小説『自由に短編[完]』
作者:ハル()

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その衝撃的な日から約3ヶ月経ったのだろうか。

相も変わらず、草影は女の子にモテモテで、バカみたいに童顔スマイルをふりまいていた。


『草影くんおはよー』

「あっ、おはようございます^^(キラキラリーン)」


こんな風によくスマイルをふりまいている。そして効果音のキラキラリーンが聞こえ、、イヤ、幻聴が聞こえそうです。うぷ。


そんな彼を見ながら私は今、彼の長所を指折り数えている。残念ながら特別な興味はない。


・・・・モテる、デキる、everyoneスマイル、親切、どどどど。


童顔って長所か・・・!?


この小指を曲げようかどうかと迷っていれば、こっちに童顔が寄って来るのが見えた。
めんどくさいことになりそうな気がするから気づかないふりをしてみる。デスクに早朝買ってきた週刊誌をテキトーに広げて。


「先輩、一緒にお昼食べません?」

はっ? 週刊誌に視線を向けたまま答える。ほーほぉーデキ婚かぁ。 


「ごめんなさい、私お腹すいてないから・・」

申し訳なさそうに言ってやったら少しの間彼は黙った。デキ婚・・ちょっと憧れるかも。ミュージシャン同士か。なんか、とんでもないBabyが生まれそうだよね。生後一ヶ月で2足歩行し始めてギター担いで【マミー、オイラ旅に出てくるよイェーイ↑↑】とか行って家出しちゃったりさ。いやいや言いすぎだわ。


「そうですか―――なら、今夜飲みに行きましょうよ」

「あーはいはい飲みに、」

「じゃあ決まりですね、場所はこの前の新人歓迎会で使った店でいいですか?」

「うえ、えっ!? おい、ちょっと待ちなさいよ! 草影ええぇぇ!」


すぐさま奴のシャツの裾をぐいっとつかむ。ぐえっ、とカエルみたいな声を出すからつい、後ずさる。


「―――草影、一応聞くけどもその飲み会は私と君だけでやるわけではないよねー?」

「2人だけのつもりですがダメですかー?」

「語尾伸ばして言うの私より可愛いってどゆこと!)・・・だ、ダメじゃないけどさ、あのー私の身にもなってくれると嬉しいなー、嫉妬って怖いんだよーおほほほほ!」

 
「ハハ、先輩大丈夫ですか? 大丈夫ですから、飲み会約束ですよーっ」



と、無理やり約束させられ、仕事後飲みに行きました。
その2人きりの飲み会で彼に付き合おうと言われ、最近手酷い失恋をしたせいかその反動か、遊び半分で私は彼と付き合いだしたのです。

遊びが本気に変わるのは案外早かった気がするのは気のせいだろうか。
彼が恋愛上手だったというのもあるのですが。

でも、そんな彼はもう、この世にいません―――――。





【とびきりの愛をもらいましたが、私はまだあげきれてませんよ? 光っ】

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