小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第61箱 「ああっもう!黒神めだか…! あなたは私がつぶします!!」





























「…めだかちゃん……なんで風紀委員の人に喧嘩売ってるのさ……」

とりあえず…鬼瀬さんは呆れながら…怒りながら…帰っていった後めだかちゃんにそう言う。

「そうですよ。めだかさん。さすがにあれはまずいと思います。風紀委員会と対立しても
良いことありませんよ。…それに中でもあの鬼瀬さんはヤバイといいますか……。」

阿久根先輩が説明してくれる。

「あ…うん、僕も聞いたよ。彼女、手錠メリケン…?だっけ?」

「そうだよ。劉一クン。彼女は委員長自らスカウトしたという本年度風紀委員会の肝いり。風紀のためには暴力も辞さない強引なスタイルで彼女が取締りを行うようになって以来、校則違反が激減したらしいんだ。」

……もう誰が風紀を乱してるのかわかんない…。

暴力するのも十分乱してるんじゃないかな??


「……………暴力というのは感心しないが彼女の意見は、まあ正論だ。反論する気にならんよ。…ただし私は自分が間違っているとも思わない。人がルールを守るべきなのではない。ルールが人を守るべきなのだ。」


そうきっぱり……。


「う…ん… めだかちゃんの意見も正しいと思うよ…?でも…その…やっぱり露出は……//」

目のやり場にすごく困る。

今は…胸元の開いた制服は、徐々に…ではあるけどなれてきてる。

でも……話を思い出してみると、基本的に全裸みたいだ。

そして…その…気があるみたいだし……。

「む…?劉一……さっきといったことが違うじゃないか……」

更にムスっ…っと……

「ああ!うう〜〜ん…何ていったらいいのか…わかんなくなっちゃったよ……。」

劉一はしょぼーーんとしていた。








とりあえず…


必死にめだかちゃんをなだめていると……


“ガラッ……”



善吉が帰ってきた…


「お帰り。どうだった?……その ちょっとは大目にって…」

まあ、思わないけど一応…

「んあ……。まあ、庇いきれなかった。」

…だそうです。

「あ〜それよかめだかちゃん。」

善吉が呼ぶ。

「む?何だ?善吉。」

先ほどまではちょっとムスッとしてたんだけど……。

何とか機嫌直してくれたみたいだ。

「鬼瀬から、依頼があるんだと。古いプールの方に来てもらいてーみてーだぜ?」

「「??」」

なぜにプール??


まあ、とりあえず、依頼なら行かないとね。








【プール場】


そこは…

みごとに廃れていて……

水は濁って汚く。

プールサイドも汚れ放題で……

まあ、廃墟のプールみたいだ。

「例の屋内プールが完成して以来、こちらのプールは放置状態だったがゆえに、すっかりと汚れてしまっておるな。近々何とかせねばと思っておったが…」

ビシッ!っとセンスを構える。

「わぁ……ほんとだね。整備しないと使えないよ。これじゃ、」

劉一も汚れたい放題のプールを見てそう言う。

「ふむ。それについては、また後日だな。さて、鬼瀬同級生。さっきの今で私をこんなところに呼び出してどういうつもりだ?…いっておくがこの制服を正す気はないぞ!まったく!むしろこれが正しいのだ!」

ギンッ!っと鋭い眼光で……。


(善吉…僕…何が正しいのかわかんなくなっちゃった……。)

(気にするな……そもそも、中身までは変わりはしねえだえろ?校則違反だったとしてもな。)

(…まあ、それはそうだと思うけどね……。)


二人で密会だ… 苦笑




「うう…(釘刺された…)まあ!いいです!それより、目目安箱の投書が(何かの手違い)(ついさっき)風紀委員会に届きまして… それを(うっかり)読んでしまったところ、(匿名希望)の方が(とても大切なもの)(何故か)このプールにおとしてしまったそうで…(それ)を探してほしいらしいのです!(できる限り早く)見つけないと(水に溶けちゃったり)するかもしれないので…(学園を愛する仲間)として!(一刻を争う状況)を何を置いても黒神さんにお伝えしなければと(義侠心)にかられたからなのです!!」




ああ…

ええっと……

コメントに困る……。

「ははははは………」

劉一は苦笑いが……


(いや…うそつくの下手だろ…この女子……曖昧すぎだ。)

善吉は…ちょっと引いていた。

鬼瀬さんは何やら、にやり…っと笑ってる。

成功!!ッて感じ…かな?



「さあ!私にできるのはここまでです!どうなさいますか!?黒神さん!」


ビシッ!!っとめだかちゃん張りに指を指す!


