小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#7 助けられた命






























「……………ふぅ よかった。逃げてくれたか……」

安堵のため息をしながら、腰を落とした。

「おにいちゃん!!!」

背後に軽い衝撃を感じた。

サラだ……。

「おっ おにいちゃん……へーき??ケガしてないっ!?」

泣きながらすがりつく…。

大声で泣いていた為多少耳に響いたが、それが心地よく感じるのはサラが無事だったからだろう。

「ああ、大丈夫だよ…… サラも……無事でよかった……。」

サラの手を握り抱きしめ返した。

「ははは… 本当に…本当に……良かったな……」

「うああああん!おにぃちゃぁぁん!!」

暫くの間サラは泣き続け……

そして泣き声が聞えなくなった。

眠ったのだ。








「すー…すー…すー…」

規則正しい寝息が聞こえてくる…

無理もない、

つき先刻まで襲われかけていたのだ。

小さいサラにとって、凄まじいストレスだったのだろう。

アルに抱かれている時、安心しきり、眠ってしまったのだろう。

「よしっ……」

サラを抱きかかえ町の方へ向かった。



町の方では……

被害こそ少なかったが、まだ少々モンスター達はいた。

坑道の入り口付近に男達が集まり抗っていたのだ。

何体かは町に入った形跡はあったが、全て撃退していた。

まだ予断を許されないが、少なくとも事態は収拾に向かっていると感じた。

「ガーランドさん!!」

坑道の入り口より少し離れた場所で、怪我人を運んでいるガーランドを見つけた。

「あ…… おお!!アル!サラ!!無事だったか!!心配したぞ!!」

すぐさま駆け寄り、寝ているサラにお構いなく2人を抱きしめた。

「うううん……」

サラは苦しそうな声を上げたが、表情はとても穏やかだった。

「はい……ガーランドさんも良かったです…… 魔物に襲われた時はみんなどうなっているかと心配でした……」

「お前達も襲われたのか!!!それでよく無事だった…… サラの事も…… 本当にありがとうな……」

抱きしめる力が強まる。

「ははは……オレも良かったです…… さあ まずはサラを安全な場所へ。」

そう言うとガーランドはアルとサラを開放した。

「そうだな。ハグは後でゆっくりとするとしよう。こっちだ、レイが町の皆を手当てしている。」

そういうと集会場へ向かった。


「サラ!!!」

ガーランドにおぶられている、サラを見たレイは、涙を流しながら駆けつけた。

「サラ!!ぶっ 無事なの!!!」

「ああ!アルが連れ帰ってきてくれたよ。」

ガーランドはアルのほうを指差した。

「ありがとう…本当にありがとう…アル……」

涙を流しながらアルに礼を言った。

「いえ…良いんですよ…… オレも良かったです…… みんな…皆無事で……」

アルもまた目に涙を溜めた。

その時、

力が抜けたのか、背中・腕に鈍い痛みが走った。

「ぐっ……」

その場にアルは膝をついた。

「「アル!!」」

2人はアルを抱え傷を確認した。

「こいつぁ……ひどい…… お前ここまでの傷をおって……」

「アル……」

傷を見てサラとガーランドは悟った。

おそらくは、サラを庇ったのだろうと、

サラには 傷ひとつない、所々汚れた箇所や、服が破れていたりしたが、

それは遊びにいく時は、大抵つけるので日常茶飯事の事だ。

レイは、アルを抱きしめた……

そしてガーランドもまた、レイとアルを包み込むように抱きしめた。

「こんなになるまで…… サラを護ってくれたんだな…… アル……」

「ありがとう……ありがとう…ありが…とう……」

レイは涙を流しながら……ガーランドは声を振り絞りながら言った。

「ははは… 安いもの…ですよ。 サラの命に比べればこのくらいの傷…… 本当に皆無事でよかったです…


アルもまた、2人を抱きしめた。

傷の痛みはまだあったが……

とても…とても心地よかった。


「アル… 痛まない?」

暫く抱きしめられていたが……

まだまだすることがある!とガーランドは再び町を護る為外に出て行った。

アルも行こうとしたが、レイとガーランドに止められた。

まずは傷の手当てをしろ!って凄い剣幕で……

「はい!大丈夫ですよ…… レイさん。 それに…オレにはこれがあります。」

すっと立ち上がると、

他の怪我人の所へ行き、しゃがみこみ怪我人に手を当てた。

すると…みるみるうちに傷が治っていった。

「!!そっ……それは治癒の譜術…… 第七音素(セブンスフォニム)?アル……あなた第七音譜術士(セブンスフォニマー)だったの…?という事は……ひょっとして記憶が!?」

治癒の力に驚きアルに聞くが。

「いえ…… なんて言えばいいんですかね…… 洞窟で魔物に襲われたショックで・・・何か思い出したんです。オレが使える力のことだけですが…ね。」

頭に「声」が聞こえたことは説明を省いた。

上手く説明する自信がなかったからだ。

「なので、自分の事は大丈夫です。怪我人の治療を手伝います!」

レイにそう言い運ばれてきている怪我人の治療に当たった。

「ふふふ…… あなたが来てくれて本当に良かったわ……」

少し驚いた表情をしていたが直ぐに穏やかな顔になり

小さな声で……呟いた。


「え?何か言いました??」

治療に当たりながらレイの方を見た。

「いーえ!ありがとう!って言っただけだよ!」

レイは笑顔を作り、アルと共に看護に当たった。



-8-
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