小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#32 コーラル城 vs アリエッタ

































アリエッタが去った後…

壊れていた宿舎で一先ず、話し合うことになったのだが。

ヴァンの言葉は意外なものだった……。



「助けないって!!」



ティアが真っ先に反応する・・・

助けないという事は見殺しにするということだ。

「イオン様とルークを危険に晒すわけにはいかん。」

ヴァンはそう言う・・・

「でもでも・・・ 船を修理できるのって さらわれた整備士さんだけなんでしょ〜!」

アニスも反論するように言った。

「訓練船がもう直ぐ寄港する予定だ・・・それに乗って帰ればいい。」

ヴァンはやはり・・・ 要求には応じない構えだ。

「ですが・・・それではアリエッタの要求を無視する事になります!」

イオンの性格ならば・・・ ほうっておくような事は出来ないだろう・・・ 

「見捨てるのは・・・ あんまりだと思う、俺も・・・」

アルもイオンの意見に賛成!

まだ 意見は言ってないけど大体わかる!この性格なら ぜーったいに助けるって! 苦笑

「今は・・・戦争を回避する方が重要なのでは・・・?」

ヴァンは静かにそう言う・・・

確かに・・・正論だ・・・

戦争が起きれば・・・ これとは比べ物にならないほど犠牲が出るだろう・・・

優先などといいたくはないが・・・

イオンはうつむいてしまう・・・

当然アルも言う言葉が見つからない・・・

自分自身も・・・戦争を回避して欲しいと願う者の1人なのだから・・・

「アリエッタのことは 私が処理する。船が来るまでココで待機してもらいたい。」

そう言い・・・ ヴァンは部屋を出て行った。















「攫われた人どうなるんですの?助けてあげないんですの??」

ミュウが悲しそうな顔でそう訴えるが・・・

「うっせーな! ヴァン師匠(せんせい)が何とかするって言ったんだから 任せておけばいいんだよ!」

ルークがそう言う・・・

師匠(ヴァン)の事になると・・・いつも見えていない視界がさらに狭まるようだ・・・盲目・・・ともいえる。

これは・・・大丈夫なんだろうか・・・確かに・・・ 隙がなくしっかりとした感じの人だったけど・・・

アルは少し不安が頭を過ぎっていた。 ルークに対して…

ティアは…命を賭けて兄を討たんとしていた。

確かに 肉親同士の争いは悲しいことだけど… そんなこと、ティアは重々に分かっていると感じる。

もし… 彼(ヴァン)には自分達が知らない何かを…隠しているとしたら…?

だが、今はそれを考察している時じゃない。

「導師イオン!お願いします!どうか導師様のお力で隊長を助けてください!今年の生誕予言(スコア)でも大きな災いは取り除かれると言うわけで隊長は安心していました。」

「お願いします!隊長をどうか!」

攫われた整備士の部下だろう…その2人が、入ってきて、頭を下げる…助けてくださいと。

そう言われたらイオンなら…

「分かりました。」

そう答えるだろうと思っていた。

整備士の2人はその言葉に喜ぶ。

ジェイドは、

「よろしいのですか?」

確認を込めイオンに聞く。

「アリエッタと話して人質を解放してくれるよう説得してみます。」

イオンの意思は変わらない。

「もちろん、オレはイオンに賛成、同行するよ。」

「私も同行します。」

アルとティアは同行すると言う。

「アルはともかく冷血女が珍しい事言ってら。」

ルークが胡散臭そうな目でティアを見ていた。

まだヴァンを襲ったことを根に思っているのだろうか? 

