小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#87 ジェイドの告白



























そして、皆の所へ戻るとき……。

「ジェイド……でも、何でそこまで……?」

アルは聞いていた。

今の状況を考えたら……。

すべき事は山のようにある。

それが国王陛下となれば、尚更だ。

いくら、仲間とは言え……。

合間を縫うとは言え……。

つい、聞いてしまっていた。

「おや……?心外ですね〜 私から言わせれば、貴方もなのですがね?ここまで協力してくれてますし?」

ジェイドはそう言うと眼鏡を上に上げ……。

そして、真剣な表情になる。

「………実を言うと……コレは、罪滅ぼしなのですよ。」

ジェイドは……そう繋げた。

「……え?つ……み?」

アルは理解出来なかった。

自分の為に故郷を探す事が?

「貴方には話しておかなければならないですね……。」

ジェイドは立ち止まると……

こちらをみた。

「私が、貴方をあの場所……アクゼリュスから連れ出したのは、純粋な善意などではないのですよ。アクゼリュスの住民の願い……だけではね……。」

ジェイドはそう続けた。

「え……?」

アルはちょっと驚いてはいたが……。

わかる気がするところもある。

エンゲーブの宿での話もあるのだ。

そして、最近では……ケテンブルクでの時もある。

「初めは……貴方自身を我がマルクトへ引き込む事ばかりを考えていました。」

ジェイドは……心のうちを話し出す。

「……貴方の力を……あの時ともに戦って本当に驚いたと同時に……脅威に感じました。私は数多の戦場を駆け巡っています。幾つもの戦いも経験して……その経験の中でも貴方の様な力は感じたことがまるで無いのですよ。特質すべき所、それはあのアクゼリュスで放った光。……住民を助けるために使った大規模治癒、そして、崩落の時の空間の破壊……。」

攻防一体の能力。

そしてそれに加えたあの身のこなし……。

全てを破壊するあの鳴動……。

「あなたが……もし敵国の者ならば……被害は甚大でしょう。今回のフォミクリーの件もありますしね。ですから私は貴方を調べると同時に、マルクトへ来てもらおうと考えていました。」

……。

「ジェイドがそこまでオレの事……考えてたのは知らなかったな。あの時宿でオレの事脅威って言ってたけど……ここまではさ。」

アルは少し苦笑する。

「……ええ、ですが……状況は変わりました。」

ジェイドは……向きなおして。

「アクゼリュスを救う事は出来ませんでした。貴方の故郷を……救う事……はね。もし……私があの時、ただ純粋に貴方の怪我を治すだけを考えていれば……貴方はあの街に残り、……違った結末があったのかもしれません。……いえ、聡明な貴方です。街の異常を察知すれば、街の住民とともに避難・誘導も出来ていた……。」

ジェイドは……今までに見せた事のないほどの……後悔の顔をしていた。

でも……!

「ジェイドっ!!」

反射的に声を出していた。

「っ!」

ジェイドはその声に驚いたのか、表情を戻してこっちを見た。

「……『たら』、『れば』、の話をしてもしかたないだろう?それに、そう言う話だったら、オレだって……あの街とともに、消滅……死んでしまっていたかもしれないじゃん。まさか、崩落なんて……思ってもいなかったんだから。」

そしてジェイドに笑いかける。

「オレ……嬉しかったよ。助けてくれたこともそう。ジェイドたちと一緒に旅が出来た事も。……みんなに会えたんだからさ。それに……今回のことだって、忙しいはず、間違いなくそうなのに、オレの事も考えてくれて…………」

「アル……。」

ジェイドは驚きの表情を作る。

「ジェイドがそこまで言うのは少し不安な所があるけど…… でも 話をしてくれるってことは、それ程信頼してくれてるって事……だよね?じゃないとこんな事話さないと思うし……?全部ふくめて……ありがとう。」

最後には礼を言っていた。

「…………ふふ。」

ジェイドは驚きの表情から一転。

「おかしいですね……。私は罪滅ぼしを告白して……そして、許されないと思っていた事を懺悔しようとしていたはず……なんですがね?」

そして、アルは……。

「許すも何もないだろ?オレは……皆には感謝してるんだから。ジェイドの言葉を借りるなら、得体の知れない脅威を……こんなに面倒みてくれてさ……?」

そう言って笑う。

「………貴方ならそう言う……でしょうね。忘れてました。貴方の性格を……。」

ジェイドはそう言うと……。

手をさしだす。

「……貴方の事は最後まで我がマルクトが面倒を見ます。亡き……貴方の【両親】とも約束していました。その上でこういった事を言うのはおかしいですが…… 改めて力を貸していただきたい。」

「ははっ……本当にいまさらだよ?でも、初めから答えは決まってる……、そう、初めからね!……オレの力なんかいくらでも貸すに決まってる。もう……かけがえの無い仲間なんだからさ。」

そして、握手を交わした。

本気で信頼している。

そして、されている。

そう……お互いに感じていた。

アルは、本当にジェイド感謝をしてた。

思惑があってつれて来た……。

そう言われても、結果的には……。

こんな関係を……経験させてくれたこと。

こんな出会い……ジェイド達と一緒にいたからこそ、出来た事……なのだから。








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