パチリ。
そおっと目を開ければ、窓から差し込む日差しが痛くてまた閉じる。
「(……窓、昨日閉めなかったっけ、)」
閉じた目蓋に指先を当てながらふと、そう思った。
疑問を感じたが、昨夜の記憶がおぼろげすぎてはっきりとしない。
ややむずがゆさを感じたが、そんな事、今はどうでもよくなった。
…それよりも、手鏡に映った自分の顔に心がひるんだ。
「な、これはひどい……!」
洗面所へ走り、着くとすぐさま化粧水を棚からひったくる。
再度、洗面所の大きな鏡で状態を確認。
それを見てまた絶句する自分。
リップははげてるし、チークはドロドロ。
極めつけはマスカラが目じりから綺麗に頬へたれている。
黒い線が流れた後。
それを見て、また絶句。
「(私、泣いたんだ……。嘘、なんで、、寝てる間に?)」
『ゆーきのっ』
「え?」
ハッと、後ろを振り返っても誰もいなかった。
ただ、私の間抜けな声が室内に響いただけ。
……彼の、声が聞こえた気がしたのだ。
でも、幻聴だった。
「あはは、バカみたい」
誰もいない室内に私の声がまた響く。
それに答える人もいない。
なんだか、自分にあきれた。
「なに独り言言ってんだろ、余計一人を感じるだけなのに、」
少し、彼のことを思い出してもいいかな?