「大きな災いは取り除かれると言う予言(スコア)を受けた者を見殺しにしたら、予言(スコア)を無視したことになるわ。それでは…ユリア様の教えに反してしまうわ。」

そんなルークの言い方には全く気にせず、ティアはそういった。

ティアの理由は教えの為のようだ……。

「オレは、教えとか予言とか…そんなことは特に気にしてないし、どうでもいいよ。」

だが、アルは違った。

アルがそう言うとティアが、

「何を言ってるの!予言は…始祖ユリア様の教えなのよ?」

少し、怒りながらそう言う。

他の人もちょっと驚き気味だった。

「ん…確かに聞いてる限りじゃとても大切なんだって事はわかる、でも、オレはこの世界での生活は殆ど無いに等しいし、今ある知識も、仮初のような感じだからかな?あまり予言(スコア)に執着が無いんだ。ティアや皆と違ってね。」

そう言うと…さらに表情を真剣なものに変える。

「唯…目の前で危険にさらされている…助けれる命を放っておくことは出来ないな。もし、予言(スコア)でその人が死ぬって読まれてたら?……助けられるかもしれない命を見過ごすの?見捨てるの?オレはそんなのさらさら御免だってこと。」

それが彼の考えだった。



「「!!」」



この言葉にティアは驚いた表情を作っていたが、一番驚いていたのはガイだった。

なんでそこまで驚くのかは分からないけど…

「…そうですよね… アルの言う通りなのかもしれません。予言(スコア)は未来への選択肢の一つなのですから。」

イオンはそういっていた。

「ははは… そんなふーにいう人になんてはじめて遭ったよ!」

アニスも驚いてはいたが… 笑っていた。

「ふむ… そうですね。貴方の考え…興味深いものです。」

ジェイドも… 同様だった。

「・・・・・・・」

ガイは… 考え事をしているのか…黙っていた。





結局は皆、最終的にはイオンについていくと言う結論のようだ。

「オレも勿論同行するぜ。オレは… コーラル城って言うのが気になってな。」

ガイがそう言う。

「どういうことだよ?」

ルークがガイにそう聞く。

「7年前…誘拐されたお前が見つかった場所なんだよ…」

ガイが…ルークにそう言うと…

「!!!」

ルークが驚愕の表情をつくる…

この後…ルークもコーラル城へ向かうと決めた。














【コーラル城】

ここは… 確かに立派な城なんだけど…

廃墟と化していて…まるで幽霊屋敷のようだった。

「みゅうぅぅ… なんだか怖そうなところですの…」

ミュウの言うとおり!

おばけがでそーだ! 苦笑

「コーラル城はファブレ公爵の別荘だ、前の戦争で戦線が迫ってきて、放棄したらしい… ルーク お前まで来なくてもよかったのに…」

ガイがルークにそう呟く。

「いーだろ?実際見てみれば何か思い出すかもしれないじゃんか!」

ルークの目的はそれだった。

「確かにそれはあるかも、 オレにもそういう場所があったらいいんだけどな… 」

やや自虐気味だなぁ…

「「アル…」」

「・・・・・・・・」

周囲に悪い空気を流してしまった…

「あ…ははは… ごめんごめん、そんなつもりじゃないよ。ジックリいくさ。今は守るべき者だっているし… 仲間(みんな)だっているからね。」

そう言って笑顔を作る。

その笑顔をみて…

「やはり… 強いです… アル。」

イオンは改めてそう呟いていた・・・

「・・・・・・・・」

ルークは…黙っていた。

「貴方も何か感じるものがあるんじゃない?ルーク。」

ティアが黙っていたルークにそういうと…

「うるせえ…」

唯それだけだった。


「さあ、皆さん そろそろ気を引き締めましょう、敵は何時現れるか分かりませんよ?」

ジェイドがそう言うと…

「ああ…六神将って言う連中か、全員きてんのかな?と言うかどんな連中(やつら)なんだよ?」

ルークが聞いた。

「タルタロスであった人たちだね。身に纏う雰囲気が回りの人達と違ってた。」

「ええ、そうです。そのタルタロスであったのは、 【魔弾のリグレット】、【妖獣のアリエッタ】、そして【黒獅子ラルゴ】 後は【烈風のシンク】と【死神ディスト】…」

ジェイドが話していく。

そして…最後の1人は…?

