小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#119 ドクターストップ

































そして、糸が切れた人形の様に崩れ……。


「ティアっ!!」


ルークがティアを支えた。

「ティア!大丈夫ッ!!」

アルも直ぐに駆けつけた。

だが……ティアは全く反応が……。



「いけません!もう、障壁がもちません!兎も角脱出をしましょう!!」


ジェイドが皆にそういった。


「ッ!わ……わかった!ティアっ!」

アルは、ティアを抱え、

「オレも手伝うッ!!」

ルークも反対側から支えてくれた。


「皆さん!急ぎましょう!」



そして、アルビオールに乗り……。

この場所から脱出した。














“ギュオオオオオオオオオ!!!!”







アルビオールで全速力で魔界の空まで飛び立つ!




「………なんとか脱出できましたね……。」




ジェイドもほっと一息を入れていた。

それだけ、ギリギリだったのだ。




「ティアっ!」




アルは、直ぐにティアに治癒術を……。


「私も手伝いますわ!」


ナタリアも 共に譜術を。




しかし………。




「第七音素が効きませんわ……!」

ナタリアがそう言う。

「くそッ………!なんでっ……!」

アルも、使っているが……。

全くと言っていいほど……効いてないのだ。

ティアが覚めることがない眠りについていた。



「どう言う事!?」

「みゅっ!!」



アニスもミュウも……心配そうにティア顔を覗き込んでいた。


「第七音素が効かないなら……医者に診せた方がいいだろう。」

ガイが、そう結論づいた。

治癒術が効かない以上は……。

それが現状で最も効果的だろう。





でも……それまで待てなかったアルは【力】を酷使した。





「ッ……。ティア……っっ!!今……助けるから……ッ!!」




“パァァァァァ…………”




ティアの周辺が……いや、アルビオールを包み込む勢いで……

第七音素の光が包み込んだ。

そう……あのアクゼリュスで使用した、大規模の術だ。



だが…!





「やめなさい!」



“ガシッ!!”



ジェイドがアルの右腕を掴んだ。



「ッぁ!」




アルは、たったそれだけの事で……光が消え、苦痛に表情をゆがめていた。



「……ほら 見なさい。貴方のその腕はもう、限界を通り越しているのです。常人なら……機能を失いかねないレベルまで。」



ジェイドはそういった。

その言葉に皆が驚きを隠せない。



「え……でも、でも!アルっ十分すぎるほど腕……使ってたのに?平気そうだったのにどう言う事っ?」

アニスも驚いていたようだ。

アルが戦っているところ……見ているから。



「そ……それは……。」


アルは口ごもっていた。






「……ちなみにドクターストップもかかっています。」

「えっ!!な……なんでそれをっ! 口止めを……って あ……!!」



アルの方に視線が……。



「やはりそうでしたか……。あなたと言う人は……。」


「図ったな……。ジェイド……。」



策士…だ…。

アルは、ジェイドを睨むように見ていたけれど……。





「図ったとかそんなのはどうでもいいです!それは本当なんですか!?アル!」

イオンが、久方ぶりに、大きな声で……。


「う……うん。」


こう言われて……。

もう アルは誤魔化しきれない。






「これはぜーーーーーったい……。」

「アルも勿論!」

「ベルケンドに直行です!そして監禁です!!」

「無茶しすぎだろう……。」





皆一致だった……。




「う……で……でもっ!」



アルは、首を今回は縦に振らなかった。

まだまだ、何が起こるかわからない。

そして、やる事もまだまだあるのだ。

……そんな中で……。





「はぁ……勿論。ティアの精密検査を行う期間だけでも良いです。その間だけでも大人しくしていてください。」

ジェイドは呆れながら言っていた。

「大佐ぁ!そんなくらいでいいの??あの時にドクターストップがかかってるって言うなら、今はもっと酷くなってるんじゃないの!!」


アニスは……反対!といった感じだ。

その事については、素直に……とてもうれしく感じた。



「アルを縛り付けるのはまず無理です。言ったでしょう?常人じゃ再起が難しい程の怪我をしている……しかし、それでも動いてます。そんな人を監禁したところで、自力で脱出してきそうです。余計な怪我が増える可能性もありますからね。……まあ、納得はしかねますが。」


「うっ………。」


実はアルはそう考えてなかった… わけじゃない。

実を言うと最悪は、抜け出してでも……と考えていたのだ。





「ああ〜……アルなら やりかねないなぁ……。」

「病院に縛り付けても……そうなら、集中して診てもらって、後は今までどおり監視する方が幾分かマシってことか。」

「そうですわね……。今はティアの事もありますから、まずは病院に直行です。」

「今度と言う今度は……もうそれも何度言っているかわかりませんが!必ず聞いていただきますよ。アル。」





皆に釘を刺されてしまった………。


「はい……。わかりました……。」


しゅん……。




「まあ、イジメはこれくらいにしとくが、マジで聞けよ?さもねーとティアに言っちゃうぜ?」



ガイは、ティアの方を見ながらそう言う。



「うぅ……。わかったよ……。いや、わかりました………。休まさしていただきます……。」



アルは完全に観念した。



「その……もう、無茶な治癒は使わないから……傍にいてもいいかな……?」

アルは……自分の体のことよりもティアの方をしきりに見ていた。

「……わかってますよ。」

イオンは、優しい表情に戻っていた。

「ほらっ。もう心配かけてやるな。」

ガイが、肩を叩く。

「う……うん//」

アルは、ティアのほうへ行き……。






“きゅ………”






ティアの手を握った。

「ティア……」

もう無理は禁物。

と言うか、自分でもわかってる。

これ以上 自分の禁忌を使えば倒れてしまう事も。 (ジェイドが推察した惑星譜術?)

ティアのこと……考えたらタカが外れたみたいになって……。





“ぶんぶんぶん!”





首を左右に振り……。

「ナタリア……お願い。効かないと思うんだけど……。」

「わかってます。可能な限り……治癒を行ってみます。」

ナタリアは笑顔で了承してくれた。

「うん……ありがとう。」

「当然のことをするだけです。ティアは……私にとっても……いえ、私達の大切な仲間なんですから。」

そう言い、ナタリアはティアに治癒を施してくれた。

そして、皆もティアとそしてアルを診ていた。

























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