小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#8 絶望からの刺客



























暫くして…

主に重症患者を優先し、治療に当たっていた。

見た目ほどは皆酷くはないようだ。

「ふう… これで大丈夫でしょう… 後は皆暫く安静にしていれば……」

汗を拭い一息ついた。

「ええ ほんとにお疲れ様・・・ありがとう・・・」

レイはタオルを出し、アルに被せた。

「ははは・・・お礼はいいです。オレだってあなた達がいてくれなかったら野垂れ死んでいたんですから・・・ その恩があります・・・ そのことに比べたら大したことないです。」

笑いながら呟いた。そして、

「これでおあいこってことでどうでしょうか?」

レイの方を見て言った。

レイは涙を拭い、笑顔を作り、

「そうね・・・あなたがしてくれたことの方が大きいと思うけど・・・ そういっても納得してくれそうにないわね?」

答えた。

「あははは!そうですね。」

2人ともいい笑顔だ・・・

しかし その笑顔は直ぐに・・・



ドゴオオオオォオォオォン!!!



轟音と共に消えるのだった。

「なっ なんだ!!」

凄まじい音だ・・・

「そっ・・・ 外から・・・ まさか・・・」

レイは嫌な予感が頭の中に走り、

外に飛び出していった。

「レイさん!!待って!!」

アルもその後に続き集会所を飛び出した。

そこで2人が見た物・・・

「化け物・・・・・・」

レイは腰が抜けてしまいその場に足から崩れ落ちてしまった。

「あれは・・・いったい・・・」

目の前の化け物・・・ そう、坑道の入り口は集会場から大体50メートルほど離れいてる。

なのに、外に出ると直ぐに分かってしまった。

恐らくはリーダー格のゴーレム・・・

先ほど遭遇した魔物と同じ種類の類だろう・・・

だが、1つだけ・・・

圧倒的に違うところがあった・・・

体格(サイズ)の違いだ。

縦はどれくらいになろうか・・・遠目から見ても規格外のデカさだと感じる。

その上アルとレイは・・・

1人の男性がゴーレムの右手に鷲づかみされ投げ飛ばしている衝撃場面(シーン)を見てしまった。

ただの人間では抗えない事が瞬時に理解できた。

(少なくとも)レイは・・・ そう感じた。

先ほどまで襲ってきていた魔物とはワケが違う・・・

「も・・・もう・・・」

レイは足が・・・体全体が震えていた。

ダメだ・・・っと言うその前に。

「レイさん!!!」

アルがレイの両肩を掴み強く揺さぶった。

「ア・・・アル・・・?」

まだ気を保ててないようだ。

「しっかりしてください!早く怪我人を町の外へ連れて行ってください!少なくともここよりは安全だ!皆まだ万全じゃあないですが、動く事は問題ないハズです!早く!!」

いつものアルの顔じゃない・・・

鬼気迫るかのような表情だった。

そのおかげで、レイは気を取り戻す事が出来た。

「わ・・・ わかったわ・・・」

震える体に一括し 答えた。

「お願いします!」

そしてアルは坑道の方を向いた。

「アル!あなた・・・どうするつもり!!?」

それに気付いたレイは大声で叫ぶ。

(あれ)を止めにいきます。」

振り向かずそう答える。

あまり時間を掛けるわけにはいかないのだ。

「そ・・・そんなのムリよ!!! 行っちゃダメ! 今度こそ死んでしまう!!」

レイが叫ぶ。

その叫び声のせいか・・・ 周りの轟音のせいか・・・

目を覚まし外へ出てきた人がいた・・・

「おっ・・・おにいちゃん!!」

サラだった。

「大丈夫!やりようはあります!こうやって話している間も被害が増えていく・・・ オレを信じてください!!」

アルはそういうと、付けていた治療器具を全て外した。

その時、背中に軽い衝撃が走った。

「おにいちゃぁぁん・・・ いかないで!だめだよ・・・ しんじゃうよ・・・」

サラだ・・・・

ぽろぽろと涙を流しながらアルにしがみ付いた。

確かに時間が惜しかったが、振りほどくわけにはいかない。

サラの方を向きなおし、

「サラ・・・ オレを信じてくれ。」

笑顔で話しかけた。

「で・・・でも!でも!!」

サラはまだ泣いていた。

いつもの笑顔は消えうせ、

大切な人が死んでしまう・・・ 会えなくなってしまう・・・

そんな不安感でいっぱいだったのだ。

「サラ。大丈夫だ。おにいちゃん!強いの知っているだろう?知ったのは今日だけどな。」

笑いながら話し続ける。

「あそこで、一生懸命戦ってくれている人たちを助けなきゃ!サラやレイさんの大切なガーランドさん・・・パパもあそこにいる・・・ 必ず連れて帰ってくるから。」

サラは涙を拭いながら・・・

「ほ・・・ほんとうに?? おにいちゃんも・・・パパも・・・ サラのところにかえってきてくれる?? ぜったい??」

アルを見ながら・・・ 何度も出てくる涙を拭いながら・・・サラは言った。

「ああ!約束だ!!オレは約束は破らない・・・ そうだろう?」

「う・・・うん!」

サラは必死に涙で汚れ放題の顔で笑顔を作った。

そしてサラの頭を撫で、レイのほうを向き。

「レイさん、サラを早く!」

口早にレイに伝えた。

レイは最初こそは強く反対していたのだが。

サラとアルのやり取りを見ていて・・・ 反対するのをやめた・・・

「わかった・・・あなたを信じる、アル。あの人を・・・お願いします。」

サラを抱き寄せ、アルに言った。

「はい。 任せてください。」

アルは駆け出した。

まだ暴れまわる巨大ゴーレムの方へと!

-9-
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