小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#44 バチカル廃工場?




























そして、一行は奥へ…  



ナタリアは・・・暫く同行している時…

昔を思い出していた…

約束をした時のルークと記憶を失った時のルーク…

あまりにも違う二人…

まるで顔だけは似ているが別人のようだった…

自分を忘れている事もそうだが…あの約束を忘れられた事の方が・・・ショックが大きかった…

そして涙を流した事もある…

でも…必ず…元のルークに戻してみせる… それが何よりの望みであり…目標だった…


難しい顔をして考えているナタリアを見てジェイドは…

「…幼馴染であり、婚約者である貴女から見ても…彼の記憶障害は酷いものですか?」

そう聞いた。

返ってきた答えは…

「心配はしておりません!必ず元のルークに戻して見せます!そして…あの約束も…必ず…」

そうキッパリと言い放つ。

そして移動速度を上げた…

そうすれば…彼の記憶も早く戻し、目的地にも早く着く…そう考えていたのかもしれない…

「おい!ゆっくり行こうぜ!」

「焦ったって仕方ないのに〜」

ルークとアニスがそう言うが、

「導師イオンかどわかされたんですよ!それに…アクゼリュスでは人々が苦しんでいるのです!」

そう言って、聞く耳を持たない。

「アクゼリュスのことを心配してくれるのは…とてもうれしいけど、そんなに焦って行ってたら危ないよ!」

アルがそう言い。

ティアも。

「私も気持ちはわかるけど、あるの言う通りよ、こういう時こそ慎重に行動するべきよ。」

アルと同意見。

「そうですよ。ナタリア様。」

ガイも同様だった。

でも……。

「ガイ!私の事は呼び捨てになさいといったはずです!!」

そこを怒るんだ…。

別に今はオレ達しかいないのに… 苦笑

「さあ!早く参りましょう!」

前進あるのみ!と言わんばかりに速度を落とそうとしなかった。



その時!



「ッ!!ちょっとまって!」


アルが……叫ぶ。


気配が…感じたからだ。



「何ですの?さっさと行かないと日が暮れて・・・」

「「「「!!!」」」」



みんな気がついたようだ。

ナタリアも。

「あっ!」


上方に巨大な影が…



“シャアアア………”




先ほどの巨大な蜘蛛…っと思ってた奴よりも……さらにデカイ蜘蛛………。


まあ……はっきりいって……気持ち悪い!!


ナタリアはその姿を視認・・・ 確認すると。素早く弓矢を放つ!!


“ビュン!!”



が……!


“ガキィィン!!”



「ッ!!」


矢が……。

硬い甲殻に弾かれてしまった!


「クソッ!!」

アルは、弾かれた事に驚いたのか、動きの鈍ったナタリアに向かって駆け出す!

極大蜘蛛は そのままナタリアの頭上めがけて飛び降りてきた!!



“ガキィィィン!”

何か…硬いものに当たったような音が響く…!


「ッ!!!」


思わず目を閉じたナタリアだが……。

音はあっても、衝撃がこない…

目を開けると……

「ア……アル!」

アルが極大蜘蛛を受け止めていた。


「今のうちにッ!早く!!」


そうアルが叫ぶと……。

ティアがもう動いていた為、素早くナタリアを押し倒すように横へ飛んだ。


「よっし…… こっのぉ!!」



“ドガァァン!!”



蜘蛛を投げ飛ばした!!

体液とか出て気持ち悪いし!!!

それが、戦いの合図になった。

「行くぞ!!」

ルークの掛け声で、皆千党体制にはいる。


接近戦で、ルーク・ガイ・ジェイド・そしてアルの四人がかりで、攻める。





「うおおおおお!!」

「螺旋掌!!」

「瞬迅槍!!」

「真空破斬!!」




ルークは気合!他のみんなは所謂特技をご披露!!



“ズガガガガガガ!!ズバァァァン!!!”




四つに集中した攻撃はかなりのこう威力だ。

極大蜘蛛は……。



“ガッ……ゴッ………”



2、3歩よろめき…そして……。




“ドスウウゥッゥン……”




倒れ動かなくなった。



「……で?なんだ?コイツは……。」

ルークは死骸を見ながら呟く。

「この廃工場の主……といったところでしょうか?」

ジェイドは槍を腕へとしまった……。

しまうと言うか消えた。

そこへガイが。

「前から気になってたけど、その槍……。」

聞こうとした。

「コンタミネーション現象を利用した融合術ですよ。」

腕を見せながらそう言う。

確かに・・・腕の周りになにやら光っているのがわかる。

「こん……たみ………?」

ルークはもちろん知らないみた……。

だけど何も言わないよ?

