#40 七年前の誘拐の真実
「師匠(せんせい)!!これすげーチャンスだよな!」
ルークはヴァンに呼び止められ、城のテラスへ来ていた。
「ルーク…良く聞いてくれ、あの予言(スコア)には続きがあるのだ…」
ヴァンは辺りに誰もいないことを確認しながらそう言った。
「続き…?」
ルークは何のことかわからないが、ヴァンの言葉だからと真剣に聞く。
「『若者は力を災いとし、キムラスカの武器となって…』とある、教団の上層部はお前が戦争を齎すと考えている。」
そう言うと・・・ルークは慌てて、
「そんなことあるわけねーよ!」
否定した、師匠(せんせい)の言葉だったが…
武器となるという事は、自分自身の意思で武器を使う・・・即ち攻撃するという事だ。
自分がそんなことをするわけ無いと考えていた、
だが・・・
「ユリアの予言(スコア)は外れた事はない… 一度もだ。」
そうキッパリと言う。
「じゃあ師匠(せんせい)!どうしてさっき!」
そう聞く!
「戦争を回避して、お前が自由を掴む方法がある、予言(スコア)には…お前がアクゼリュスの住民を連れて移動する結果…戦争が起こると読まれている。だから、人々を動かさず超振動で障気を中和した後、私と一緒にダアトへ亡命すればいい。」
「亡命?」
「私の元へ来い。神託の盾(オラクル)騎士団の一員として、」
そう聞くと…ルークは喜んだ。
「師匠(せんせい)の所に行っていいのか!」
再確認!
帰ってきた返事はもちろんOKだった。
だが不安があった…
「でも…やれるかな… 超振動だって自分で起こせるかどうか…」
そう言って顔を俯かせていたら…
ヴァンが肩を持つ、
「私の力を貸す、問題はない。」
そう言うと、直ぐに笑顔になり、
「わかった!」
そう言った。
「このことは誰にも言ってはならないぞ…?キムラスカの人間に聞かれれば、お前を亡命する機会がなくなってしまう…」
もちろん話すつもりなどないが…
ルークには1つ疑問があった…それは、
「なぁ…なんで師匠(せんせい)はオレの事を親身になってくれるんだ・・?」
そのことだった・・・
これまでも…自分のことを考えてくれていた…
ただ…聞けなかったが、ここまで大きな事をしてくれる以上…聞かずにはいられなかったのだ。
ヴァンは…
「お前は…幼いお前は私と共に、ダアトへ来たがっていた。そう言っていたのだ、超振動の研究で酷い実験を受け、逃げたがっていた…」
そう言うと…ルークには当時の記憶は無いため、
「オレが…そう言っていたのか…?」
逆に聞くことになってしまっていた。
そして次のヴァンの言葉に最も驚いた。
「ああ…だから私はお前を攫った7年前のあの日に…」
「ええ!!師匠(せんせい)が!!!」
そう…
マルクトの仕業と今まで考えていた誘拐は…
誘拐をしたのは他の誰でもない…ヴァンだったのだ。
「今度はしくじったりはしない…私にはお前が必要なのだ!」
ヴァンがそう言うと…ルークの目の色が変わる…
なぜなら…他人に必要といわれた事など…一度もなかったからだ…
「師匠(せんせい)だけは…いつもオレに本気で接していてくれたもんな・・・オレ…師匠(せんせい)についていくよ!」
迷いはなかった。
師匠(せんせい)についていこう…そう決心した。
「よし! では行こうか・・・ お前の未来を掴み取る為に…」
そう言うと、ルークは返事をする…
それは「ああ」や「わかった」ではなく…
「はい!!」
敬礼だった。
その話を…聞いていたものがいた…
そのものは… 一歩もその場を動かず…二人の会話のみに集中していた。
翌日…
イオンは城の外へ出ていた。
アルからは1人で大丈夫か?と聞かれていたが、街中だし、騎士が付いてくれている為問題ないと伝えていた。
アルはアルで見てみたいことがあったらしく、今回は付いてくる事はなかった。
「すみません…無理を言って。」
イオンが騎士の1人にそう言う。
「いえ!大丈夫です、」
そう言うと…イオンは笑い。
「朝の街を見たかったので。」
そして、街を一望でききる場所へ走る…
「はぁ……」
その景色を見ながら… 風に当たっていた…
その時!
「ぐああ!!」「がはっ!!」
騎士の2人の叫び声が聞えた!!
振り返ると…
3人組が立っていた。
「導師…イオンだね…?」
リーダー格らしき女がそう聞く…
「貴方達は!」
そう言うが…それには答えず。
「大人しく付いてきてもらいましょうか… さもないと…」
女は目で2人に合図すると…
2人の男は武器をだし、倒れている騎士たちに当てた。
「っ!!」
イオンは…抵抗しない事を…きめ…た。
それを確認すると…
「うふっ…」
女は薄ら笑いを浮かべた。