小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#61 認めたくない事実………ルークの正体



























【監視者の街 ユリアシティ】





「泥の海………充満している瘴気………不思議な色の空………。」

そう………この世界の印象はそれだけだ………。

見渡す限り、泥の海………

空はこの海を写しているかのように紫色………

そして、充満した瘴気………

人が生きている環境には思えないほどの………世界。

まさに魔界………。

「こんな所に本当に街があるなんて………。」

驚いていた……。

「………………ほんとぅ………だね。はは………これじゃ……満足に空も眺めれないや………。」

アルが傷を抑えながらだが……。

必死に笑みを浮かべてそう言う。

「無理しないで下さいよ………アル………。」

イオンが明らかに、無理して……笑顔でそう言っているアルの肩に手を当てながらそう言う。

「オレは………さっきも、皆に驚かせちゃったし………それに……何度も迷惑かけてるし………ね………? もう大丈夫だから………。」

アルは笑顔を崩さぬよう……イオンそう言った。

その時。

「申し訳ありませんが………アル。 今は信用できませんね。」

傍にまで来たジェイドがそう言った。

「ジェイド………?」

ジェイドはいつもの顔じゃなかった。

本気で心配してくれているような………そんな表情をしていた。

そして………。

「休みなさい………。 今の貴方に必要な事は、十分な休息です。大丈夫などと言うのは、虚勢………。貴方は心と体に深く傷を負っているのですから。」

そう言うと、ティアに向かい。

「ティア………彼を、休ませることは出来ますか?」

そう聞くと、ティアは…。

「はい。大丈夫です。まずは市長に会わないと………」

頷いた。

ティアも賛成のようだ。

「ジェイド………。」

アルがジェイドのほうを見ていると……。

「今回ばかりは是が非でも聞いてもらいますよ。常人なら………それこそ 精神崩壊しかねないほどなのです。………そして 貴方のその両腕の傷もね。」

何かを言う前にそう釘をさす。

有無を言わせない。そう言う感じだ。

ジェイドが指した、包帯の巻かれた腕は………。

とても……痛々しかった。

見ている方が激痛が走りそうで……。

それは……腕を構成する音素がズタズタになっているのだ。

痛みを感じないほどまでに達しているというのが妥当であろう………。

「………うん。 ………わかった。」

アルは素直に頷く………。

すると……我慢していたものが……一気に出てきたのか……。

「あ………はは、ゴメン………皆………。オレ……本当に 無理………みたいだ………」

糸が切れたように……アルは再び膝から崩れ落ちる………。



“ガシッ!”



「おおっと!!」

アニスが咄嗟にトクナガを使いアルを支えた。

「無茶しすぎなんだってば!アルは!」

アニスはアルの顔を見て……そう言う。

「ゴメンね………?アニス………。」

支えられているのがアニスだと確認すると……アルはお礼を言っていた。

「良いよ!アルが元気ないと私も張り合いないしね!」

そう言っそのままトクナガにのせ。

そして、皆は街へと歩き出した。







そう、1名を除いて………………。






ティアはルークを確認する………。

そして、呆れるようにため息を吐く。

「………行かないの?」

そう聞いた。

そして、返答は………。


「どうせ皆オレを責めるんだ………。行きたくねえ。」


その子供じみた言葉に再びティアは再びため息を




そんな時!




「とことんクズだな!出来損ない!」



背後より、怒気を含む叫び声のようなものが聞こえてくる!



「!!アッシュ!!」



いつの間にか、後ろにアッシュが立っていたのだ。

「どうして貴方がここに?兄さんに連れて行かれたんじゃ………?」

そう聞くと。

「ふん……たかがグリフィン1匹だ、どうって事無い。」

そう言うと………。

ルークは一目散に駆けつけ。る

「師匠(せんせい)は!?どうしたんんだ!!」

それが、聞きたかったようだ………。

その問いにアッシュは心底あきれたようだ。

「はっ、裏切られてもまだ師匠(せんせい)か?」

その言葉を聞いてルークの表情が青ざめる………。

夢だと……思いたかったのだ。

「じゃあ………師匠(せんせい)は本当に………?」

……そう、信じたくなかった。

嫌な夢なら覚めてくれ……と………


「オレが、もっと早くに、ヴァンの企みに気付いていれば………。くっ! お前もお前だ!何故深く考えもせず、超振動なんか使いやがったんだ!」

そう怒鳴りつける!

「お前までオレを責めるのか!俺が悪いってのか!!おれは………オレは!!!」

アッシュは更に苛立ち……。

「冗談じゃねえ……… 糞が!レプリカってのは脳みそまで劣化してるみたいだなぁ!!」

!!??

聞き覚えのある単語が………

「アッシュ!!」

ティアが慌ててアッシュを止めようとする。

「レプリカ………? そういえば………師匠(せんせい)もレプリカ………って…………どこかで聞いたような………。 ああ………………ッ!」


ルークは……頭によぎった言葉を思い出した。

それはジェイドが言っていた………。


【模造品】と………。



「はっ………お前………まだ気付いてねえのか?これはとんだお笑い種だ………。」

アッシュはあざ笑うかのように続ける。

「なあ?俺とお前………どうして同じ顔をしてると思う?」

アッシュはそうルークに聞く。

「し………しるかよ!」

ルークは、後ずさりながら………。

「オレは七年前ヴァンって悪党に誘拐されて行方不明になった………。 どこかで聞いたことあるだろう? 」

薄ら笑いながらそう言う。

「な………っ そ……それって………。」

ルークは目を見開く………。

それは、その話は………。

「元はバチカルの王族に連なる公爵家子息 父親の姓はファブレ……… なぁ?同じ出自の人間がふたり 不思議だよなぁ?どういうことだと思う………!?」

そう言う。

それを聞いたティアは。

「やめて!!!アッシュ!!」

ティアは 必死に止めようと声をあげるが、アッシュは止めようとはしなかった。



「ま………まさか……………」



自分の正体は……。

ルークは………体が小刻みに震える………





「そうさ!お前は俺の模造品!【ただの劣化複写人間】なんだよ!!」





アッシュはそうはっきりと答える。




ルークの………【正体】が明らかとなった瞬間だった。





「うそだ………うそだうそだ……… うそだ……… うそだうそだうそだうそだうそだあああああああああああああ!!!!!!!」


ルークは、頭を抱え錯乱する!

そして、そのまま!



「うそだあああああ!!!!!!」



剣を構え!アッシュに襲い掛かった!

自分の存在が………そんなものじゃないと、否定するために!




「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



ただ……剣を振り回す!

「やめなさい!!ルーク!!」

ティアが叫ぶが………ルークには全く届かない。

それは唯……獣のように暴れているだけだ。

剣術のけの字も知らない全くな素人な太刀筋。

アッシュは初めは、唯………攻撃をかわすだけだった。

かわしながら………アッシュが考えていたのは。




(こんなクズに………ッ俺は………家族も居場所も奪われたのか!!)




そのことだった。

全てを奪ったのは………誰でもないルーク。

もう1人の俺(レプリカ)だったのだ。



「でやああああ!!!」


“ガキィィィィンッ!!”


怒りの一閃。

それはルークの剣を一気に弾き返す。



「うわあああ!!」



ルークは堪え切れずに吹き飛ばされてしまった。




「死ねええええええ!!!」




アッシュはそのままルークに剣を突き立てる!!



「やめなさい!アッシュ!!!!!」



ティアは必死に止めようとする!



ルークの最後に見たのは………。


憎しみしか篭っていないアッシュの表情。


……アルに向けられた殺意。


それと同じような……顔だった。










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