小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#56 英雄となる………




























イオンは扉の前に立つ。

「ふぅ…………」

両の手を翳し…………。

ダアト式の封呪を解いていく…………。

模様の1つ、1つが消え…………。

全ての模様が消えた時…………。

扉は完全に開いた。

「やった!」

ルークは、扉が開放されたことを喜ぶ。

ヴァンが言った事だからだ。

「よし、行くぞ…………」

ヴァンはルークに告げると中へと入っていった。

ルークも…………それに続こうとしたその時!


(やめろ!!行くんじゃねえ!!アクゼリュスを滅ぼすつもりか!!)


再び、アッシュの声が頭に響く。


「があ!!な……っ何をいってるんだ!お……っオレは 瘴気を中和させるだけだ!」



(お前は騙されてるんだ!!!)



アッシュは必死に敵と戦いながら叫ぶ…………


が…………ッ。



「うるさい!!!!」


一蹴…………聞く耳を全く持たない。


「ルーク…………、何をしている?」


そして、ヴァンの声で頭の頭痛が治まる…………。

「は………はい…………。」

頭痛は少しはするが、大分マシになったようだ。


「今こそ……。 お前の力で、瘴気を中和する時だ。」

ヴァンがそう言う・・・

「瘴気の中和?そんなことが出来るのですか?」

イオンが驚きながら聞く。

「出来るさ!」

ルークがヴァンに変わって答える。

イオンはルークの方を見た。


「オレは…英雄だからな!」


「……………………」


答えになってないが、イオンは何もいえなかった。





side out



アル side



「…………もう大丈夫だからね。」

アルは怪我人を支えながら、そう言う。

「…………アル。 ありがと…………な…………。」

息も絶え絶えだ…………

「言いっこなしだよ!ファンさん!」

そう…………今手を貸し、歩いているのは。

ファン…………。



【あの時】ガーランドさんをはじめ、数多くの仲間を助けてくれた……。

ガーランドに続いて屈強な鉱山の男。



そして、彼にも世話になったこともある…………。恩人の1人だ。

いや……、彼にとってはアクゼリュスの全ての人が、恩人といっても過言ではないだろう。


「へ…………へへ………… これがすんだらよ………。 一晩…………飲み明かそうぜ……?なあ…………アル。 それに…………マルクトの軍人さんも…………。」

ファンが笑いながら…………そう言った。

「あ…………はは!そうですね!」

「やれやれ…………、駄目ですよ。アルに酒はまだ早すぎると思いませんか?」

ジェイドも…………肩を貸しながらそう言う。

「ははっ…………ちげーねえが………… まあ、あれだ……。大人の階段に登るって奴だ…………。」


ファンも笑った。


「ふふ…そうですね。楽しみにしてますよ。だから………必ず、皆で助かりましょう。頑張ってください!」

「すまねえな…………もちろんだ…………」

「行きますよ!」

ジェイドとアルの肩を借りながら…………。

ファンをつれ……、もっとも濃度の濃いこの場所を抜けた。



「ふう…………まだ、沢山いるからね………… 頑張らないと。」

アルがそう言う。

満身創痍。そう言ってもおかしくない。

あの 大規模な譜術を使い……。

まだ、足元がふらついている状態だった。

でも……それでも。

皆彼を止める事はできなかった。



ジェイドも頷いた。

そして、再び戻ろうとした時!



「大変だ!!表で!表で神託の盾(オラクル)兵が!」



ガーランドが、慌てながらよびに来た。

「え?」

ただ事ではないと感じた。

何か何か…………とても不吉な事が起こるような…………。

そんな予感が体を走った…………。

アル…………ジェイド…………そして、皆も表に向かった。





ルーク side


光のような道…………。

そして、音素を纏った柱…………。

こんなの見た事がない光景だ。

「ふぉええええ………… 何だここ…………。」

ルークも圧巻としていた。

「ルーク、この音機関…………。パッセージリングに向かって意識を集中させるのだ…………」

ヴァンは指をさしそういう。

「はいッ!」

ルークは疑うことなく、先へと進んでいく。

「本当に大丈夫なのですか?」

イオンが心配そうに聞くが…………。

ヴァンは何も言わなかった。


そして…………


ルークはパッセージリングに向かい…………。

手を翳し、意識を集中させる…………。




“キィィィィィィィィィィィィィィン………………”




すると……ルークの手がみるみるうちに光り輝きだした。






  side out




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