小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#83 信じてる 信じられてる。



























そして……。

「すぐに戻る?宿に。」

アルがそう聞く。

「ああ……。2人に言われて、ふっきれたから……。オレ、明日にはガイと話をしたいし、今日はもう帰って寝るよ。」

ルークはそう言うと、宿の方を指差した。

「アルたちは?どうするんだ?」

ルークがそう言うと……。

「ん……。オレはもうちょっと外にいるよ。」

アルはそういった。

どうやら何かあるようだ。

「そっか……わかった。ティアもか?」

ティアの方に聞くと……。

「そう……ね。私も もう少ししたら帰るわ。先にいっててもらえる?」

ティアもアルと同じように言う。

「おう、わかった。2人とも……ありがとな。」

ルークは軽く頭を下げる。

「……//もう、何回も良いって……。」

アルはちょっと照れながらそう言う。

「ふふふ………。」

ティアはそんなアルを見て……微笑んでいた。



















「それで…?アルはこれからどうするの?」

ルークが宿へと帰った後、ティアはアルにそう聞く。

「えっとね……。まだ飲むのはちょっと……あれだし……。」

アルは、思い出しながらそう言う……。

どうやら、二日酔いの事を思い出していたようだ。

ジェイドに飲み方を教わる……っと言ったけど、

流石に、ちょっと……。 苦笑

トラウマになりそうな感じだったから。

「っ………////」

そして…ティアはなぜか赤く……?

「え…?ど……どうしたの?顔が赤いよ?風邪…?」

アルはちょっと驚きながらそう言う。

夜のグランコクマ……。

この場所はケテンブルクに比べたらまだいくらかは暖かい方だが、それでも夜だし、冷え込む。

ティアの体調が悪くなったのか……??

っと心配していた。

「え…っ!!あっ……違うのっ!ちょっと……ね………?」

アルが……ただ純粋に心配してくれるのがわかって……。

ティアは、慌てて問題ないと伝える。







このときのティアは……。

アルの言葉を聞いて……。

あの時の夜の事を……思い出していたのだ。

あの夜……。

あの公園のベンチで……。

今目の前でいる人と………。







「っ……///(や……っぱりあの夜の事……どうしても意識……しちゃう……何か……話題を……っ!)」

ティアは必死に考えを……。

そのときに、

「ルーク……には、ああいったけど、大丈夫……かな?ルークとガイ。」

アルは、ティアが問題ないといった事を信じてそう話し出した。

「え……?」

ティアはちょっと不安そうなアルを見て思わず声を上げた。

優しく……諭すようにルークに言っていたアルだったから……。

「ルークには言ったけどね……。ガイのこと……信じてるのはオレも同じ……なんだ。………でも、なんだか不安になったりもする。…………。」

ルークに言った言葉も嘘じゃない。本当にそう思っていた。

でも……これも、嘘偽りない言葉だ。

「ははは……オレって……オレもルークの事あまり偉そうにいえないな。それに……コレだけじゃない。他にも……不安なことだって沢山ある……。自分のことだったり、サラのこと……だったり。」

アルはそう言う。

どう我慢しても……ティアに心配かけたくない…って強く思っても……。

考えてしまうようだ。


「ゴメン……。もう、ティアには心配かけたくないのに……。」


そう言って……謝った。


何度目……だろう。


本当に駄目だな……っと思っていた時。




「謝らないで……。ふふ、この言葉……よくアルに言われてたけど、今度は私が言ってるわね……。」




ティアは微笑みながらそう言う。




「え…?」




アルはティアの方を向く。


「貴方だって……人間だもの。私だってそう……。皆だって……。そんなに無理に……強くなろうとしないで。」


そう……いいながら手をとる。



「ティア……。」





「アル……忘れないで……。」


ティアは手を握りながら続ける。

「あなたは……アルは、1人じゃない。ルークだって……皆だって……。私……だって。」

少し顔を赤らめながらそう言う。








「あッ………。」

アルは……何もいえなかった。

何とか……今までは進んでこれた。

サラとの約束……そして自分の思いも。

ティアに二度とあんなこと……。

でも……どんなに強く思っても、

不安は……付きまとう。

どうしても………。

それでも……ティアは……。





「私は少し嬉しい……かな?」

ティアは、そう笑みを綻ばせた。

「えっ……?」

アルは……ティアの顔を見た。


「私の前で…打ち明けてくれた事……。貴方の強さだけじゃなく、弱さだって見せてくれて……。自分自身の事も、偽らずに…ね?それって、それだけ信頼してくれてるって事…でしょ?」


そう言って……笑いかけた。


「ッ……ッ………!」


「アル……?」

ティアは……アルの顔を覗き込む。

さっきまで、あんなに赤くしていたと言うのに……。

ここまで出来たのは……なんでだろう?