「俺達を襲ってきた奴は?姿は…見なかったけど?」

そうルークが聞くと…

ジェイドは眼鏡をなおし答える。

「あれが…【鮮血のアッシュ】でしょう。」

「あの…赤い髪の男か…」

アルは実際にアッシュのことを見ていた。

その顔立ちはどう見ても…

「アル…」

ジェイドがアルの方を向き… 言わないでくれと言う様に、人差し指を口元につけた。

「ん………。」

事情は分からないが… 何かあるのだろうと察し何も言わなかった。










そして一行はコーラル城内に足を踏み入れる。

暫く歩いていると…

動く石像やら… 蝙蝠やら… なんかフワフワ浮いてる奴やら…

結構な数のモンスター達のお出迎えだった。

「こいつ等をペットにでもしてたの?ファブレ公爵は…」

「んなわけないだろ!アル、馬鹿言ってないで手を動かしてくれよ!」

「ははは… そーだったよ。」

とりあえず、前衛はルークとガイに任せ、アニス・ジェイド・アル・ティアは後衛、譜術主体の戦法に入る。


「炸裂する力よ… エナジー・ブラスト!」



“キュウイイイン! ズガアアン!”


衝撃が迸る!


“ギャアアアア!!”



石像が粉々に吹き飛ぶ!



“ッシャアアア!!!”



蝙蝠が頭上から攻撃してくるが…

「させないわ!セヴァートフェイト!」

3本のナイフを蝙蝠に突き刺し… その瞬間!攻撃のフィールドが発生し…



“ズガアアアン!”



“ギャアアアアアアアア!!”


何匹か纏めてしとめる。

「さぁて! 私も負けてらんないよ! アンタと私の術!どっちが、ネガティブかな? ネガティブゲイト!」

魔空間を作り出し!それでフワフワ浮いてる奴を仕留めた!

叫ぶまもなく… 魔空間に包まれ…消滅する。


「やっぱ 5人もいると心強いよ! さて、お前の相手はオレだ! 結晶せよ!氷の礫! アイス・ブロック!」

石像の回りに、氷の礫が現れ、瞬く間に石像に結集する。


“ガッ!!”


“パキィィィン!!……ゴトンッ……”

そして、完全に凍りつき動かなくなった。

「ふう…とりあえず 片付いたな…」

「ったく…うぜーな、くそ。」

ルークもぶーぶー言いながら戦う。

これじゃ思い出す所じゃないだろうな…

「あーもー 何にも思い出せねーし、敵はうぜーし」

ルーク… やっぱり。 ってか ヤケになってる? 苦笑

「 まーまー こんなに熱烈な歓迎を受けてたら中々思い出せないさ普通。」

苦笑しながらも、とりあえずなだめた。

「ははは、アルのルークをなだめるその役目、堂に入ってきた感じがあるな。」

ガイが笑いながらそう言う。

「ふふふ… いやぁ そうですね。ルークの抑え役はやっぱり貴方しかいません。」

ジェイドも…

「何だよそれ… はぁ…」

アルはため息…

「はん!なんだよ!それ!」

ルークはいつもどおり! 苦笑

わーわー 言ってると…

「まーまー!ルーク様〜&#9825;私も記憶を取り戻すお手伝いしますからぁ〜元気出してください&#9825;」

そう言ってアニスが飛びついた… 間違ってガイに… 苦笑

で…いつも通りビビッて終わりかと思ったら…




「うっ!! うわあああああ!!やっ やめろーー!」





アニスを振り払い、頭を抱えた。

コレまで以上の… 拒絶の反応だ。

「きゃあ!な…なぁに…」

アニスも何が起きたか一瞬分からなかったようだ。

倒れながら驚いていた。

「ガイ!」

ルークも流石に不安になり、ガイに声をかける。

「…あっ オレ…」

ガイはすぐに正気を取り戻しはした…

「尋常では有りませんね… どうしたんですか?」

流石に唯の女性恐怖症と片付けるには…

「ほら、アニスも大丈夫?」

アルはアニスを起こした。

「ありがとー。 ガイ… 大丈夫なのかな?」

アニスも振りい払われたことより、ガイの心配をしていた。

「何かあったのですか…? 唯の女性嫌いとは思えませんよ…?」

イオンも心配そうに見つめる。

「すまない…体が勝手に反応して… 何でかわからねえんだ。ガキの頃はこうじゃなかったし…ただ…すっぽり抜けてる記憶があるから…それが原因かもな・・・」

ガイは俯いた…

「お前も…記憶障害だったのか?」

ルークが心配そうに聞く。

「違う… と思う… 一瞬だけなんだ、抜けてるのは…」

「どうして…一瞬だとわかるの?」

ティアが聞いた。

そのガイの答えは衝撃的なものだった…

「わかるさ… その記憶ってのは、オレの家族が殺された時の記憶だから…」

!!!!