「ふむ…よくわからんが まあ、よくわかった。」

めだかちゃんは…扇子をしまうと…

何故か!!


“ガシッ!!”


劉一を…何故かつかんだ。


「えッ!?」

驚く間もない。


「それでは早速目安箱への投書に基づき、生徒会を執行する!!」

「わあああああッ!!」

めだかちゃんは…

劉一の首根っこをつかんだまま……。



“ザブゥゥゥン!!”



プール内に!!

「あぶぶぶぶ!!」

劉一…首をつかまれてるから…顔から水面へ… 苦笑


「な…なっ!!何をやってるんですか!?」

驚く鬼瀬さん。

それに失敗したっ!って顔もしてる。


「? もちろん探し物だが?」

「ブクブクブクブク……………」




めだかちゃんは……鬼瀬さんの方を向く。


「じゃなくて!服!!そんな汚い水に浸かったら服がだめになっちゃうじゃないですか!!」


なるほど……

服を脱いで入るって思って…

その隙に交換か何かをするつもりだったんだ……


「??それがどうした?この一刻を争う状況でわけわからんことを言うでない、汚れようが乱れようがたかが服だろ。」

「ブク………ブク……」





どんな外装で身を包んでも…

めだかちゃんはめだかちゃんだ。

善吉がさっき言ったとおりだった。

「おっと そういえばその落し物が何なのか。まだ聞いていなかったな?鬼瀬同級生 大切なものとは何だ?」


鬼瀬さんは…

なにやら決心したようだ。


“ザブン!!”


プール内に飛び込んだ。

「……大切なもの… それは私の良心!おかげさまでもう見つかりました!」

そう言う…。

めだかちゃんは、それを聞いて…笑った。

「そうか…水に溶ける前に見つかってよかったな。」

「…………………」



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「あ〜めだかちゃん?」

善吉がプールサイド上から…

「む?何だ?善吉よ。」

そちらのほうを向いて…

「そろそろ…劉一を助けてやれ。…死んじまうぞ……?」

呆れながら…

そう言う…。

って!!!


「おお!うっかりしておった!!」

めだかちゃんが…ずっと首根っこを握っていたため……

着水とほとんど同時に会話に入ってしまったため……

ず〜〜っと水の中に……



「きゅう〜〜〜〜〜〜〜……………。」



劉一は…

いつからかはわからないけど…

顔が青ざめていて…目を回していた…… 苦笑


「これは不味いな!人工呼吸をしなければッ!」凛ッ!!


いやいや……息してるよ?

でも、めだかちゃんは強引に……。















その後……


劉一はお姫様の熱烈な……で。

目を覚ますことになる。

当然…覚ましたときは…

顔が青から一気に赤になっていた… 苦笑













「あううぅ……めだかちゃん……ひどいよぉ…// 僕もうちょっとで三途の川を泳ぎそうになっちゃったじゃんか…………。」

まだ若干赤いが…そう言うと。

「それについてはすまないと思うが!貴様にも悪い点があるのだぞ?」


「は?」

「え?」


善吉と鬼瀬はほとんど同時に「?」を浮かべる。

「ええ…?僕…何かした??」

劉一も当然身に覚えがない…

「貴様は大切なものを落としたと言っていた鬼瀬同級生の頼みを笑っておったではないか!それは人として、恥ずむべき行為だぞ!」

怒って…る?

めだかちゃんは、それで一緒に探させようとしたみたいだ。

まあ、無くても一緒に連れて行ってたと思うけど…… 苦笑



(あ……)

(はぁ……)



善吉はまたまた…ため息……

鬼瀬さんは悪い事したな…って目で劉一を見ていた。

でも、弁護はしないみたいだ…

してあげてもいいよね……。





「えええ!!あれはさッ!!違うよッ!」

劉一はあわてて説明を…

「言い訳無用!説教だ!!」

ひええええ!!

「僕…死にかけたのに……。」

しゅん…としていた…。

「む?あの程度でくたばるわけなかろう!貴様との水泳対決でも私は後塵を拝していたのだぞ?」

凛!っとした表情でそう言う。

ちょっと…表情がやさしくなったような気がする……

【死】…という言葉にちょっと感じるものがあったようだ。

すなわち…

また、劉一がいなくなる…。

とまで少し考えてしまったからだ。

「うう……そういえばそんなこともあったと思うけど……飛び込んだのいきなりだよ…?いくらなんでもさ…。」

「いや!大丈夫だ!!」凛!

