第３７箱 「俺のなりたいもの… それは…」
善吉は…
鹿屋先輩に連れられて、屋上へと来ていた。
そして 話しの内容を聞く…
「黒神めだか襲撃計画？」
そう、めだかちゃんを文字通り襲撃しようとする計画だ。
「ああ 今 有志を募ってるんだよ。人吉君も一口乗らねーか？」
爪を切りながら話す。
…家できっときなよ… 苦笑
「キツい冗談ですね この腕章が見えないんですか？ どー考えても 誘う相手間違ってるでしょ」
庶務の腕章を見せながら言う。
「いやあ 間違えちゃいねーさ 生徒会庶務とかいって結局はバケモン女のパシリやらされてるだけじゃねーか 入るときもかなり抵抗したって聞いてるぜ。部活荒しもありゃお前なりのストレス解消法なんだろ？ それとも生徒会辞めたいって意思表示か？」
鹿屋はそのまま立ち上がった。
「何の見返りも無く 尻に敷かれて良いように使われて お前だって本当はムカついてるはずだぜ！それなら今のうちに俺についとけよ！あのバケモン女は俺から力ずくで生徒会長の座を奪ったんだ！だったら 力ずくでの下克上もアリだろうが！！」
がーーっと吠えまくる…
よっぽど酷い思いをしたんだろうね…
同情はしないけど…
「…ありゃ アンタが女子を脅して票を集めようとしたからでしょうが 自業自得ですよ。」
そういうこと…
でも…通じるはずも無く。
「ハッ！良い子ぶってんじゃねーよ 人吉君！俺はこれでもお前を買ってんだぜ お前みたいな頑張り屋さんが埋もれていくのを見てられねーんだよ。お前にだってなりたいモンがあるんだろ？」
その言葉に善吉が少し考える。
「なりたいもの…ですか…」
自分がなりたいもの…その言葉だけ少しだけ… 頭の中をめぐった。
「今日の放課後作戦会議をやっからよ こっちに寝返るならそれまでにな なぁに 例えお前が裏切っても、あの女にはヤサ男もついてるだろーし きにもしねーだろーよ」
そう言って立ち去っていった。
「ヤサ男？…ああ 劉一のことか。…馬鹿だな 俺よかよっぽどつえーのに…劉一は、まぁ アイツはこんな話しにゃ１００パーのらないだろうが… それに根性なしだしな。 なんにしても…」
善吉は頭を抱え。
「はあーあ！めんどくせーことになってんなあ！」
すると…
「いや めんどくさくなど無い 実に心踊る展開だ！」
「…根性無しで悪かったね…」
後ろにいたのは…
「・・・・・・・・・・・・いつからいたの？」
生徒会長とその補佐だ…
「「最初から…」だ！」
劉一は少しすねてる。
「付き合ってあげてるのに、根性なしかぁ〜 ふ〜ん…」
ムスッ…
「じょーだんだ。本気にすんな！それとも めだかちゃんを襲撃する根性あんの？」
そういわれたら…
「それもまた…心踊るな、多少は複雑だが、お前と本気の勝負が出来る！」凛っ！
めだかちゃんが笑ってます…
「それは・・・カンベンだね… 大体！そんな根性要らないよ！」
顔が引きつってます… 苦笑
「むう… 本気の本気の貴様と戦ってみたいのだがな…」
すっごく残念そうにしても駄目だよ…苦笑
「まあ 劉一の件はおいといても… 嫌われたもんだな めだかちゃん」
もう 根性なし！の件は終わりみたいです・・・
まあ いっか…特にめだかちゃんに 絡まれちゃかなわないし… 苦笑
「ふん・・・構わんさ もとより私は人から好かれようと思っておらん 私が人を好きであらばそれでよい！もちろん例外はあるぞ！」凛っ！
「…？」
めだかちゃんは視線を送ってるけど…
なんだろ？って顔をしてると…
「れ・い・が・い・はあるぞ！！」
瞬速で！近付いて！！
「はっ！！はい！」
思わず敬礼を…
なるほど…そーゆこと…
「ふむ！そして 下克上を受けて立つのも王の務め・・・ 余計な真似をするでないぞ 善吉！」
そう言って…目だかちゃんは何処へ・・・
劉一を引きずりながら・・・
って！
「ちょっ！なんで！！」
「先ほど 不知火と仲よさそうにしていたのが不愉快だったんでな！ ちょっと付き合え！劉一！！」
ずる・ずる・ずーる♪ずーーる♪
「えええ！何もないよ〜〜！って不知火ぃ！！何言ったの？？」
引きずられながら・・・
「何も言ってなどおらん！ 教室をのぞいたら貴様が楽しそうに不知火と話していたのが多少！！気になったのだ！」
ほんとに多少？？？
「ひゃああ！」
そのまま・・・引きずられていった・・・
バタン・・・
「ドンマイ・・・」
善吉はそう呟いていた・・・
簡単に説明すると、めだかちゃんは敵さえも好む。
支持率９８％と言えば聞えは良いが その数字は２％の反乱分子を意味している。
実際には選挙に参加してなかったであろう日向や門司先輩とは違い。
選別の結果めだかちゃんを支持しなかった層が確実に存在する。
