小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#39 英雄となる
































ルーク side

母親の寝室の前に来るとノックをする…

そして返事が返ってきたのを確認すると直ぐに扉を開けた、

「母上!ただいま帰りました…」

そう言い…母の側まで近付く。

「おぉ… ルーク…本当にルークなのね…」

ルークはベッドまで近付くと…

母親の目線になるように跪いた。

「母上…」

「母は…心配しておりました…」

ルークの無事を…間近で確認でき・・。安心していた時。

「奥様!」

1人の女性が入ってきたのを確認した…

その女性は…顔を俯かせていた。

「奥様・・・ お許しください…」

そう言うと… 2,3歩近付く…

「ティア…!」

ルークは突然の事に驚いていた。

「貴方がヴァンの妹の…?」

母親はルークとは対照的に落ち着いていた。

「はい…」

そしてティアは跪く。

「おっおい!!」

ルークが驚きながら話すが…ティアは続けた。

「私が…兄を討ち倒さんとした為…ご子息を巻き込んでしまいました…」

そう言うと…母親は…更に安心していた…

「そう…では今回のことは…よからぬ者の仕業ではなかったのですね…?」

母親にとって大切な事はその一点だった。

ルークが無事で帰ってきてくれている、

そして、巻き込んだ張本人も自分の前で許しを請うている…

間違いないのは確実だが、本人の口からそれが聞きたかった…

ティアは 直ぐに、

「はい…ローレライとユリアにかけて…」

そう言った。

「ありがとう…でもティアさん…実の兄を討とうなどと考えるのはおやめなさい…血縁同士戦うのは悲しい事です。」

安心は…していたが… ティアの行為に心配をしているようだ…

本当に心やさしい人なのだとわかる…

「お言葉…ありがたく承りました…」

ティアはそう言うと…再び謝罪をし…

ルークと共に…部屋を後にした。
















部屋を出ると…

「…なぁ」

ルークが話しかける。

「何?」

「あんま気にすんなよ。母上が倒れたのは元から体が弱いだけだから…」

顔を若干赤くさせながら…足早に先に進む。

そんなルークを見て…

ティアは。

「ありがとう…」

そう言った…








side out










ティア side









その日の夜…

「大詠師モース…お望みは今でも同じでしょうか?」

ティアがモースに会いに来ていたのだ。

「何の事だ?」

モースはティアの方をむいた。

「気になる事を聞いたのです。キムラスカとマルクトの戦争が…モース様のお望みだと…」

そう聞くと…モースはゆっくりとイスから立ち上がる…

「馬鹿な…つまらぬ疑いなど持たずに…第七譜石を探しなさい…」

そう言う。

「わかりました…」

ティアは…まだ完全に信頼できてないように思える…

「明日の朝…ある場所に向かってもらう事になる。」

そう言うと…ティアは黙って頷いた…

そしてモースはその部屋を後にした…

「……」

ティアは…まだ黙っていた。

そこに…近づく影が…。

「大丈夫…?ティア。」

アルだった。

「…覗き見は良くない事よ…?アル」

ティアは振り向かず…そう言った。

「ゴメン…… ここにいたら…2人が来て……直ぐに出て行こうとしたんだけど……その…ティアが心配だったから…」

そう言うと…

「あっ…ありがとう…」

ティアは…少し慌てながら礼を言う…

「こんな考え…オレだからするんだと思うけど… 目に見えるものを…自分で聞いたものを… 自分自身を…信じればいいんだと思うよ。例え…ティアが大詠師派であっても…中立って言ってたけどね。 少なくとも…オレはそうしてる……かな? 人の意見だけで…言っている事だけで判断せずに実際に見て判断してる。そのほうが確実だし… あははっ……オレにとっては全てが新鮮だからだと思うけどね?」

そう言って笑いかける…

「………そう…ね。 私もそれが一番だとおもう…けど…」

やっぱり…

「うん…これは、あくまでオレの意見。……強制じゃないし、決めるのはティアだと思う。唯…時折見るくらい表情が気になったからね……。 笑顔になればいいよ。あの夜の時みたいな笑顔が戻ってくれれば…俺は嬉しいから。」

