小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#5 静寂を破る絶望

























(きゃあああ!!!!!!)



1〜2時間後だろうか、

突然 静寂な時が打ち破られた。

それは 悲鳴が聞えたからだ。

「なっ なんだ!サラ起きろ!」

「ん〜〜……」

まだ 眠たそうにしていたが、続けて悲鳴が聞えてきた為すぐに目が覚めたようだ。

「な…なにおにいちゃん…… みんなのこえが……」

「町へ戻ろう!」

そのままサラを抱えて来た道を引き返していった。



少し開けた場所で…… 悲鳴が起きた理由が分かった……

「モッ モンスター!!」

それは、オレの体ほどある泥人形…ゴーレム数匹と狼のような獣数匹がいたのだ。



「おにいちゃん…こわいよ……」

サラは震えていた。

「サラ…… オレの後ろにいろ。」

サラを後ろにやり、魔物(モンスター)から遠ざけた。




“ガルルルル…”




今にも飛び出してきそうな感じがした。

この感じが魔物(モンスター)の臨戦態勢なんだろう。

(迂闊だった…… 坑道の中に魔物(モンスター)はいると聞いていたが、町まで出てくるなんて……)

魔物(モンスター)がいるのは坑道の奥の方……

町にまででてくることはこれまでに一度も無かったと聞いていたのに……

(嘆いていても始まらない!サラは絶対に護らないと…… だけど丸腰のオレに何ができる? 隙を見て逃げ出すか? しかし 敵の数が多い…… 何か無いか??)

あたりを見渡す……

しかし 武器になるような物は無かった。

次の瞬間!



“ガアアアアァ!!”



一斉に魔物(モンスター)が飛び掛ってきた。

「くそ!!!」

蹴りを放つ。



“ギャン!!”



やぶれかぶれだが、一匹にはカウンター気味に当たり、蹴り飛ばすことに成功した。

しかし……



“ガッルアアアア!!”


後の数匹の攻撃はかわせず、爪・牙の連撃を受けてしまった。

「がっ!!」

膝をつき痛みを堪えようとするが、



“グオオオオオ!!”



次は移動速度の遅いゴーレムがその豪腕を振り上げそのまま放った。



“ドガァァアァ!!”



「がはぁあっ!!」

洞窟の壁に激突した。

「く……くそっ……」

アルは体がバラバラになりそうな感覚に襲われていた。

サラはその場から動けず、涙を流しながら、

「おっ おにいちゃん!!!」

サラは力いっぱい叫んだ。

その叫びに魔物(モンスター)達が反応し、

標的を動けないアルでは無く、サラに変えた。

「くそぉ!サラ!!に にげろー!!」

叫ぶ……

しかし ショックが大きいのかサラはその場で震えているだけだった。

もう 数秒もせずに 魔物(モンスター)達は襲い掛かるだろう。

「頼む!逃げてくれ!サラーーー!!」

動けない体にムチを打ち、立ち上がろうとするが体が言う事を利かない。

絶望がすぐそこまで迫っていると言うのに……

その時、

ガアアアア!!

絶望(モンスター)達が一斉に飛び掛った……

サラに届くか届かないかの刹那の瞬間

目の空間が…… いや……




「世界」が止まった……




-6-
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