小説『自由に短編[完]』
作者:ハル()

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・・・突然ですが僕、現在無職です。
はい、突然すみません。
余談ですが小さな薬品会社の研究員でした。
とても毎日充実していました。
やりがいのある仕事、仕事がない日は華蓮さんとデートみたいなことをしたりと。

まぁ、現実は厳しいもので不景気が影響して僕は解雇されましたよ。
仕方ないですよね不景気なんですから、ハハハハ。


グシャッ


「(あ、卵握りつぶしちゃった・・・)」


そんな僕を華蓮さんは見捨てずに結婚してくれました。
僕は彼女に養ってもらっているんです。
僕は彼女を愛おしく思います。

その彼女はリビングの机にかじりついて仕事をしています。彼女、可愛い見た目からは想像できないほど仕事が出来るんですよ。
仕事はできます。仕事はできるんです。でも家事はダメなんです。主婦業はクソできないんです。

キッチンに行けば皿を割り、床を水ぶきすれば水の入ったバケツをひっくり返し、ご飯を作るなんて命懸けに近くて、火傷やら切り傷やらあかぎれやらと僕に半泣きで助けを求める。

まるで子供だなって僕はその度に彼女を愛おしくて笑ってしまう。たまには怒らなきゃいけないんだけど。


「(いい感じに焦げ目が、、)」


・・・で、そうこうしてるうちに僕は思いついたんです。

僕は無職だけど家事はそこそこできる、華蓮さんは仕事はすごくできるけど家事は全くダメ。

――なら、僕が家事をやって華蓮さんが仕事をすればいいじゃないか・・・!

我ながら名案だって思いました。
すぐ彼女にそれを伝えるとこころよくオッケーしてくれました。

その日から僕らはその役割を開始しました。
そして今に至るというわけです。

-3-
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