小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第64箱 「もっぺん言えたら褒め殺ししてやんよ!!」


































【第弐音楽室】








その場所で繰り広げられていたのは……。

それは……大量虐殺現場のようなだった。


そこに佇んでいるのは……


全身を返り血で赤くしていた少年……。




「「「!!」」」




そんな現場を見て…皆言葉を失う。


「おっ?」


3人に気がついたようだ。

「鬼瀬ちゃんじゃん☆タオルもって来てくれたんだ。サンキュー!」

そう言ってタオルを受け取った。

「あ は…はいっ!」

鬼瀬は…驚愕の表情を……隠せない。

(何ですか……?これは…?確かに私たち風紀委員会は理事会から条件付で武装を許可されていますけれど……何を使えばこんなことが??)

ぼろぼろの部員たち…穴だらけの楽器…壁……机……。

全てがボロボロだった。

「ったく……オレは本当にダメだなー 返り血まみれなんていつものことなのに…… いっつもタオルわすれちゃうんだよなー」

わっしわっし…っとタオルで拭きながら…そういう。

そして…

もちろん気づいていた。

この場に来ているのは…鬼瀬だけではない。

「で… なに?黒神めだか…それに、なんだっけ?その男。何でテメーらがここにいるわけ?」

睨みながら…そう言う。

「……大分僕の扱いひどいけど…君の行為のほうがもっと酷いね。」

あたりを見て…そう言う。

酷い怪我を負っているけど……。

とりあえず、命に別状はなさそうだ。

「大丈夫??」

劉一はとりあえず、乗っかってる楽器やら机やらをのけてあげていた。


「甘い男だなぁ…っとそれより…」

めだかに近づいていき……。

「近くで見ると大迫力のいいオッパイだな?なんならオレの女にしてやってもいーぜ?」


“ピクン!”


その言葉に劉一が反応!

「………どうやら互いに仕事がバッティングしてしまったようだが 貴様と初めての対話がこんな形になってしまって残念だぞ。雲仙二年生。」

めだかは……劉一を手で牽制する。

「む…………。」

劉一は少しむくれていた…。

まずは対話…ということだろうか?

「この光景の事情はおおよそ察しがつくが、しかし どう見てもやりすぎだな。ここまでする必要がどこにあった?」

そう言うと……。

「ケケケ 安心しなよ保健室には予め連絡済だ。」

…………。

「いやいやいや。安心できるわけ無いだろう?皆こんなにボロボロになって……」

そうやってあたりを見る…

「劉一の言うとおりだ。そういう問題ではない。」

めだかも同意だ。

「ケケケ!オレのほうもテメーらの考えわかるぜ?それにお前のふざけた格好見れば尚更な! どーせ平和的解決をもくろんでいたんだろ?話せばわかるとか?事情があるとか?そんなトコだろ?」

そう言うと…一気に激昂する!


「甘めんだよ!話なんかしてわかるか!事情なんか知るか!!ルールを破った奴が罰を受けるのは当たり前だろーが!それをなあなあにボカしちまったら事情さえあれば許してもらえるっつっておんなじことを繰り返すに決まってんだろーがよ!!」


言っている事は……確かに正論に聞こえる。

そして……こちらを見て!


「やりすぎなきゃ正義じゃねえ!!それがオレのポリシーだ!!」


指をさしてそう宣言する。

「なるほど……鬼瀬さんは賛同したんだね?スタイルがかなり…ってか同じだし。」

そういい、鬼瀬さんのほうを見た。

「え…?ま…まあ!そうですが……でも…これは………」

やり過ぎすぎる…そう目で言っていた。


(りゅーいち!お嬢様!言うまでもないけど〜このコ相当やばいですよ??お嬢様と同じ13組の生徒といえば想像がつくでしょ?このコが仕切るようになって以来、更に風紀委員会が過激さを増したと言いますからね☆)

(わかってるよ。聞いた事ある。……賛同は出来ないね僕は。)


「おいおい!何いってやがる!まあ、人それぞれポリシーは違うしな!賛同してくれ!何て思っちゃいねーよ。それにエアオッパイ!変なうわさバラまかねーでくれよ!オレ達風紀委員会はあくまで平和を愛する正義の軍団だぜ?」

「エアオッパイ!?」

“がびーん!!”

(あ…気にしてるみたい……。)

少し苦笑する…。

不知火にこうまで言い返す人今までいなかったし… 苦笑


「不正を正す事!それがオレ達の唯一の目的だ!暴力も武装も唯の手段に過ぎねえ! もちろんだ!テメーら、生徒会執行部と敵対するつもりなんざ……」


ずんずんずんずんずん……………


近づいてきて……。



「あるっ♪」



“ズガッ!!!!”

「!!??」

「なっ!!!」

めだかの頭に何かが直撃した。


(と…飛び道具…?長物?ムチ?全然見えませんでした!でも この身長さで…上から!?)

