小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#70 ユリア・ロード 外郭大地へ


























そして……ティアの部屋では。

「……そろそろ、外郭へ戻った方がいいと思うんだ。皆にも心配をかけてるしね。」

アルがそう言う。

「ええ……私も、セントビナーの事もあるし。そう思うわ。」

ティアも賛成だが……少し複雑な表情をしている。

「オレも!ちゃんと、自分の目で見ないといけないから。他人の意見に流されるんじゃなくて……ちゃんと自分の足で……自分の目で。」

ルークも同様だった。

ただ……

ティアは、

「アル……大丈夫なの?その……」

言葉を濁す。

「……わかってるよ。ティアが言いたい事。」

アルは……少し表情を落としてはいるが……笑顔でそう言う。

「だって……凄く優しいから………。」

そう言って微笑む。

「っ……もう。何を言ってるのよ。」

ティアは…ちょっと照れながらそう言う。

「ッ…… そうだよな。オレも…今気づいた。その……アル。あの子の傍…離れても大丈夫なのか……?」

ルークは初めは理解するのに時間がかかったが……すぐにわかった。

別の部屋で眠っている少女の事……だ。

気づくのが遅いな……そう感じ、表情を落とす。

「ははは……。大丈夫だって言ったらちょっとうそになるけど……でもね?」

アルは、2人を見て……。

「サラと約束したんだ……。」

そう呟く。

「約束?」

ルークは聞くようにそう言う。

「………。」

ティアは黙っていた。

あの時教えてくれなかったことなのかもしれない……考えていたのだ。

アルが話した内容は……。

【わたしみたいな おもいをするコが………そんなの、いやだよ。】

サラが……そう言っていたことを話した。

自分の事より……他人を……これから起こることを……懸念していた。

そんな優しい少女の願いを反故にするなんて……。

アルはしたくないし、出来ないのだ。

たった一人……残った家族だから……。


「寂しい思いをさせたくないっていうのは勿論ある……けど、約束だから。破っちゃったら怒られちゃうからね……。」


アルはそう言う。

寂しそうだが……笑顔で、

その事も約束した。

笑顔じゃなきゃダメ……そういわれたから……。


「アル………。オレ……オレ………ッ…。」


ルークが再び、罪悪感に苛まれてると……。

「ルークっ!」

アルがルークの傍まで来てそう言う。

「おわっ!」

突然の大きな声に驚いて見なおすと…。

「ごめん!そう言うつもりで言ったんじゃないんだ!だから、そんな顔をするの止めて?サラは……あの子は笑顔が好きなんだ。皆の…ね?だから、オレも頑張るから。ルークも頼むよ。」

そう言った。

「あ……。」

ルークは、アルのそんな思いを聞くと……。

これ以上の続きの言葉はいえなかった。

「あ……ああ!わかった。」

そう言って笑顔……に戻そうとしてくれた。

「ふふふ………。」

そんなやり取りを見ていたティアも笑顔を作る。

「ところで……アル?」

ティアがアルに聞く。

「??どうしたの?」

アルが聞くと……。

「以前言ってたけど…… サラちゃんが起きる前にその約束を話してよかったの?」

そう聞いていた。

以前言っていたこと……せめてサラが起きるまで……と言っていたことだ。

少し恥かしそうにして……。

でも、さっきの内容にそんな感じは無かったから……ちょっと不思議だけど。

「あっ……ああ……その……約束は…1つじゃないんだっ。その……///」

アルは…ティアに言われた事を思い出し…。

そして、同時にその約束も頭をよぎる。

おねえちゃんを……目の前のティアを泣かせないで……そう言っていたことだ。

………言えるわけない。

この場所でなんか…… 苦笑

「ふふふっ……そのことはまた、いずれ……聞かせてね?」

ティアは察したのか、そう言って終わらせた。

「あっ!それならオレも聞きたいな!」

ルークも……同時に!

「あ………う……うん。いずれ……ね?」

アルは、ぎこちないがそう返事を返した。

そんな顔を見て、皆自然と笑顔になる。

そう……眠っている少女の想いの通りに……。






サラのことは街の皆に任せる事にした。

アルには、やらなきゃならない事がある……。

そう、さっきティアやルークに言ったように、サラとも約束した事だ。

それを、眠っているサラに伝えると……。

心なしか………。

彼女の顔が…サラの顔が……。

寝顔が笑っているように見えたんだ………。

他の2人もそう見えたと言ってくれた。

サラが笑顔で見送ってくれたんだ。

だから… 安心して……こちらも笑顔で行くことができたんだ。


















そして…ユリアロードにて…。

「僕っドキドキしますの!!」

ミュウはルークに掴まりながらビクビクしている。

「大丈夫よ。ミュウ。さあ、道を開くわ。」

ティアがそう言うと…

地面に彫られた紋が光り輝く!!

