小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#11 薄れゆく意識





























ゴーレムも倒した・・・・・

町も無事だった・・・

「ふう・・・・・ お・・・おわった・・・・・・・・・・・・・」

体中の力が一気に抜ける・・・

「・・・ 彼は・・・一体・・・」

あれ程の譜術は見たことがなかった。

自身も軍人として数多の戦場を駆け巡ってきた経験がある。

その中で最も危険と判断した攻撃を天秤に掛けてもコレに比べたら小さい・・・

世の中にはこれ程の術を操る者がいるのかと、

暫くジェイドは立ち尽くしていた。

「うおおおお!!!」「アル!!!!」「っ!!!!」

砂埃が風に舞いながら消え、あるの姿を視認した住人は一目散にアルの方へ駆け出した。

その中にはファンやガーランドもいる。

「ありがとな!!お前すげえ譜術士(フォニマー)だったんだな!!ってか!記憶戻ったのか?」

ガーランドとファンが集まりもみくちゃにする。

「ははは・・・・・ いっ いや 記憶の方はまだ・・・ 力だけ思い出したみたいで・・・」

もみくちゃにされかなり疲労感があったが、大した事ではない。

皆無事だった・・・

喜びの方が大きい。

「それより・・・礼はあちらの方に」

そう言うとアルは共に戦ってくれた男の方を向く。

「貴方の助太刀がなければ、倒しきれなかった・・・ どうもありがとうございます。」

そして頭を下げた。

「いえ、軍人として当然のことをしただけです。礼には及びません。」

笑顔になり、そう伝えた。

しかし頭の中では、

(彼の力は・・・ まるで見たことのない・・・ 私が使える譜術に似ていますが中身は別物のようだ・・・ 大変脅威ですね・・・ 彼の素性・・・力・・・全て調べた方が良いでしょう。 今は大事な任務がありますが・・・ 理想は我がマルクト軍に入ってもらう事ですが・・・ムリに連れて行くとかなり反感を買いそうですね・・・ さて、どうしたものか・・・)

アルをスカウトする事を考えていた。

当然だ。

これほどの譜術・・・彼は見たことがない。

敵国(キムラスカ)の方が彼に気付き、そちら側に行くのはかなり危険・・・

軍人ならばそう考えるだろう。

頭の中でどうするか策略をしていると。

「アルおにいちゃん!!!」

「うおっ!!」

またまた背後から声と衝撃が・・・

もちろん!

サラだ。

「おにいちゃん!おにいちゃぁん!!!! よかった・・・ほんとうに!よかったよぉーーー!」

そのまま、アルにしがみ付いた。

「ああ! もうこれで大丈夫だ!本当に終わったよ。 ・・・サラも無事でよかった・・・ レイさん・・・ガーランドさん・・・それにみんなも・・・ 」

アルはサラを抱きしめながら涙を浮べ周囲を見渡した。

皆アルとサラを微笑ましそうに見ていた。

ガーランドとレイもまた抱き合い。

そしてアル達に近付き・・・

また抱きしめた。

「・・・よかった・・・ 本当に・・・ 今日は ご馳走を作るわ・・・ 貴方も・・・ どうかうちに寄ってくださいね!」

レイはジェイドの方を見ながら言った。

「御心遣いありがとうございます・・・」

任務を優先さしたいところなのだが・・・

ジェイドは彼の事を優先させた方がいいと判断した。

「さぁ・・・ みんな!とりあえず町の大掃除はまた明日だ! 今日は!みんなで騒ごう!!この町を守ってくれたアルを囲ってな!!」

ガーランドは高らかに宣言した。

皆それに乗り、雄たけびのような歓声を上げる・・・

「ははは・・・・・・ これじゃ・・・ゆっくり寝れないかもな・・・ サラ、又あの秘密基地に行こうな!」

サラに笑いかける。

「うん!!」

サラも満面の笑顔で答えた。



「「ジェイド!」大佐ぁ!!」

2人がジェイドの方へ駆けつけた。

「終わったんですね・・・ 良かった。」

「ええ・・・しかし 気になる事がありまして・・・」

「ええ!何かあったんですか!?大佐がそんな風に言うなんて〜!!」

アニスは露骨に驚いていた。

「アニス・・・」

「はっはっはー まあこういうこともあるんですよ! 気になるのは彼の事です。」

視線を送る・・・

「??あの男性ですか?」

「ええ・・・」

ジェイドが又難しい表情を作る。

「彼を・・・」

ジェイドが彼について調べたいという事を伝えるその次の瞬間。

「ッつ!」

アルがサラと繋いでいた手を離し、頭を抑えながら膝をついた。

「お・・・おにいちゃん・・・?」

次に胸を押さえる・・・

「ぐっ・・・ だっ・・・だいじょうぶだっ・・・ 心配は・・・ い・・・・・・・・・・・・よっ・・・・・」

そのまま地面に倒れこむ・・・

「お・・・に・・・ちゃん・・・?おにいちゃん!! だっ だれか!おにいちゃんをたすけてぇぇ!!!」

サラの叫び声で皆が集まってきた。

「「「「アル!!」」」」





なんだ・・・ これ・・・

あれ??・・・・・・なんでサラ・・・ 泣いてるの・・・?

あれ??・・・・・・皆も・・・・・なんでそんな表情(かお)を・・・・?

あれ??・・・・・・体がうご・・・・かない・・・・・




(まだ・・・ 早すぎたか・・・・・?)




あれ・・・・・この声は・・・・

あの時の・・・声・・・

(時が来るまで・・・ 休むがいい・・・・運命の歯車は動き出した・・・)

運・・・命・・・?

(体は全く動かせないだろうが・・・ 見えるだろう?)

見たものは・・・ 先ほど共に戦ってくれた男と・・・ 小さな女の子と男の子・・・

サラよりは歳は上かな・・・?

(目覚めたら・・・ その者らについて行くがいい・・・)

まって・・・・ まってくれ・・・ お前は・・・一体・・・

だめだ・・・ いしきが・・・


(………それも含め…… いずれは明らかになる…… 聖なる焔……と共に……を解放せよ………。)


また・・・声が・・・遠のいて・・・ いや・・・オ・・・レ・・・の・・・い・・・し・・・き・・・が・・・・




オレの意識はそこで遠のいて行った・・・



-12-
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