小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#26 ティアの負傷とルークの理解者
































神託の盾(オラクル) side




突然全ての機能が停止し、扉も全て閉じその上灯りまで落ちた。

「いったい……何が起きているの?」

ライガに乗っている少女がそう聞くが……。

兵士達も分からない、

「わっ わかりません!何故か全ての機能が 停止してしまいました。」

コンピュータを操作するが……。

復帰のめどが全く立たない……。

「………うう どうしよう……閉じ込められちゃった。」

俯き落ち込んでいた。



その時



“グルルルル……”


乗っているライガが、少女の方を見ながら唸る。

「……えっ? 助けてくれるの?」

そう言うと、ライガがすっと立ち上がり・・・隔壁まで移動した。





side out






「一体何が?」

ティアがジェイドにそう聞く。

ジェイドが伝声管に叫んでからこうなったのだ。

「タルタロスの非情停止機構を発動させました。左舷昇降機へ!!非情停止するとあそこ以外は開かなくなります!」

そう言うと、牢屋の扉を開け、飛び出した。


そして……。



全ての扉をロックしたおかげもあってか、敵にも会わず。


外へと脱出できた。



















ここはタルタロスの外。



イオンを捕らえた神託の盾(オラクル)のメンバーが、タルタロスからの出迎えを待っていた。

「妙だな………。静か過ぎる。出迎えの兵もいないとは……タルタロス内部との連絡も途絶えたままか?」

そう部下の一人に聞く。

「はっ 申し訳ありませんリグレット様」

この女は……。



≪六神将 魔弾のリグレット≫



「…………フッ」


リグレットは何かを感じ取ったのか薄く笑うと、

「いいだろう 非常昇降口を開け!」

そう言った、

そして昇降口を開けると……。

何名か飛び出してくる者がいた!!


「ジェイド!!ルーク!!アル!!」

イオンが叫んだ。

「ふっ やはり来たな。」

そう言うとリグレットは部下を散開させた。

「おらぁぁぁぁあ!やれぇぇぇ ブタザル!!!」

ミュウをむんずっと掴むと・・・

「みゅううぅうううぅうううううぅううううぅぅ!!ファイアーーーーーーー!!!」



“ドゴオオオオオオオオオオ!!”



ミュウのソーサラーリングによる攻撃をした。

さすがミュウ使い? 苦笑



「あちちちちい!!」「ぐわわわわわわわ!」



結構効果は抜群みたい、少なくとも怯ませることは出来ていた。

だが……銃使いには関係ない。

「ふん!」

距離をとり…リグレットが銃を構えたその時!



“ガキィィィン!”



ジェイドの槍がリグレットの銃を弾き飛ばした。

「さすが ジェイド・カーティス 譜術は封じたと聞いていたが一筋縄ではいかないようだ。」

「! どうやらラルゴは生きていたようですね」

封じられた事を知っているのは、仲間たちともう1人………あの黒獅子ラルゴしかいない。

そう結論するのは難しくなかった。

「なぁ?ティア・グランツ!」

そう告げると・・・ティアが驚いていた。

「あっ……貴女はリ……リグレット教官??」

動揺しているのが良く分かる……。

その背後から巨大な影が……

あれはっ!!

「いけない!!ティアさん!そこから離れろ!!」

そう言ったその瞬間、巨大な影から攻撃が飛ぶ。


“ドガガガアアア!!”


コイツは……。

「ライガ!?」

何故ここに……っと思っていたら、ライガの背に乗っている人物がいたのに気がついた。

「やっと出られた………。」

乗っていたのは………。

「女のコ??」

そう……アニスと変わらないくらいの背格好の幼い少女だった。



「アリエッタ!」

リグレットがそう叫ぶ。

「おっと……動くと危ないですよ?」

…ジェイドのおかげで動きは封じれていた。


この少女は……。


(六神将 妖獣のアリエッタ)


その少女は、

「この仔が隔壁を切り裂いてくれて何とかここまでこられたの。 イオン様……」

そう呟きながらじっとイオンを見つめていた。





「結構多いな……。」



数の多さ……そして、ライガの出現…。

状況はさらに悪くなった。

アルはそう思いながらも……。

「ここを突破しないと逃げられない!」

そう言い力を込めた。

倒した数は増えていっているのだが……。

それでもまだ数が……多い。









「アイツ……只者じゃないな………」

リグレットはあの男を……アルを見てそう呟いた。

「おや?彼に興味があるのですか? 見かけによらず年下がタイプなんですね。」

ジェイドはいつもどおり軽口?ジョーク?っ的なことを言う。

……が まあさすがに六神将そう言ったことは全く通用しないようだ。

「ふっ 何か秘密がありそうだ。」

ジェイドの言葉を一笑し、観察をしていた。

捕まっていると言うのに精神力が凄い……。




そんな時……。




「ルーク!!下がって!!あなたじゃ人は切れない!」


そんな声が聞えてきた。

その声に反応してアルは振り返ると…

「!!」

ルークが戦っているのが見える。

動きが…明らかに悪い。

あのチーグルの森の時と格段に。

「危ない!今のルークじゃ!!」

ルークの方へいこうとするが……。



「死ねェェ!!」



兵が数人、取り囲むように切りかかってきた。

「クソッ!こいつら……邪魔を…!! 」

そう言うと、詠唱に入る!