しょうがないじゃん? 苦笑

「ええっと……。確か、物質同士が音素と元素の違いによって融合する現象のこと・・・だっけ?」

アルがそう聞いた。

自信あまり無かったようだ………。 苦笑


「そうです。生物と無機物は…音素(フォニム)はもとより……構成元素も違います。その違いを利用して、右腕の表層部分に一時的に槍を融合させているのですよ。」


はぁ……なるほど……。


「大佐だから出来るすっごい難しい術なんですよねぇ〜〜!」

アニスが自慢するようにそう言う。

ん………… まあ、ちょっと複雑だけど……。

所謂アニスだし? 苦笑

「なんですか〜?アル…」

「な〜んでもないよ♪」

みんな読心術を使ってくるのが厄介だよ……。

何?この集団は…… 苦笑

「はっはっはー!アルならば出来るようになるでしょう。もしよかったら、私がみっちり仕込んであげますが?」

にこやかーに……。

それでいて…ダークだ……。

だから…こそ!!

「謹んで遠慮させてもらいますよ♪」

完全に拒否!!

なにより怖そうだし……。改造されるかも……だよ。


「「たはははは……」」


ガイとルークは苦笑していた。


「あ!そんなことより……。」

アルはナタリアとティアの事を思い出した。

少し離れた場所にいた…。

どうやら……2人は無事のようだった。


「大丈夫!2人とも!」


駆けつける。


「ええ。」


ティアは問題なしのようだ。

ナタリアはなにやらもじもじと……。

「大丈夫??どこか怪我した?」

ちょっと心配になる……。

「いいえ…… あの……その……アル………?」

ナタリアは悪そうに俯かせていた。

「?」

なんだか、いつも…と言うかさっきと態度が違う…。

「ありがとう…… 助かりましたわ。」

ナタリアは…そう言いながら頭を下げた。

一瞬…理解できなかったが…。

まあすぐにわかった。

わかんなかったらおかしいか…  苦笑

「あははは…… いいよいいよ!無事でよかった。」

夢中だったから忘れてたよ……。 苦笑

「あっ……… アル…ケガしてますね。」

ナタリアはアルの掌を見る。

「ん…?ああ、受け止めた時にちょっとね?……うん。大丈夫だよ!」

手をヒラヒラさせながら、そう言う。

「だめですわ!化膿しては大変ですもの!」

そう言うと、ナタリアは、手を翳し……。


“パアアァァァァ…………”



治癒術を施してくれた……。

みるみるうちに…怪我が治癒してゆく……。


「あ……。」

そっか……。

そう言えば…彼女治癒術士(ヒーラー)って言ってたね・・・たしか、

「ふぅ、もう大丈夫です。」

そう言って、手を放す。

「ははは!これでおあいこだね!ありがとう。」

そう言って、アルは笑い……ナタリアも笑った。

そして、その後……。

みんなの方を向き。

「皆さんも、ご迷惑をおかけしました。これからは十分注意いたします。」

油断した事を謝罪した……。

皆…笑っていたが……。

例外が……。

「あれ……?案外素直?」

意外だと思ったアニスが……。

そして、問題児が……。

「へっ!足ひっぱんなよ!」

そう…毒舌なルークだ……。

「………」

ティアはルークを睨んでいた。

流石に頭にきたみたいだ……。

しわが……できてないけど… 苦笑

でも……見たくない…かな?

だから、アルは……。

「ティア、眉間にしわ寄せたら、将来、しわが出来ちゃうよ?」

そう言って笑いかける。


「……な!」


そう言って。顔を抑える。

「まあね……。僕も今のは流石にちょっとむっとしちゃったけど…… 今は もっと重要な事あるし……ね? ルークもきっと学んでいくと思うからさっ!」

そう言って、アルはティアとナタリアに笑いかけた……。



「……はぁ そうね。」

「重ね重ねありがとう・・・アル。」



そう言って、2人も笑ったのだった。




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