【 第5話 】
「さっきの紋章砲は?」
「あれはたぶんレオ閣下だ!」
エクレが教えてくれる。
「レオ閣下?」
「ガレット軍の領主に決まっているだろ!///」
エクレは少し怒っていたが、いまだに顔が赤い。
「見事だ!ビスコッティの勇者!」
遠くからセルクルに乗ったレオ閣下?がこちらに近づいてくる。
俺は盾をしまい再び剣を呼び出す。
「慌てるでない!」
レオ閣下は俺達の前でセルクルンから降りる。
「ビスコッティの勇者よ!わしと勝負しないか?」
「望むところです!」
ポイントで言えばあともう少しで追いつき逆転出来る。
それならいっそ領主を倒しちまえば一気に逆転勝利が出来るではないか。
そんな考えで俺は勝負を受けた。
「私も闘わせてくださいレオ閣下!」
エクレも同じ考えなのか闘いたいと発言する。
「俺一人で大丈夫だって!」
「本当に勝てるとでも思っているのか勇者?」
「ああ。思ってるよ!」
「あなたはレオ閣下をなめすぎです」
「別になめてなんかいないし!勝てると信じているから俺は闘うんだよ!」
エクレはあきれた顔をして「負けても知らないからな!」と言って元の位置に戻って行った。
「どこで闘いますか?俺はどこでもいいですよ!」
「じゃーあそこで闘おうではないかビスコッティの勇者!」
レオ閣下が指したのはアリ地獄のようなところだった。
「望むところです!」
あそこなら俺のローラーが使いやすい。
俺とレオ閣下は移動を開始した。
「勝利条件は武装破壊した方が勝ちじゃ!」
「いいですよ!」
側面は傷一つ付いていなかった。
俺は心の中で「ラッキー」と言った。
「では、かかって来いビスコッティの勇者!」
俺はレオ閣下の方に近づいていく。
レオ閣下も俺の方に近づいてくる。
レオ閣下の魔戦斧グランヴェールが振り下ろされる。
俺はそれを受け止めるように棒を横で両手持ちにしくいとめる。
「なかなかやりよるなビスコッティの勇者!」
「それはどういたしましてっ!」
俺は魔戦斧グランヴェールを振り払いそのままレオ閣下の腹部めがけて棒を突き出す。
レオ閣下めがけて突き出した棒は途中で真っ二つになる。
「今のはいい判断じゃったぞ!」
さっきから俺はレオ閣下に褒められてばっかじゃないか?
よくよく考えてみれば……。
今はそんなことより勝負に集中しないとな!
俺は靴をローラーシューズに変え片手剣を手に持つ。
「次は当てて見せます!」
俺は後ろに下がり距離を取る。
俺はレオ閣下の方へ近づいていきレオ閣下がグランヴェール(斧)を振り下した所でスピードを上げ側面めがけて走っていきそのまま側面をグルグルと回る。
レオ閣下は回っている俺を追いかけるように見る。
これこそが俺の作戦!
目が回れ作戦だ!
思った通りレオ閣下の足がくらくらし始める。
俺はそこを狙いレオ閣下に向けて紋章砲を撃つ。
「いっけぇぇ〜!」
『ドーン!!』とレオ閣下いた場所が爆発し黒煙が舞い上がった。
「よしっ!」
俺は側面から降りローラーを直す。
黒煙の中から光ったものが見えた。
「うそだろっ!」
俺は出てきた紋章砲を横に飛び込んでかわす。
危機一髪でかわせた。
「あまいぞビスコッティの勇者よ!」
飛んでいた黒煙を斧で振り払いレオ閣下は姿を現す。
俺は体を起こす。
「さすがにこんなんじゃ通用しないか……」
俺は一人でつぶやき一人で落ち込んだ。
「今度はわしからいかせてもらうぞ!」
俺はもう一度ローラーシューズを呼び出し剣を拾い構える。
「さあ。今からが本番だぜ!」
こうして俺とレオ閣下の闘いが再開した。