「気をつけろ!こいつの譜術は強力だ!詠唱の隙を与えるな!!」



仲間の1人がそう叫ぶと!



「オラアアア!!」

「死ねえええええ!!」



間髪いれず、襲い掛かってくる。



……が。



「………詠唱を防ぐだけでオレを止めれると思ったら大間違いだぞ!」

そう言うと、今度は指先で譜術の陣形を描く、



「何だ!!これは!!」



1人の兵が叫ぶ。



「熱いの一発いくぞ!? 獄炎 イグニート・バースト!」


“カッ!!!”


アルの半径3〜5mの地面が真っ赤に光る!!

その次の瞬間!!




“ボゴオオオオ!!!!”





「ぐわあああ!!」「がはあああ!!」


炎の柱が一気に立ち上り……。巻き込まれた何人かを上へと吹き飛ばした!










「!!」



リグレットもさすがに驚いていた。

あの兵士の戦略は間違いなかった。

譜術士に対するセオリーは、詠唱されない事だ。

さすれば、強力な譜術は防ぐことができる。

それを……あの男は覆したのだ。



「……また驚きましたね。フフ……まったく興味が尽きない、 速攻譜術……コレほどですか。」



ジェイドも笑っていた。

嬉しい誤算だったのだろう、譜術を使用する際は詠唱が必要、そしてそれは強力な術ほどに時間がかかるもの、その常識を覆す威力……。

未知の力だが……今はありがたい能力だ。

「形勢はこちらに有りですね。早いとこ降伏をしてください。」

そうリグレットに告げる。

……が、リグレットはまだ余裕があった。

なぜならば………。

「ふっ……確かにあの男は大したものだが……。 こちらの男はそうでもないぞ?」

そう言って見た先には……。








「ぐっ!がぁっ!!」

明らかにいつもよりキレの悪い動きをしているルークがいた。

キレが悪い理由は明らかだ……。

(殺す……のか?また人を……?この手で……?)

そう……そのことが頭によぎる……。

(嫌だ……嫌だ!!怖い……怖い!!)

そしてルークは致命的なミスをする!

敵前にして………。

目を閉じてしまったのだ。


そのとき!!




“ズバアアア!!!”



ルークを切り裂くはずだった刃は………。



「!!!」



「………ばか…………………」



ティアを……切り裂いていた……。

「ティアさん!!!」

ティアが……ルークを庇い負傷してしまったのだ。

「ちっ!」

ジェイドが槍を投げつけ敵を撃退したが……。

その代償で強敵のリグレットを解放してしまったのだ。

その上、まだ多数のライガ達も暴れている………。

こちらは1名……戦闘不能………

「まずい!!」

急いで向かおうとしたが、敵が多い!

そして、リグレットが銃を構えなおしたその時!




“ズバアア!!”




頭上から誰かが降りてきてイオンを取り囲んでいた兵士をなぎ倒した。


「ガイ様 華麗に参上!」


…………??

誰??

って思うのは不思議じゃない。

突然現れた民間人って訳じゃなさそうだけど………。

その男はそのままイオンを保護し、

「うちの坊ちゃん(ルーク)を捜しにきてみりゃ なんの騒ぎだこりゃあ? とりあえず、みんなまとめて返してもらうぜ。」

そう言うとウインクをする。

それに気付いたリグレットは振り返ると……。

「形勢……再び逆転ですね?」

ジェイドが隙を見てアリエッタを捕らえていた。

「ふう………。そう言うことだね。」

アルも向かってきた神託の盾(オラクル)の兵全てを倒し、戻ってきた。

「リグレット……ごめんなさい……。」

アリエッタはそのままリグレットに謝っていた。

「兵も 殺られたか………。」

「ちょっと……人聞きの悪いことを言わないでよ!皆無事だよ。ちょっと眠ってもらって起きても数週間はあちこち痛くて動けないかもしれないけど…ね。」

そう苦笑しながらアルは言った。

「まあ それはともかく 武器を棄ててタルタロスへ戻ってもらいましょうか」

そう言うと、リグレットは観念したのか

「………しかたない」

武器を棄て、そして残った部下はそれぞれ倒れている兵を連れて……タルタロスへ入っていった。





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