小説『めだかボックス 〜From despair to hope 〜』
作者:じーく()

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第8箱 「ええ!!まさかの延長戦なの……?」







めだかちゃんは、まるで肉食獣の様な鋭い目をしていて・・・


何か怖いよぉ…  


でも、言われたよね?

簡単に負けちゃダメだって…!

僕だって… そんなに簡単に負けるのは…ヤダだし!

善吉君たちの期待もあるんだ!


うん…結構めだかちゃんと距離があったけど・・・はっきり見えたね。



足に力を溜めてる・・・


そして、


一気に距離を詰めてきた!!

擬音をつけるとすれば・・・




“ギュン!!!”




かな?

とりあえず・・・


「たあッ!!」


声と同時に地面を蹴り。

めだかが伸ばしていた右手に触れないように後方へ捻りをくわえながらジャンプし回避した!



「何ッ!」



めだかは今日初めて驚きの顔をした。

「危ない危ない…… えへへ…早いねーめだかちゃん。」

劉一はにこやかに笑っている。

めだかは確かに触れたと錯覚するぐらい完璧な不意のつき方だったのだが…

回避されたのだ。

めだかは…

(やはり 流石 劉一だ。身体能力も私を抜くというのか……やはり!面白いな!!)

めだかは凄ーい・・・

笑顔だった。



「ふう・・・(捻りを入れたのはめだかちゃんを視界から逃がさないようにする為だったけど・・・ちょっと派手だったね・・・ 周りの視線が何か恥ずかしい・・・)」

大人(せんせい)たちはと言うと・・・

将棋戦の時と同様・・・

何やらスポーツを観戦するようなノリで見ていた。

もー何しても驚かない!って感じだね・・・

先生達は・・・  苦笑







「……では行くぞ! 最近になり少しばかりやっておる剣道の技を見せてやろう…」



そう言うと・・・




タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ!!




でたー!! 忍法分身の術!!

って・・・


「わああああ!!!…ええええ!?増えた!!剣道なの??これ??」


これには流石に驚いたよ・・・

いや普通驚くね。流石じゃなくてもさ・・・

驚いたけど…

…ちょっと燃えてきたね!



「負けないよッ!よーし!なら全員のめだかちゃんから逃げて見せるよ!」



そう言うと・・・僕も駆け出した。


「面白い!勝負だ!!劉一!!」


バッ!!


めだかが胴体を狙って飛びついてきたら・・・

「ひょいっ!っと!!」

イナバウワー!で回避!



バッ!!!

肩にタッチを狙ってきたら・・・

体を捻ってスカぶり回避!



バババババッ!!!!

分身のめだかちゃんみんなが一斉に僕を狙ってきたら・・・

「たぁーー!!」

ハーイジャーンプで回避!


その時、めだかちゃん同士がぶつかってるみたいな錯覚に陥っちゃったよ・・・


激しい攻防は暫く続き・・・

残り15秒!


「はぁはぁ…うう〜〜…」

「くぅ・・・・」


2人とも疲れていた・・・当然だと思うけどね・・・



めだかは時計を…見る。


「時間も時間だ・・・これで決着だ!劉一!」

「うん!」


めだかが最後に選んだ手段は・・・

最初に使っていた瞬間移動だ!!


でもさっきより断然早いような気がする・・・

これって・・・黒神ファントム簡易版・・・?

衝撃波は出ないよね…?

血まみれなんてみたくないよ?? 苦笑


でも!


「よーし!これで最後だ!負けないよッ!!って わあぁ!!」


逃げようとしたんだけど・・・


劉一は足元を滑らせてしまいバランスを崩してしまっていた。



「よし!もらったぞ!劉一!」



それを見ためだかが抱きつくように飛び掛ってくるが……



スカッ……



「何ッ!」


その両手は空を切った。

なぜなら・・・



……つるッ!!



「え!?」

劉一はバランスを崩しただけではなく。


ドテッ・・・!


