＃６ 覚醒した得体の知れぬ力
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「な……なに？？」
理解できない。
なんだ……？ なんなんだコレは……？
サラに飛び掛ろうとしていたモンスターたちが……
空中で静止している…
「ッ！！！」
これは……
いつか…確かに聞いたことのある声が再び聞えた。
「何なんだ！これは！ この声は！」
やはり途切れ途切れの内容だ。
肝心の所が聞えない。
「な・・・なに？」
声が…… ハッキリ聞こえだした。
「どういうことだ！ 何なんだお前は！」
「っっ！！」
その「声」に鼓動が高鳴る……
「頼む…… あの子は助けさせてくれ…… お願いだ。お願いします！」
今の思いの全てをその「声」にぶつけた。
その声が終わると同時に、
「世界」が再び動き出した。
「いやああああ！」
サラの叫び声だ……！
「っ！！」
気付いたら……
魔物(モンスター)達とサラの間に入っていた。
「おにいちゃん！」
「遅くなった、ゴメンな。」
体中から力が…… 不思議だ。
力が湧くような感覚だった。
単なる腕力じゃない……
これは…譜術の……？
一瞬考えをめぐらしたが……あまり考えている時間は今は無い！
「我らを護れ聖なる盾…… 干戈を和らぐ障壁（かべ）となれ」
掌を突き出す。
「ミスティック・シールド！」
“バキィィイィン！”
2人を包み込むような壁が現れた。
“ドカアアァッ！”
“ギャン！！”
魔物(モンスター)達は壁に正面衝突した。
突進の勢いそのままに来たため結構なダメージになったようだ。
「サラ…… この中にいれば大丈夫だ。これが俺たちを護ってくれる。ここから出るんじゃないぞ。」
まだ震えの止まらないサラだったが、アルの声を聞き少し震えが収まった。
「おにいちゃん…… は？」
どうするつもりかと聞く……
「あいつらがいるとここから出れないだろ？」
そう言って魔物（モンスター）の方を向く。
「あ あぶないよｌ！」
サラは目に涙を溜め 腕にしがみついてきた。
そんなサラの頭の上に手をおき、
「大丈夫…… サラのおかげで少し思い出した事があったんだ…… 記憶…… オレの戦いの記憶を……」
記憶を取り戻したのは嘘だ。
思い出したわけではない。
これは……
この力はオレのものではない。
まるで体に馴染まないのだ。
昔から使っていたのならば、少しは馴染むはずなのだが…
なんだか…借りている力……
その表現が一番しっくりくる。
しかし 今、サラを護れるならなんだって良い！
そして軽くウインクしながらサラの頭を撫でる。
「あ……」
サラは落ち着きを取り戻し笑顔になった。
大好きな人に撫でられているからだ……。
「すぐに終わらせるよ。 町の皆もみんなも心配だしね。」
そう言うとまだ結界の周りで警戒している魔物(モンスター)達の方へ振り向き結界の外へ出た。
「さて…… 派手にこの得体の知れない「力」を使うとこの坑道が崩れるかもしれないからな…… 魔物(モンスター)には魔物(モンスター)を……だ……。 サラを襲おうとしたお前達をオレは絶対に許さない……。」
アルは魔物(モンスター)達を睨みつけると共に、詠唱にはいる……。
「熱く滾りし獄炎…… 聖なる龍の姿となりて…… 我が敵をを喰らい尽くせ」
アルの腕が炎で包まれるとその炎の形が変わっていく……。
「ドラゴン・フレイム！」
ドゴオオオオオッ！！
それはまるで意思を持っている炎龍（サラマンダー）・・・
炎龍（サラマンダー）が魔物（モンスター）達に襲い掛かった。
“ギャアアアッ！”
“グオオオオアッ！！”
瞬く間に、モンスター達は炎の龍に捕らわれ、焼かれながら逃げていった。