そう言うと…

「………ッ// もう……貴方、あの夜のこと… もう忘れたの?」

ティアが少し顔を赤らめながら話す…

「え?」

アルがきょとんとする。

「そう言う風に…言われたら… 貴方だったらどう…思う?」

ティアは…声が小さいが…そう言った…

「あ……そっか……そうだね… あはは… ごめんね…また……。」

アルは苦笑いをする。

本当にジレンマだ……。

「謝る事じゃないわよ… 純粋に…そう想ってくれているなら…私だって嬉しい…。 フフ……… これからもよろしくね…」

ティアは笑顔に戻っていた…

この笑顔を見れて… 良かったと思う…





           ………願わくば…ずっと笑顔でいられますように………





side out








翌朝…

「ルーク様、おはようございます!」

メイドがルークを起こしに来てくれたみたいだ…

羨ましいね… 苦笑

「ふぁ…?」

ルークは寝ぼけていた。

「今朝方国王陛下様から使者が参りまして、来るように。とのことでした!」

そう言う。そして、それを聞いたルークは直ぐに目を覚ましたみたいだ。

「オレ…外に出ていいのか?」

驚きながら聞く………。

ずっと軟禁生活だったんだ… 無理もないことだろう。

「よろしいようですよ。」

笑顔でメイドは答えた。

それを確認すると…ルークは窓の外を…静かに眺めていた。








【謁見の間】







メンバー全員がそろったところで話が始まった。

「昨夜マルクト帝国と和平条約を締結する事で合意した…」

陛下が…そう宣言した。

「!!」

アルは…驚きと・・・歓喜… いろんな感情が頭をめぐり…。

上手く感情が…表せれない…。

そんな表情をしていた。

「「フフ…」」

ティアとイオンはそんなアルを見て… にこやかに笑っていた。

「ほんとか!じゃあもう戦争は!」

ルークも喜びながらそう言うと…

「いや…条約締結の前にやるべき事があるのだ。」

「?」

それは…

「親書には、和平の締結と共に救援の要請があったのです。」

側近がそう言うと…

「それって…っ!!」

アルが慌てていた…

静かにだった為、話しの腰を折らずにはすんだようだ。

「はい…… アクゼリュスの事ですよ…アル。」

側にいたイオンがそう言う。

「…そう…だよね……。 よかった…よかったよ……。」

アルは…ほっと、肩を下ろす…

アルにとってはそれが何よりも大切な事だからだ。

大切な…人たちが暮らす所…

そこを救う為に… してきたのだ……。


そして・・・以前イオンが言っていたとおり、マルクト側からでは救援にはいけない事も話しにでて、こちらから向かう事となった、

そこでルークを親善大使と選んだのだ。

当然ルークは。

「オレぇ…?やだよ!も めんどーなのはごめんだ!」

そう一蹴…やっぱり… 苦笑

「そう言うなルーク。この役目はお前で なければならない意味があるのだ。」

陛下は意味深にそう言う。

「何だよ?意味って?」

ルークがそう聞くと…

騎士の1人が譜石を持ってきた。

その譜石はキムラスカの領土に降ってきた ユリア・ジュエの第六譜石の一部だと言っていた。

「ティアよ… この下の方に記されている予言(スコア)を読んでみなさい。」

そう言うと、

「はい。」

ティアは前へ出る…



『ND2000 ローレライの力を継ぐ者、キムラスカに誕生す 其は王族に連なる赤い髪の男児なり 名を聖なる焔の光と称す…』



ティアが読み上げていく…

「!!!!聖なる…焔…?」

アルが驚きながら聞く…

その単語は…聞いたことがある…

それは…幻聴の声の言葉だ…

聖なる焔…と共に…解放…?

その内の1つが…ここに生まれた赤い髪の男児… ルーク?

そして ルークの方をむいた、ルークも別の意味で頭を抱えていた。

「あーー!全然意味わかんねーぞ!!」

そう言うと…

「これはルーク…お前の事だ、」

陛下がそう宣言した。

「え?」

ルークも驚いていた。

「ルークとは…古代イスパニア語で『聖なる焔の光』と言う意味です。」

「オレのこと…なのか?」

ジェイドがそう言うと…ルークはそう確認した。

そして、ジェイドも頷く…

「なるほど… でさ、イオンが黙ってたのはなんで?」

アルがイオンにこっそり耳打ちした。

「すみません… 意味は分かっていたのですが… 確証がなく アルに言っても混乱させるだけだと判断してました…」

イオンが俯く…

「はぁ…怒ってるわけじゃないよ。確認したかっただけさ。イオンの性格はわかってるから、大体想像はついたけどね?」

そう言って笑った。

「…はい… すみません。」

「謝るのはもうなし!……ね?」

そう言うと、イオンが笑顔になる、

「ありがとう、アル!」

イオンは謝罪じゃなく・・・礼に変えていた。



『彼はキムラアスカ・ランバルディアを新たなる繁栄に導くだろう…

ND2018 ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れ鉱山の町へと向かう…』



そこまでで…ティアの声が止まった。

「ここから先は欠けています。」

そう言うと、

「結構…これでわかったであろう。」

陛下がそう言う。

「それまで已む無く軟禁生活を強いてきた…だがお前は今こそ英雄になるの時なのだ。」

ファブレ公爵…ルークの父親がそう言った。

「英雄… (やっぱり師匠(せんせい)が言ったとおりだ!)」

ルークは…船の上で言われた事を思い出し…ヴァンの方を見た。するとヴァンは、

「やれるな…?」

そう聞いていた。

「うん! オレやるよ!」



戦争を回避する為に英雄となる為にルークは力強くそう宣言した。

そして、一行は準備に入っていった。









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