「ッ!!」

光に包まれた途端!







“パァァァァァァァァァァァッ!!!”








なぜか、水の中に!!


「へっ???」

「みゅううぶぶぶぶ!!!おぼれるでずの〜〜〜!!!」

ミュウがジタバタ…

「はい!ミュウ。」

アルがミュウを持ち上げる。

「あ…ありがとうですの!おぼれる所だったですの〜〜!!」

お礼を言ってる姿も何やら可愛いな… 苦笑

「大丈夫。ぬれたりしないわ。」

ティアがそう言う。

「あれ?」「おお??」

ルークもアルも、驚きながら、水を確認する…

「本当だ…ズボン全くぬれてない……」

そう、水に浸かっているというのに衣類が全くぬれてないのだ。

「どうなってんだ?」

ルークがティアに聞く。

「セフィロトが吹き上がる力で水が弾かれるらしいわ。」

ティアが説明してくれた。

水の音素そのものが弾かれ、吸着しないそうだ。

「へぇ… すごいね。大地だって浮かせてるくらいだしね…」

アルが水を見ながら呟く。

「オレ……そんな大事なものを…」

ルークが…また落ち込みモードに…

「ルークっ!」

アルがバシッ!っと肩を叩く。

「おわ!!」

驚きながら飛び上がる!!

そこまで強くしたかな? 苦笑

「なななななんだ!」

ルークは慌てながらこっちを見た。

「もう落ち込むのはやめ! オレだって落ち込んだけど… 結局さ?ティアに心配ばかりかけちゃって、まったく……一利もなかった。損ばかりだよ?今はさっ出来る事からしよう?【落ち込むのは百害あって一利なし!】だよ。」

そう言って笑いかける。

「そう……だな……出来る事から…オレやっぱしだめだな…… アルに敵わないや。」

ルークがそう言う…

「そんなことないわよ。 ルーク。そう思えるってことは、大丈夫って事… ちゃんと、自分で考えれているんだから。」

ティアもルークに笑いかけた。

「う……うん………」

ルークは恥ずかしそうに…

頭をかいていた。

そして…洞窟へと向かった。















【アラミス湧水洞】




洞窟を歩いていると…

当然の如く!

怪物(モンスター)たちが襲ってくる!!


「ルーク!!後ろッ!!」


アルが素早く術式を刻み!



「貫け!一閃の光!ライトニング!!」



“ズガアアアン!!!”



半漁人?を雷で攻撃する!


“ギョアアアア!!”


そして…動かなくなった。


「サンキュ!アル!!」



ルークは剣を構えなおした。

「うん!どうやら、こいつら… 弱点はやっぱり、見た通りだよ。雷だ!」

アルがそう言うと


「見てーだな!ティア!頼む!」

ルークがそう言うと。

「わかったわ!……アピアース・ゲイル!!」

ティアが風属性FOFを発動させた!

そして…


「うおおおお!!喰らえ!!襲爪雷斬!!」


“ズッシャアアアアアア!!!バリバリバリ!!!”


ティアのFOFを利用!

ルークの雷を纏った斬撃が怪物たちに迸る!!


“ギョワアアアアアアア!!”

“ギエエエエエエエエエエエエ!!!”


忽ち雷を直撃した怪物たちを撃退した。


「よし!あと数匹!」

アルは、前を確認!!

「ルーク!合わせれる?」

アルは詠唱の構えに入りながらそう言う!

「ああ!任せとけ!」

ルークはうなずくと……。

「よし…… 天より轟く雷鳴……かの者へ宿れ!」

そう詠唱すると……。

ルークの剣に…雷が落ちる!


“ズガーーーーンッ!”


「うおおおっ!いくぜぇ!!」

「うん!」


合わされたのはルークの剣技とアルの譜術!


「「真・雷鳴剣!!」」



“ズッシャアアアアアッ!!!バリバリバリバリ!!!”



迸った雷鳴と衝撃。


それらが 通った後には………。


“ドサッ……ドサッ……ドサッ………”


悲鳴をあげるまもなく……沈黙し、倒れた。









「ふう… 今の結構いけてたんじゃないか?」

「まだまだ踏み込みが甘いわ。急所も外してたし…アルの譜術に合わせるのも遅れが生じてる。何より雑よ。」

「ちぇ……厳しいな……。」

「ははっ大丈夫!日々精進だって、ルーク。」



心なしか…

勝利の掛け声が皆優しくなったんじゃないかなぁ?

ルークが変わったからかな?? 苦笑








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