」

イオンは自分のこと?って感じだ。

自覚してよ……。

「もしものことがあったらどうするんですか!」

アニスは必死に説得するけど……。

「危険は皆さんも一緒ですよ?ねえ ジェイド?それにアルも?」

イオンは……言動を聞く限りじゃついてく!と言う返答だ。

「まあ……シュリダンにいても……究極的には危険は危険だよね……。作戦が成功しないことにはさ。」

「そうですね……。」

ジェイドとアルも……。


「いーーーーーえ!イオン様は特別なんです!イオン様は導師ですよ?!この中で一番【替えの利かない御身なんですから!!】ついでにアニスちゃんも〜シュリダンに〜!」


その言葉に……。

その言葉……【替えの利かない】に。

イオンの表情は一瞬だが凍る。

その表情……決して見逃さない。

2人の男が見逃さなかった。


「……?あれ?イオン様?」

アニスは……正面にいたから……違和感に直ぐに気が付いたが……。


「ありがとう……。アニス。でも 僕なら大丈夫ですよ?」


いつもの表情……笑顔でそういった。


「大丈夫じゃないかもだから!言ってるんです!!アルもっ!ほらっ説得して!!」

アルに縋るように言うけど……。

「………イオンは」

アルは……。

イオンの表情を見た。

そして、悟った。

以前……ジェイドに聞いたこと……それが事実だったと言う事……。

彼の洞察力なら………一瞬でも十分だったんだ。

だから、暗い表情を見せていたが……。

「あははっ、イオンはさ?これっ!って決めたら凄い強情じゃん?無理だよ?アニス。」

アルは、明るく振舞った

「そ〜〜んな〜〜!」

アニスはガーーン!ってな感じで項垂れる……。

「大丈夫じゃないかな?オレ達が守れば……さ?信じよう?ここにいる皆……そして、協力してくれた皆……全てを……さ?」

アルは……そう言って周りを見渡す。



「アルの言葉……妙な説得力があるんだよな……。なんかこう……無理やりにも納得してしまうって感じもあるし?」

ガイは笑いながら両手を挙げる。

「ふふふ……そうですわね?仲間を信じる……素敵です。そういった仲間にめぐり合えて私はとても幸せです。」

ナタリアも……とても笑顔だった。

「信じてる……信じられてる……。そうね。私達なら……きっと大丈夫。」

ティアも……心底信じているのだ。

みんなを……そして、アルを……。

「そうだよな。みんながいてくれたから……オレはここにいられるんだ。当然……。オレもみんなを信じてるんだ。最後の最後まで……やってやる!」

ルークも……固く決意をしたようだ。


そしてノエルも胸をはった。

「私達を待ってるのは最高の船です。それに……この百三十時間!これ以上の時間を作り出せる技術者はこのオールドランドにはいませんよ?“め組”と“ゐ組”……名に恥じぬ仕事です。間違いありません!」

信じるにたるものだと言う事を……伝えた。


「うん……!地核振動停止作戦……」

「泣いても笑っても本番ってわけですよね?」

「そうだな。」

「頑張りましょう。」

「私達なら……きっと!」

「ええ!」

「では……いきましょう!シェリダンへ!」




そして……皆は強い決意を胸に……アルビオールへと乗り込んだ。









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