(………私は彼を支えてあげたいから……だから 出来たのかな……?)



そう思う。






「ティ……ア………。」



アルは……限界だった。



“ぎゅ………。”



反射的に…ティアを抱きしめた。

「あっ……。」

ティアは、完全に油断していたようだ。

一瞬何が起きたのかわかってないようだった。


「ありが……とう。オレ……オレ……。」


アルは……。

声を振り絞り……。


「君に……ティアに出会えて本当によかった……。」


抱きしめる力を……更にあげた。


「………こちらこそ。わたしも……出会えて良かった。本当に………。」


ティアも……抱き返した……。


















それはどれだけの時間だったのだろうか……。

アルは頭の中は正直真っ白だった。

今まで……心では不安と戦っていた。

そして身体は、皆と共に……戦っていた。

だから心身とも……疲れていたのかもしれない。

気がついたらティアに……本音を言ってしまっていた。

心配かけまい。とずっと思っていたのに……だ。

でも ティアはそんなアルの事を……







「ッ!」


もう暫くして…。

アルは、はっとする!

ってか遅い!結構長くハグしてたのにいまさらって感じだ! 苦笑

「ご……ごめん!そ……//その……そんな場合じゃないのに……。」

だから、アルは顔を赤くしていた。

「いいの……。信じて……信じられてってとても素敵じゃない…?」

ティアは……微笑みながら……。

「ティア……。」

「私はアルの事信じてる。ほら…弱さも……見せてくれたんだから。」

ティアは……そう言う。

「……ごめんじゃないね。」

アルは……ティアを見つめなおし。

「ありがとう……。」

そして……ティアの手をとり……。


「……ティアはオレを信じてくれてる。……オレも心からティアを信じる。……この命尽きるまで。」


宣誓………だ。


それを聞いた……ティアは。

少し、顔を赤くし……。

……アルの手の上に……自分の手を。

包み込むように手をとった……。

















「ふふっ……普段は見れない一面を見るのもいいかも…ね。」

ティアは笑いながらそう言っていた。

「あっ……///出来れば…忘れてほしいけど…//うぅ……忘れちゃ駄目な事だし……。」

アルは…葛藤中…… 苦笑

信頼を……忘れるなんて事はできないし、したくないから。

「ふふ……ごめんなさい。でもっ アルだってルークと一緒に私を笑ったし?お返し……よ。」


そういいながら微笑む。

アルも苦笑いをしていた。

「明日……。」

ティアは空を眺め……。

「きっとガイなら……大丈夫よ。アルも言ってたでしょ?彼はルークを待っててくれたんだから。……信じましょう。」

そういった。

「うん……。そうだね。」

アルは強く頷いた。

「でも、ティアには世話になってばかりだね。本当に。いつかお返しをしたい……な。オレにできる事があったら何でも言ってね?」

そう言って笑いかける。

「アル…。」

ティアは、ちょっと驚き?の表情をすると……直ぐに微笑む。

「そうね……。でもね?アル。私は……私達は、貴方にどれだけ支えられてたのか……。私達も貴方にはいっぱい貰っているのよ。だから……これが私のお返しなの。」

そう言って笑う。

「う……嬉しいけど…。そういわれてもちょっと実感がないんだよね……。」

アルは苦笑いをしていた。

無自覚で計算無く……しているから、余計に相手の心にダイレクトで入ってくるのだ。










そんな彼を……ティアは好きになったんだから。


























「ん〜〜……ならっ!」

アルは、ティアの方を向き。

「これからも、背中……支えるよ。宣誓もしてるしね!」

そういった、照れているのを隠しながら。

「なら……私も。そうしようかしら。」

ティアは手を上げた。

必死にお互いに照れ隠しをしていた為……。

物凄くぎこちなく見える……。

それは互いに感じていたのか……。





そして……最後には互いに笑いあっていた。






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