「…あれ、寝てたのか」
目を覚まし、周りに広がる景色を見てでた第一声。
足元に広がるふさふさの緑色の芝生、綺麗に並ぶ大理石の墓石たち。
目の前には彼の墓石とさっき供えた黄色の菊。
視界に入るものは眠りに落ちる前と同じものなのだが、どこかおかしいと感じた。
何がどうそうなのかわからないけれど。
「雪乃」
「―――――――――――――――!!?」
びっくりした、ただ嬉しかった。
だって私の目の前に死んだはずの光がいるんだもの!
訳が分からずすがりつこうとした、彼に。
でも自分の両手は彼を通り抜けてしまい触れることすらできなかった。
「ひ、光! 待ってよ、行かないで…!」
死んだはずの彼に必死に呼びかけた。
光は悲しげな表情を浮かべる。
「雪乃、それはできない―――だから、これだけは言わせて」
「生きてても死んでてもずっと、俺の太陽は雪乃だけだからっ」
そう言って彼は、一瞬のうちに吹いてきた風とともにどこかへ消え去ってしまった。
取り残された私はただ呆然と、嫌になるほど澄んだ青空をじっと見つめた。
「クッ……なにそれ、太陽って。あ、はははっは…――――――っ」
溢れ出す涙が止まらなかった。
でもきっとこれだけは言える、きっとこの涙は嬉しい涙だ。
悲しい涙なんかじゃない。
だってもう一度会えたんだもの、光にさ
「光、またいつか会おうね。 そのときまで…元気でね!」
澄んだ青空を渡る風の一つがヒュルリと返事をした気がした。
Good-bye Darling person
【end】