小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第75箱 「フラスコ……?化学の授業……?」



























そして……。

今劉一とめだかちゃんがいる場所……。

それは……。


【理事長室】




「あっ……ご無沙汰してます。不知火さん。いえ……不知火理事長。」

劉一がまず初めに挨拶を……。

この人には大変世話になってるから。

でも……。

何でかわからないんだけど……。

あまり 好きにはなれないんだ。

目の奥に見えるものが……とても 不快なんだ……。

そんな事いったら、失礼かもだけど。

「いえいえ、劉一クンも生徒会で大変頑張っているようなので、私もそれは嬉しい限りですよ?隆一クンの頼みだからこそ……前例の無い【補佐】と言う役職を作ったんですから。」

そう言って笑っていた。

でも、その笑顔も……目の奥の光が見えない……。

「それに、雲仙君との小競り合いは大変でしたね?黒神さんに劉一クン、理事会も彼の正義には手を焼いていたものですから 正直言って助かりましたよ。箱庭学園理事長として正式にお礼を言わせてください。」

そう言って礼を言っていた。

「礼には全く及びませんよ。それに今回の功は私じゃなく劉一にあるでしょう。」

「あ……そんな……。でも、壊しちゃったり……色々したから、逆に迷惑を……」

それぞれの反応が違う…… 苦笑

「ははは……。大丈夫ですよ。予算枠に収まりそうですからね?ただ、袖ちゃんの要求分を賄うのはちと難儀ですが。」

笑ってるし……。

そんな笑みで許されるほどのものなのかな…??

あ……それより……。

「あぅ…… そう言えば満漢全席………。どうしよう。僕のお小遣いじゃ………。」

劉一は……肩をがっくりと落としていた。

「ああ、そのことなんですが、袖ちゃんも重々承知のようでしたよ?「劉一にそんなお金ないか〜〜☆出来る範囲の事を言わないとね〜〜☆」……といってましたから。」

………………。

「できる……はんい………。」

ため息が……。

生かさず殺さず……って感じ……なのかなぁ??


“ずず〜〜〜〜ん………。”


「劉一、しゃきっとしないかっ!」


“ゴンッ!”


「あうっ……。」


めだかちゃん、酷い……。


真剣な悩みなのに… 苦笑

「私からはお孫さんの制御をお願いしたいものですな。恥ずかしながら劉一は勿論私自身も彼女にはしてやられっぱなしでしてね。」

そう言ってる……。

やられっぱなし……って言うけど

やれてるのはおおむね僕なんだけど…… 苦笑

「……なんだ?何かあるのか劉一?」

「なっ!なんでもない……です。」

とほほ…………。



「はははは!無茶を言わないでくださいよ。黒神さん。袖ちゃんをコントロールできる人間なんて、私は2人しかしりませんよ?善吉くんと劉一くん……君の幼馴染達くらいでしょう?」

落ち込んでる劉一を尻目に陽気な声があたりに木霊する……。

「…………まあ、そうでしょうな。確かに!」

それはめだかちゃんも同じようで……。

「………僕、コントロールなんて出来てるって思えないよ……。」

劉一の言葉は誰も聞いちゃいない… 苦笑














「さて……、それでは早速本題に入りましょうか。目安箱に投書してまで君たちに足を運んでもらったのは他でもありません。  黒神めだかさん  御剣劉一くん  君たちに折り入ってお願いしたいことがおりましてね?」

不知火袴は目を開きながらそう言う……

初めて不知火さんの目を見れた気がした。 苦笑

「それは怖いですな。あなたはあのお孫さんのご祖父でいらっしゃる。どんな無理難題をふっかけられることやら……。」

「僕は………お金以外のことなら協力は極力したいですが……。」

財布をしきりに気にしだす劉一くんに、怖いと言いつつ凛!っと構えているめだかちゃん。

対照的な2人だよ…… 苦笑


「はっはっは。お金の面はいいんですよ?劉一くん。それにめだかさんもそう構えないでください。簡単なお願いなんですから。……実を言うと雲仙くんは風紀委員長としての活動とは別に私の主催するプロジェクトに参加してくれていましてね。ただ彼は今度の事で暫く静養しなければなりません。そこで、君たちに代役を勤めていただきたいのです。」


お金の面は……とても喜んでいたけど。

なんだろう?ちょっと……怪しい感じがするなぁ……。

「お金は……ありがとうございます。……プロジェクト……?」

「何ですかな?そのプロジェクトと言うのは?」


「私は便宜上……それを『フラスコ計画』と呼んでいます。」

































同じ時間軸、場所は変わり


ここは




【箱庭学園 食堂】




「雲仙委員長!フラスコ計画ってなんですか??」

そこでは、風紀委員が独占するかのように…集まっていた。

「あー だからオレが参加させられていた理事長主催のプロジェクトの事でよ。元々オレ達十三組ってのは、その計画のために全国から集められたみてーなトコがあるんだ。」

雲仙の席は呼子さんの膝の上が指定席だ。

まあ、さながらハーレム?を展開していた。

羨ましい事極まれり… 苦笑


「ほれ!超躍弾とか炸裂弾とか防護服とか鋼糸玉とか、こいつらは実はそれに参加する見返りとして理事会から受け取ったモンなんだよ。」

雲仙は超躍弾……スーパーボールを指の上でまわしながらそう言う。


「あの……雲仙委員長!私 不勉強でよく知らないんですけど。そもそも十三組ってなんなんですか??」

鬼瀬が質問していた。

それを聞いた雲仙は笑いながら…。


「おおーーっと!鬼瀬ちゃんそれ聞いちゃう?どーしよっかな〜〜?まあ、いいや!今日はオレは機嫌がいいから教えちゃおう!」

“むにっ……むににっ……”

