小説『トリコ!!〜エレクトリックトリッパー〜』
作者:じの字()

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エレクトリカル2 食べる!!


ガクガクブルブル
皆さんこんにちは、木の上から失礼します。
さて、寅さんから逃走中何があったのでしょうか。
答えは簡単。
虎が食われました(・・・・・・・・)
あれっ?って思った人。君は正しい。
いや、でもこれは事実だ。
必死に逃げている途中後ろから凄まじい風圧が襲いかかったかと思うと、虎がデッカい恐竜に咥えられてました。
日本のお父さんお母さん、そして妹さん。どうやら、俺は瞬間移動ではなく、タイムスリップをしてしまったらしい。
・・・余計状況が悪くなってるじゃないか。
そして俺はぐちゅぐちゅという肉を引き裂く音や、虎さんの断末魔をバックに必死に逃げてきたわけさ。
・・・いや、まさかしたこともない木登りができるとは思わなかったよ。
しかし、木の上にいれば大抵の動物には襲われないだろう。


〈グゥゥゥゥ〜〉

「・・・。」


気が抜けた瞬間、腹の虫がないた。
そういえば昼飯を抜いていたことを忘れていた。生きていれば腹が減る、運動すればなおさらだ。まさか、このタイミングとは思わなかったけど。


「腹減ったなぁ・・・。」


空腹感を覚えながら辺りを見回すが、こんな場所に都合良く食べれるものがあるはずがない。
しかし、これでは埒があかない。


「お?」


ふと見ると、向こうの木々に果物らしきものがなっているのが見えた。


「・・・ゴクリ。」


しかし、そこに行くためには地面に降りなければいけない。つまり、何がいるのかわからない地獄に再度足を踏み入れなければいけないということだ。
はっきり、行って嫌だ。
でも、生きるためには食べなければいけない。


「慎重に・・・。」


木の皮に足をかけ、できるだけゆっくりと地面に降り立つ。
地面から伝わる泥の感覚を感じつつ、辺りへと注意を向ける。
どんな仔細な変化を見逃さないように・・・。
そして、木の目の前に辿り着き、そこからまたゆっくりと木を登りを始める。
そして何とか辿り着いた。
目の前には、洋梨のようにも見えるが、色が南国のフルーツのような果物。
少しその場で匂いを嗅ぐと、美味しそうなマンゴーのような匂いの他にも様々な食欲を誘うものも含まれている。
その果物を手にとると、いい具合に熟しており、食べても大丈夫そうだ。
思わず直ぐに果皮にかぶりつく。
すぐにジュクリと口の中で柔らかい果肉がとろけ、果物特有の味が広がる。
マンゴー、ラフランスを始め、口に南国の味が広がる!!

うまい!!

うまい!! !

うまい!!!!!

当たり前になってたけど・・・忘れてたな。
すぐそこに食があるという当たり前と思っていた事。そして、それが当たり前ではないという事。
そして、これを言うのを忘れていた。


「いただきます。」


その言葉をいった瞬間、目の端からポロリと涙がこぼれ落ちた。


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食材データ:ラフマンゴー

捕獲レベル1以下

一個 3000円

人口栽培可能な果実食材。噛み締めた瞬間、口の中で芳醇な南国の風が溢れ出すようなその味にファンが多い。
野生だと、とある諸島のとある時期のみ咲くラフマンゴーの木に実る。
ちなみに、野生と人工栽培の違いで味に僅かな違いが出るらしく、ほとんどの美食屋は野生の方を好むらしい。
また、ラフマンゴーの実をワインにすると絶品で、酒豪も気に入る一品なのだという。

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