しかし、めだかちゃんはその全てを受け入れる・・・
そして、そんな何でもできる幼馴染を・・・
【会議室】
「鹿屋さーーん！エモノはこれくらいありゃいいですよねえ？」
鹿屋が言っていた有志のメンバーが武器・・・をどっさりと持ってきた。
だが、鹿屋の表情はまだ物足りないと言った感じだ。
「・・・いや この倍は欲しいな それともっと長ェの沢山そろえとけ！」
釘バットやら鉄パイプやらを確認しながらそう言う。
「警戒しすぎじゃないスか？いくら化物じみてるっても相手は女でしょ？」
笑いながらそう言うが・・・
鹿屋はコテンパンにされた事があるゆえに・・・
「馬鹿野郎！化物じみてんじゃねえ！化物なんだよ！アイツは！！ おい！ンな事より あのバケモンの弱点とか聞いた事ねーのか！！」
皆激にビビりながら・・・
いろいろと話すが・・・・
どれも信憑性にかける・・・
ドガアアア！！
鹿屋は机を殴りつけ・・・
「チッ！使えねーな！てめーらがそんなんだから 俺が選挙に落ちちまうんだろうが！！」
叫んだ。
ますます・・・皆ビビり・・・ 苦笑
そんな時・・・
ガラッ・・・
善吉が入ってきた。
「おお！人吉君！いやー遅かったじゃねーか、待ってたぜ・・・って え？」
善吉は入るや否や 凶器の入った箱を見てそちらへ・・・
そして。
ドガッ！！
箱を蹴っ飛ばした！
「・・・・・・・・・・・・何の真似だよ・・・」
流石にこの行動は怒りに火をつけたようだ・・・
「・・・」
少しため息をつき
一瞬だけ鹿屋を睨み・・・そして背を向けた。
「めだかちゃんは アンタ達みたいな連中でも大好きだし アンタ達が何したところで傷１つ負わないでしょうよ・・・ だけど 知っちまったらこうせずにはいられない １人で何でも出来る幼馴染を俺は放っておけないんですよ。」
散らばれた武器を見つめる…
「鹿屋先輩 なりたいものくらいあるだろうって言ってくれましたよね？俺はね… めだかちゃんを（・・・・・・・）守れる奴になり（・・・・・・・）たいんですよ（・・・・・・）。そして アイツ（・・・）を超えれる男にもなりたい… ハッ！なりたいもの… けっこーあるみたいだわ俺。」
最後の方は苦笑いしていた。
対照的に鹿屋は怒り心頭。
「ハァ！?わっけわかんねえ！！だから！！」
思いっきり釘バットを振りかぶる！
「これはいったい何の真似だってんだよ！！！」
ふりおろす！！
・・・が！！
「余計な真似だよ！！」
ドガアアアア！！
善吉！後ろ回し蹴り炸裂！！
「アンタたちには改心する暇も与えない！明日からは頑張って噂を流してくださいよ。 生徒会長の側にいるのは… 劉一だけじゃねえ… 凶暴な番犬（イヌ）がいるってな！」
善吉の周りに群がってくるが…
ものともしない。
「それでは これより 一身上の都合上に基づき！生徒会を執行する！！」
善吉に迷いは無いようだ！
その後…どうなったのか…はもちろん…
柔道部 side
ここは
【柔道場】。
部員が今日も汗を流している。
「やっぱ柔道部（ウチ）には来てくれへんみたいやねぇ… 噂の部活荒らしクン達！」
その部員の中の１人が組み手をしながら呟く。
余裕だね…苦笑
「ビビったんですよ！きっと ホラ 俺ら一応全国区だしィ！」
一緒に組み手をしている部員がそう言う。
「ダァホ そんなん個人船での話しやろ ちゅーか まあ それ言い出したらそのコらは、何のために部活荒らしなんかやっとんねんゆう話になるけどな」
笑いながら答える。
そこに…
「…あれは ただの健気なパフォーマンスですよ。黒神めだかの側にいていいのは俺だけだと ありもしない強さをひけらかしているつもりなんでしょう。もう１人の男はしりませんがね。」
汗を拭きながら…
なにやらキラキラした感じの美男子が… 苦笑
「なーんや?阿久根クン しっとんか？その１年生の片方？」
そう聞くと…
「はい。その片割れ・・・ 人吉善吉は小さな害虫（ムシ）です そして 黒神めだかは俺の花です。」
花と害虫（ムシ）ときたか・・・ なかなかユーモアだね… 苦笑
その男子部員の名は…
☆阿久根 高貴☆
所属： 二年十一組
性別： 男
血液型：ＡＢ型
資格： 柔道二段
side out
んで…いっぽう某会長と補佐は…
「……誰も来ないぞ！？劉一！」
腕を組みながらずっと生徒会室で待っていた。
「…めだかちゃん 誰かの誕生会でもするの？ このご馳走と飾りつけ… シャンパンまで用意してさ…」
確かに下克上？?大歓迎だ！！っていうのはわかるけど…
こんなパーティなんてね…
「私に向かってきてくれるのだぞ？歓迎してやらねばならんだろう！」
「はあ… そだね。」
諦めモード…
逃げるのはもちろん論破するのも・・・
両方最初ッから無理だけどね… 苦笑