皆…表情が…固まっていた…

ミュウも悲しそうに…俯く。

「ガイ…」

友の悲しそうな顔を見て…ルークは近づいていった。

その…致命的ともいえる一瞬の油断!



“ガアアアアア!!”




突然グリフィンが現れた!

「う…うわあああ!!」

「ルーク!!」

「ご主人様!!」

グリフィンはルークを掴むとそのまま飛んでいく!

「くそ!!ルーク!」

詠唱に入るが…

「駄目だ!ルークに当たる!やめろアル!」

ガイが静止する!

「くそお!」

ガイはすぐさまグリフィンを追い、階段を駆け上がる。

その時!!

「…行かせない」

階段の上で待ち構えていたのは アリエッタだった。

「根暗ッタ!」

アニスはトクナガ(ぬいぐるみ)を取り出し…

「何!コレ!!」

それが突然巨大化した!

「人形士 パペッター…だったのか、しかし一体どういう音機関なんだ?」

ガイも驚いていた。

そして アニスはそのトクナガに乗った!

「ルーク様とついでに人質もかえしなさい!!」

飛び掛るが!

「アニス!危ない!!」


“ガアアアアアア!”


アニスの死角からモンスターが飛び出す!!


“ドガアアア!”


「きゃあああ!」

アニスは吹き飛ばされてしまった。

「この!」

ファイヤーボールを飛ばすが… かわされてしまった。

「普通のモンスターより、動きがすばやい…」

アリエッタの従えているモンスターは野性のモンスターよりも何枚も上手のようだ。

「いったーい!もー 酷いじゃない!!アリエッタ!!」

アニスは罵倒するがアリエッタも黙ってない!

「酷いのはアニスだもん!アリエッタのイオン様を盗っちゃった癖に!!」

アリエッタの…?

「どういうこと…?」

「い…いえ 違うんです!アリエッタ!貴女を導師守護役(フォンマスターガーディアン)から遠ざけたのは…そういう事ではなくて…」

イオンは悲しそうな顔で叫ぶ…

アルはアリエッタの!と言っていた意味は理解できていたようだった。

だが、アリエッタは更に…信じられないことを…

「その人たちも酷いんです… だってアリエッタのママを殺したもん!!」

悲痛な叫びが…伝わる。

「え…?殺し…ママ…?一体何のことだ?」

分からないが……、彼女の叫びは続いた。

「ママはお家を燃やされて… チーグルの森に住み着いたの…」

チーグルの…森…?燃やされた?


「みゅっ!!」

ミュウは気付いたようだ…そう…アリエッタの母親とは…

「ママは子供達を…アリエッタの弟と妹を守ろうとしてただけなのに!!」

!!!

「まさか…ライガの… あの女王のことか!?」

「そんな…」

アルとティアは驚きながら言う。

「彼女は…ホド戦争で両親を失って…魔物に育てられたんです。」

イオンが… 悲しい事実を…教えてくれた。


「そ…そんな……あれは……女王は…オレが…とどめを…」


アルは…罪悪感に襲われる。

「アル!しっかりして!!」

ティアが檄を飛ばす。

「今は後悔してる時じゃないわ!」

そう言うと武器を構えなおす。


「ママの仇!!」


アリエッタが手を上げると… 一斉にかなりの数の魔物たちが押し寄せてきた。

「やれやれ…」

ジェイドが腕から槍を出す。

「恨まれるのには慣れてます!」

ガイも剣を取り出し…

「俺達も…ここで殺られる訳にはいかないんでな!」

アルは…ティアに言われたが、暫く俯いていた。

「………謝っても…。君は許してはくれない……と思う。だけど…」

顔を上げる。

動けなくなりそうだった体に活を……。


「……何かを守ろうとした気持ちはこちらも同じだ!」


そういって術式を展開させる!


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