……はは…。

何言っても…結果は変わらないよ……。



「…………めだかちゃん。」



劉一はめだかちゃんを見る。



「その……………ごめんなさい。」



すっと……頭を下げた…

哀愁を……漂わせながら……。

「ッ!…………ふむ。許す//」

めだかちゃんは扇子で顔の半分を隠しながらそう言う。

顔が赤くなってるようだった。

【劉一 真骨頂 哀愁眼】だ。

……まあ、彼は別段意識してるわけじゃなさそうだから…。

何言っても駄目だ…って思ったときは謝っちゃおう!事らしい。

それが実に効果は抜群なんだ。

特に女性・めだかちゃんには…。 苦笑























「あ〜そろそろ着替えたらどうだ?お前ら全員ドロドロじゃねえか。」

善吉が……そう言う。

「……じぃ……。」

劉一は…善吉をじとーっと見ていた。

(助けてよ!!)

…って表情だ。

善吉は…

「……ふるふるふる。」

首を左右に振る…

(無理だ!!)

…って事のようだ…。













「ふむ、そうだな。予備のを出さなければ。手配しておこう。」

そう言いながら…

ぬれた制服を調える…。

「…え?黒神さん…ひょっとして…スペアを…?」

鬼瀬さんが…そう聞く。

「?ああ、同系のものを7着ほど持っておる。」

サラッとそう言う。



「えええええ!!? 7着も!!」


驚きだった…

(私の…計画… 最初から失敗してたんだ…)


はははは……

ちょっと放心気味?

「む?なんだ貴様はスペアを持っておらんかったのか?では明日からどうするつもりだったのだ?」


「そうだよ。僕も1着ならスペアあるし…。飛び込むならちょっと考えてかないとさ。まぁ…僕は好きで飛び込んだんじゃないんだけど………。」

劉一も心配気味のようだ。

まあ、女の子なんだから。

「む…?」

ムス…ッと……。

「あはは!めだかちゃん!風引いちゃうよ?はい!タオル!!」

笑顔でそう言う…。

それで…治まってくれた。



「い…いや…どうって……」



鬼瀬さんはそんなやり取りを…ちょっと引きながら見て…

制服のことは何にも考えていなかったようだ。


「ふむ。まあ 安心しろ私は困っているものを決して見捨てはしないぞ。ちゃんと考えておる。」

「…はい?」


鬼瀬さんは困惑…。



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「…どうなると思う?」

劉一は善吉のそばへ…

「まあ……今回はあいつがひどい目に会うオチってきがずっとしてたから…まあ、なるようになるだろ?」

善吉ははじめから、何やら感ずいて?いたようだ。

「う〜ん…… やっぱりそうだよね… っとそれより……」

劉一は善吉に向きなおして…







「もう!助けてよ!!」

叫ぶ!!

さっきのことだろう…

「だから無理だ!ッて言ってるだろ!!」

善吉ももちろん負けてなかった……。


























翌日……


【学園門】


いつもなら……

今は学園風紀徹底週間だ。

鬼瀬さんが厳しく…取締りをして……

っていう光景なはずなんだが…





“ザワザワザワ………”



あたりに人が……

笑い声も聞こえてくる…

その理由は!!


「ッ〜〜〜〜〜〜〜!!!」


ぷるぷるぷる…っと体を震わせているのは鬼瀬さん…

彼女の着ている制服が問題なのだ。

来ているのはめだかちゃんのスペアのうちのひとつ。

当然…サイズが合うわけなく…。

だぼだぼ〜の上に胸元が露出してる構造だから…ブラまで見えている状態だった。


「ねー 劉一!人吉!人間どのレベルの悪事を働けばあそこまでの天罰を受けるハメになるわけ?」

…不知火がけらけら笑いながらそう聞く。

「…聞いて驚け、彼女はめだかちゃんを騙して服を着せようとしたんだよ。見てやるな。」

「…まあ、しようとした事そのものは悪くないと思うんだけどね… こっちが校則違反してたんだし? …でも騙すのは良くないよ。それに…鬼瀬さんのせいで、僕もひどい目にあったからね……。弁護はしないよ。」

劉一もぴしゃり… 苦笑


「あひゃひゃ!あたしも見たかったな〜〜☆」


不知火の「見たかった☆」は 鬼瀬さんの悪事の件でしょうか…?

それとも、劉一クンのひどい目の件でしょうか…?

きっと…後者だと思われます!!

「あひゃひゃひゃ!!!◎だよ〜〜!」


「ちょっと!僕の不幸で笑わないでよ!!」


不知火は笑っていて…

劉一はいつも通り。

「はぁ……元気だなお前らやっぱ。」

善吉は…まあ、善吉もいつもどおりかな?




そんな時…


めだかちゃん同様、露出をして風紀を乱している風紀委員はというと…


「やっぱり!不愉快!!黒神めだかは私がつぶします!!」

新たな闘志……?をむき出しにしていた……。







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