鬼瀬は驚愕する。

攻撃の軌道が見えたが…正体がわからない。

……見えなかったからだ。

「…??おかしいな 今のは唯のアイサツ代わりだぜ?見えねーまでもよけれる位の手加減はしたつもりだけど?」

拳を握りそう言う…。

「浅はかな考えだね……。」

劉一は…雲仙に向かってそう言う。

「あん?」

「めだかちゃんが、今の見えてないとでも思っているの?」

劉一は…今までに無い表情をする……。

「りゅ…御剣さん?」

鬼瀬さんも…驚いていた。

鬼気迫る…そんな感じだからだ。

(劉一もあんな表情できるんだね〜〜☆まあ、お嬢様がらみだからかな??)

きゅぽ〜〜ん!っと見ているのは不知火だ…。

相変わらずの効果音だ… 苦笑



「へぇ…?ならなんでだ?」

そう言うと……

首をコキコキならしながら……。

「ふむ、貴様から攻撃される理由がない。ゆえに、よける理由がない。」

はっきり、そういった。

それでも……よけていいと思うけど…。

考えている事は本当だが…別の理由もある。

それはまたの機会にだ。

「……へぇ、男の言うとおりだな?その言い方だったら…見えてそうだ。面白いコトを……」

そう言って・・・腕を振ると…。

「もっぺん同じコトをいえたらベタ褒めしてやんよ!!」


“ビュン!!!”


再び何かをめだか飛ばす!



が………!



“ガシッ!!!”


………その【何か】は…。

めだかに当たる事は無かった。





「……テメーも見えてたっつーことか?」




雲仙はそう言う……。

その【何か】は……

「……………」

劉一が受け止めていたのだ。



「劉一?私にはよける理由など無いのだぞ?」

めだかは劉一にそういった。

「うん。分かってる。でもね……めだかちゃん。」

めだかちゃんを見たあと……雲仙のほうを見て……。


「【めだかちゃんが攻撃を受ける理由がない。……だから 僕が防がせてもらった】」




“ぎゅうううううううううう………”




つかんだ【何か】を力いっぱい握り締めていた。

「これ以上、めだかちゃんに手を出そうとするなら……僕を通してもらおうか。」

睨みを利かせた

「へぇ……お前。そんな顔できんだ…。聞いてなかったぜ…?面白れえな……。」

雲仙は……構える。


その時!

「やっ!やめてください!委員長!御剣さんや黒神さんの言うとおりです!敵対する理由なんかないじゃないですか!」

鬼瀬がそういった。

「理由ならあるじゃねーか。鬼瀬ちゃん。いつの時代だって正義は聖者を弾圧するモンだろ?」

理由にならない…

「ふざけないでください!これ以上の暴力行為は1人の風紀委員として見逃せません!!」

彼女なりの正義だ…。

その信念は例え委員長相手でも…揺らぐ事はないようだ。

「ケケ…このオレ相手に随分言ってくれんジャン!好きだぜーオレ!鬼瀬ちゃんのそういうトコ!」

にかっ……っとウインクしてそう言う。

だが……。

「だけどやっぱ理由はあんだよ。ここであったのは唯の偶然だが…会ったが百年目ってやつだ。正義と聖者は相容れねえ…どっちかがつぶれるしかねーんだよ!」

敵対する。

そう宣言しているも同然という事だろう。

「黒神ぃ……テメーのスタイルは上から目線性善説…とか言われているらしいじゃん。だったら……。」


更に近づき…。



「オレのスタイルは見下し性悪説だ!テメーらが花を育てる側ならオレは芽を摘む側なんだよ!」


そう叫んでいた。


「確かに……違うね…僕たちとは…。でも!」

めだかのほうを見る。

相容れない。

そう言っても仕方の無いことだ。



「そうだ!主義が違っていようがそれは話し合いで解決できるレベルであろう!敵対する理由は変わらないぞ!」

めだかも劉一の方を見て…そして、雲仙にそういった。


「ケケケ……とことんだなぁ?御剣ぃ…テメーも随分上からっつーことだな?呼子の情報と大分ちがうねえ…」

そう言って笑う。


「そばでいるからね…めだかちゃんの。うつっても仕方ないだろう?」

そう言ってめだかにウインクする。

「ふむ!」

めだかは満足!といった感じだ。


だが…次の言葉に驚愕する!




「ケケケ……なーるほど…だがな…もうそんなレベルじゃねーとオレは思うぜえ?なぜならな…オレは生徒会潰しのために刺客を三名、既に放っちまってるんだがなあ!!」




「「!!」」


皆を…!!??



「ははっ!テメーらみてーな奴にはこういうのが一番効くんだろ?オラ!もっぺん理由がねえって言って見ろよ!それができたら今度はベタ褒めどころじゃねえ!褒め殺ししてやんよ!テメーら!!」



善吉たちに…危険が迫っている!?
































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