小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#13 漆黒の翼を追いかけて



























暫く3人でいろいろ話していると・・・

ガチャ・・・

男が入ってきた。

「やあ 目が覚めたんですか。それは良かったですね。」

「あ・・・ 貴方は確か・・・」

顔には見覚えがある。

確か、あの魔物(ゴーレム)と戦ってる時、加勢してくれた人だ。

「ああ、自己紹介がまだでしたね。申し送れました。私はマルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐です。」

「あの時・・・オレを助けてくれた人ですね。あの時はどうもありがとうございました。オレはアル・・・と言います。性の方はまだ・・・わからなくて・・・」

ジェイドもアルに記憶が無い事は先ほどの会話を聞いていてわかっていたようだ。

・・・盗み聞きとは感心しないな。

顔に若干出てたらしいのでアニスに察っしられ あまり気にするときりがないと諭された。

「まあ 立ち話もなんですから、ブリッジの方へ行きましょう。本来なら、客室に・・・とも思いましたが、貴方の事も早めに聞いて置きたい事がありますし、それに漆黒の翼が出たとつい先ほど報告がありましたので」

漆黒の翼が何なのかは知らないが、

仕事を優先した方がいいんじゃないかな?

まあ特に断る理由は無いので、ブリッジの方へ付いていった。

無関係者がブリッジに入ってもいいのかなぁ・・・




「漆黒の翼はどうなってますか?」

ブリッジに入り、この軍艦を操縦してるであろう団員に声を掛けていた。

「はっ!視認は出来ました。奴らはローテルロー橋の方角へ逃走中です。」

「なるほど・・・キムラスカ王国へ逃げるつもりですか。それは少々厄介です。できれば、その前に捕らえたいものですね。」

メガネを指で上げながら呟く。


何やらとんでもないところに来てしまったようだ・・・

ブリッジに入る前から、この軍艦がかなり揺れていたため、その漆黒の翼とやらを追いかけているのは想像できた。

で、その漆黒の翼はこの辺りでは有名な盗賊らしい・・・

つい数週間前まではのほほんと・・・ ほのぼのと生活してたのに・・・

魔物に襲われてからなんか方向性が・・・

ちょっと悲観的になっちゃったが、アクゼリュスを救うには、中立であるローレライ教団のイオンの力がどうしても必要だろう。

それくらいならわかる。

例え争いが続いたとしても・・・

一時休戦になる可能性が高い。

そうなれば、アクゼリュスを救えるかもしれない・・・

ならば、できる事は何でもしよう。

何やらここの師団長殿は自分を気に入ってるらしい(迷惑だが・・・ 苦笑)。

何故なのかはわからないが、この幸運を活かすようにしよう。

そう考えていた。

考えモードから、戻ってくると・・・

タルタロスの進路上に辻馬車がいた・・・

見えた!!

・・・・・・・・・・・・轢かれる!!!!

「そこの辻馬車道を空けなさい!!巻き込まれますよ!!」

ジェイドのお陰でどうにか 道端の潰れた蛙的な事にならなくてすんだ・・・

ほっとしていたのもつかの間・・・

「ジェイド師団長!!敵は橋を渡り終え爆薬を放出しています!!」

一人の団員が叫ぶ・・・

「えええ!!」

さっきからずっと頭の中で考えていたのだが、さすがに声が出てしまった・・・ ビビったのだ。…苦笑

「大丈夫ですから 落ち着いて・・・・ しかしまあ 橋を落として逃げるつもりですか。」

ジェイドがそういったと同時にそれは来た。

「フォンスロットの起動が確認できました!! 敵、第五音素(フィフスフォニム)による譜術を発動しています。」

・・・・たしか第五って・・・火の音素だっけ・・・ 火薬に火・・・・

「爆発する!!」

また叫んでしまった・・・

「はい。そうです。よく勉強していたみたいですね まあそれはともかく タルタロスを緊急停止!譜術障壁起動!」

「了解!!タルタロス緊急停止!譜術障壁起動!! 橋が爆発します!」



“ズガアアアアアアン!!!”



大爆発が起きた。

そして橋は無残にも崩れ落ちてしまった。

もうあちらにはこの橋を使ってでは行けないだろう・・・


あんな爆発が起きたというのに・・・ジェイドは淡白にこなしていた。

「はぁ・・・ これが軍人か・・・ 凄いですね・・・」

手腕・・・冷静さなどその他もろもろを見て実際に感じた事が声に出た。

「アルー 大佐はね・・・ちょーっと他の人と違うから。あんま ほめても意味無いと思うよー!」

横にいたアニスが、意地悪そうな顔をしながら笑う。

「え・・・そうなんだ・・・」

驚きながら言うと。

「いやぁ アニスには言われたくありませんねー」

「ふふふ・・・」

ジェイドがすかさず反論 イオンも笑っていた。

「えー なんでー! イオン様も笑いすぎーー!」

「ははは・・・」

オレもつられて苦笑してしまった。

ジェイドとアニス・・・

この2人は直ぐには掴みにくい性格だな・・・

アニスの方は裏表が激しそうだ・・・

正直な感想です・・・

「また逃がしてしまいましたね・・・ おまけに陸路でキムラスカへ行くのは難しくなりました・・・ まあとりあえず ひとまず撤退しましょう。」

そう言うと一行はエンゲーブへ行くことになった。

エンゲーブってどんなところだろう・・・

アクゼリュスしか知らない身とすれば・・・

少し楽しみでもあった。

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