小説『とあるUMAの伝説物語』
作者:神死槍()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

その時、又馬は急に笑いながら、立ち上がり、こう言った。
「もう良いだろう…出てこいよ…催眠術野郎!!」


しかし、何も反応がない。又馬は辺りを見直す。そして、左手を握りしめて、張りつけられている、佐天を思いきり殴った。
その瞬間、回りの風景が、歪み始め、佐天も歪み始めた。
「ガハ…な…なぜ…わかった…」死んだはずの佐天が口を開いて喋った。次の瞬間、佐天は、先程又馬にぶつかった小柄な男へと姿を変えた。
「お前の名前は、参河 悟史(みかわ さとし)美空高校一年生…能力名は、hypnotism(催眠術)能力値はlevel3」又馬は腕組みをして、参河の前に立ち、一人解説する。参河はその場に膝をついて、動かなかった。
「参河…お前は今考えているこの状況を、どう脱するか…」すると、参河は素早く、起き上がり、又馬を見て言った。
「お前は一体なんなんだ!!なぜ!!なぜ俺の事を知っている!!」その言葉を受け、又馬は決め台詞のように、こう言う。
「俺は風紀委員第177支部の支部長だ!!」
「く…偽善者が…」参河は立ち上がり、逃走する。が…又馬が参河を地面に押さえつけ、動けなくした。
「動くな…お前が、都市伝説『彼女が消える』の首謀者だってことはわかっている。……お前を拘束する。」又馬は、参河の手首に手錠をかけた。そして、警備員に報告した。
「お前…このままで、すむと思うなよ…あの女が…」参河が言いかけた時、又馬はこう言う。
「あの女…?佐天さんの事?隣の廃ビルの物置に閉じ込めてるんでしょ?他の女の人と一緒に」





「ここは…どこ?」佐天は眠っていた事に、気がついた。そして、辺りを見回すと、何もない広い部屋にいた。そして、高校生位の女が沢山いた。
「あなた…ここ始めてよね?」佐天の隣にいた、女が聞いてきた。


「え…?」
「ここに入ったら、二度と脱け出す事は出来ない…」隣の女の顔は、とても哀しそうに見えた。誰もが暗い顔をし、絶望していた。
その時、硬く閉じられたドアが吹き飛んだ。そして、誰かが入ってきた。
「風紀委員です!!救助に来ました。」又馬だった…




「佐天さん…ごめん…怖い思いさせて…大丈夫だった?」又馬は公園のベンチに座っている、佐天に聞いた。
「……はい…ありがとうございます…」俯きながら、そう答えた。又馬はそれを見て、安心して一息ついた。
「あの…結局…何が起こったんですか?全然分からなかったんですけど…」その質問にたいして、又馬は説明を始める。
「今回の一件…全ての元凶は、参河 悟史ってやつが起こしてたんだけど…やつの能力は催眠術で…佐天さんは、あいつに操られてたんだ。そして、そのまま、隣の廃ビルに歩かせ、閉じこめる」
「なんのために…?」
「彼女捜し…」
「は…?彼女捜し?」
「うん…不純な動機だろ?聞いててイライラしてた。」又馬がそう言ったら、佐天はさらに聞いてきた。
「何が原因で、彼女捜しなんかを?」又馬はちゃんと答える。
「付き合ってた、彼女が、クラスの男子に取られたんだって。そんで、ある事件がきっかけで、その彼女が死んじゃったんだって…」又馬は平然と言っているが、それはスゴく残酷な事だった。
「それから、恋人同士を見つけると殺意が湧くようになったんだって…それからだ。彼女を奪い、監禁し、彼女捜しを始めるようになったのは…」


「……」佐天は黙り込んでしまった。
「酷い話だよね…」又馬は佐天の隣に座り、話を続けた。
「でも、あぶなかった…少しの判断ミスで、佐天さんを、助ける事が出来なかったかも知れなかった。」又馬はため息を一つ。

「なんでですか?」佐天は顔色一つ変えずに、又馬に聞いてくる。
「全く気づかなかったんだ…いつ、催眠術にかけられたのか…それでも、なんとか、まぁ見破ったけど…」又馬はそう言ったが、対して嬉しそうには見えなかった。
「取り合えず、今日はありがとう…悩み事とかあったら、いつでも言って。相談に乗るから…一応これ、俺の電話番号」又馬はそう言って、紙切れを渡し、立ち上がり、その場を去って行った。




「悩み事か…やっぱ…能力の事とか…かな?そうだ…又馬さんって、どんな能力を使ってるのかな?……電話……」



「……なんでまた、こんなに、始末書とか、書類が増えてんの?」風紀委員第177支部に帰るなり、又馬は自分の机に山積みになっている始末書を見て、やる気を無くした。
「スミマセン…整理してたら、沢山溜まってたのが、出てきちゃって…」段ボールを持って脚立にすわっている初春が解説してくれた。
「そ…ですか…」フラフラと、自分の席に座り、大量の始末書に手を伸ばした。一枚一枚に目を通し、印鑑を押していった。



------------------------------------------------------------------


どうもです…神死槍です。今日は少し野暮用で静岡に行ってきます…m(__)m

明日の更新は無理そうなので、明日の分も、更新させていただきました。

不明な点や分からないことは、コメントで呟いてください。お答えします。

辛口コメはやめてください…m(__)m

-15-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




とある魔術の禁書目録(インデックス) 文庫 全22巻 完結セット (電撃文庫)
新品 \0
中古 \7480
(参考価格:\13482)