地面に倒れてしまったからだ。

めだかはダイビングヘッドをするように劉一に飛び掛ったのが仇となり・・・

その両手は何も掴むことなく、劉一を飛び越えてしまったのだ。

その瞬間。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪♪♪



セットしていたタイムアップの音楽が響いた・・・

つまり!





「やったー!りゅういち君が勝った!!」「わぁーい!お菓子だーー」「ばんざーいばんざーい!!」





後ろから歓声が上がる・・・


「いたたた……  ううぅ…鼻打っちゃったよ……(涙) ……ん?あれ?」

周りを見てみると…

はしゃぐ…友達たちと…

茫然?…とまではいってないけど…

驚き…の表情だね?


「……そっか終わったんだね…… 何かすんごく長い5分だったよ……」


めだかちゃんのところへ行き。


「あはは……最後は危なかったよ… さすがめだかちゃんだね!」

そう笑いながらめだかに言う。

「ふふふふ・・・そうだな!だが劉一!貴様も流石だ!」

めだかも笑っていた。

そして、握手を交わす……







めだかが笑ったのは…

頭脳だけじゃなく、身体能力でも超えるべき男だと分かってしまったためだ、

文武の全てを…

同等… それ以上…

特別な…友達だ…

嬉しいかぎりだ! 対等の者もいなかったのに…な。

これでは顔が破顔せずにはいられない!らしい…



「では、勝者の皆に約束の物を配るとしよう。後劉一!話があるから幼稚園が終わっても帰るで無いぞ?」



めだかはこれでもかって言うくらいの笑顔を見せながら言う・・・

やっぱり…ちょっとこわいよぉ・・・・


「う・・・うん・・・いいよ!」


引きつった笑みになったのは仕方なかったと思いたいね・・・ 苦笑






今日の僕は幼稚園内のヒーローになった。



その名も・・・



【鬼ごっこマン!】



さすが・・・園児達・・・ まあ僕も園児なんだけどね。 苦笑


んで・・・ めだかちゃんと約束の時・・・

「よし!来たな!では はじめるぞ?」

めだかちゃんがなにやら言い出した・・・

何も説明受けてないけど・・・・

「ええっと・・・何をかな?」

恐る恐る聞くと・・・

「何って・・・先ほどの続きだ。」


・・・・・え??


ええっと・・・もう一度考えてみよっと・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・先ほど?


って言うと・・・・・・・・・・・・・・・・?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・鬼ごっこ?


えーーー!また!!


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初めへ戻る・・・・・・・・・・・・・・(第7箱参照!)


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「ええ!!なんで僕だけ?? ・・・・ なんでこうなったのかな?めだかちゃん?」

そう言うと・・・

「ふむ・・・ 他のメンバーは皆私が捕えているからな!後は劉一、貴様だけだ! 貴様相手にあのルールでは私があまりにも不利のようだったのでな!これならば公平であろう!」 凛ッ!!

だそうです・・・・

悲しい事に・・・

瞳先生は今日は遅れてくるようで・・・

止めてくれる人がいないなぁ・・・

善吉は他の友達とお菓子を幸せそうに頬張ってるし・・・


「ではゆくぞ!!」

「うっひゃああ!!」




こうして・・・鬼ごっこは始まり・・・・



そして、




計1時間5分もの全力鬼ごっこは終了を次げた・・・



もちろん最終的に止めてくれたのは瞳先生・・・


「はいはい。帰るわよ?」


と言ってくれて…

助かりましたよぉ・・・・・・・・・・



「つかれたよ・・・・」

「今回は引き分けだな? 私の2勝2敗でな!」



めだかちゃんは凄く満足してて、

とても可愛らしい笑顔だったので。

まあとりあえず、この笑顔を見れたからヨシと・・・

「ちょっと・・・割に合わないかも・・・」

疲労具合から考えたらね・・・


「む??なにがだ?」

「なんでもないよッ!!」


慌てていい・・・

長い長い1日が終わった。  





-9-
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