豊満な呼子先輩の胸に顔を埋めながらそう言う……。

どこに風紀が……? 苦笑


「いいか?世の中には三種類の人間がいる。」

雲仙は……何やら取り出す。

それは……“サイコロ”だった。


「即ち、通常(ノーマル)と特例(スペシャル)と異常(アブノーマル)だ!」


サイコロを構えた……。

まるでスーパーボールを使うように……だ。

そしてその顔はとても笑顔…。






Side out


















理事長室 side


話は再びめだか side に戻る。


「黒神さんに劉一くん……君たちはどうして自分達が優秀なのか疑問に思った事はありませんか?」

不知火理事長がそう聞いていた。

「……優秀かなぁ?僕って………。」

後処理ばかりしてるし……。

優秀ならそもそもそんな事をおこさないし………。

いろんな人に迷惑かけてるし……



“ずず〜〜〜〜〜ん……。”



何やら思い出したのか……肩を落とす。

「???」

不知火理事長はよくわからなかったようだ、今回は… 苦笑

「……私は質問の意味を図りかねますね。そもそも私は自分が優秀だととうぬぼれた事を思ってはいません。」

めだかちゃんは、劉一の首根っこを掴んで前を見させた……。

「あうぅっ!!ご……ごめんなさい!ぼ……僕も優秀ダナンテ…そう評価してくれるのはありがたいですけど、自分ではおもってません……。」

劉一もそう言っていた。


「はははは、謙遜する事はありませんよ?隠さなくたって良い。【君たちは明らかに異常なんですから!】」

笑いながらそういい……。


「足捌きで分身する。新聞の内容を細大漏らさず記憶する。フルマラソンを2時間フラットで駆け抜ける。書の道を三ヶ月で極める。十代において赤帯を巻く。獰猛な獣を人睨みで屈服させる。関数計算を暗算でする。……どれをおいても人間には到底不可能な行いです。これは才能とか資質とかそう言う低次の話をしているのではありませんよ?人体では物理的に!筋肉量的に、脳構造的に、解剖学的に不可能なのですよ。そのありえない事を当然の様に実行する事は異常でしかありえません。即ち、君たちが成す事……それは偉業ではなく異常なのです!」


異常異常……って酷い事いってるきがするなぁ……。


「って……それは全部めだかちゃんのこと…ですよね?僕はそんな事してないですよ……?」

恐る恐るそう言う。

めだかちゃんに怒られるかも……っと。 苦笑


「いえいえ……君は黒神さんを完璧にフォローしているではありませんか。不可能な事をしている人を完璧にフォローする……君がしたことで言えば、水面高くジャンプする。校舎を素手で破壊する。軍用特殊素材をいともたやすく破壊する。爆撃を受けても全くの無傷……そして、調べましたが、幼少期は黒神さんに勝っていたとか……?」


うっ………。

(何だか、僕も目立ったことしてたんだ……。)

ちょっと自重しなきゃ……と思っていた劉一くんでした… 苦笑

でも、


「劉一に関してはその通りですな。常に劉一は私の上を行く存在です。先に生徒会に入ったのは私ですから 順番的にこのポジションでいるわけですが、本来ならば私は劉一の下なのですよ。」

めだかちゃんは心なしか嬉しそうに言ってる……けど!

「なんでさっ……そんなわけないじゃん……。僕は、めだかちゃんの事……助けたいって思ったからこの役職なんだよ……?上に立つ器なんかないよ。」

苦笑いが止まらない……。

それに、めだかちゃんの上に立った日になんか……。

周りの目がかなり変わりそうだ……。

白い目でみられちゃう…… 苦笑




〜〜劉一はこの時知らなかった……〜〜

〜〜現段階でも、じゅう〜〜〜ぶん! 周りの目は変わっていると言う事を……〜〜




まあ、皆それが普通って思ってるからね♪ 笑


「とまあ、そう言うわけです。黒神さんも言っておられますが、劉一クンも十分すぎるほどに異常なのです。……通常(ノーマル)では勿論!特例(スペシャル)でもありえない!完全に異常(アブノーマル)の領域です。」

断言されてもあまり嬉しくない…… 苦笑

「これは 随分と買いかぶれてしまったものですな。私の為すことは恵まれた生まれ、そして環境における鍛錬の成果・結果に過ぎませんよ。」

めだかはあくまで否定。

「そういえば、そのようであれば、劉一を一組に入れたのは何か理由があるのですか?」

それも聞いていた。

おかしい……とはめだかちゃんは思ってなかったが……周りの声が多いのだ。

十一組に入っててもおかしくない!

っとか雲仙二年生に関しては十三組じゃないとおかしいとまで言っている。

「ははは……入学の当初は彼はその事実を隠していたようですよ?黒神さんと共にいて初めて気づけたんですから。」

そう言って笑っていた。

この時……彼は嘘を言っている。

劉一の件に関しては……

【ある人?】からの助言があったからだ。

そのことに関しては伏せている……。


「なるほど……。」

「隠すもなにも………僕……何も隠してなんかないよぉ……?」




そう言っても説得力無いよぉ………?

もう君は……同類なんだよっ♪

「ううぅ………。」

あっはっはっは☆





「はははは、それはそうとして、黒神さんにめだかさん。ここで1つ老人の実験に付き合っていただけませんか?」


そういいながら取り出したのはワイングラス……。

その中には数個のサイコロが入っていた。






-76-
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