【 第8話 】
頭を回して考えた結果、これしか思いつかなかった。
「リコ〜いるかぁ〜」
俺はもう一度、研究院がいる部屋に入る。
「いるでありますよ」
リコは部屋の奥から返事をして出てきてくれる。
「なんでありますか?」
「すまんがここにいてもいいか?」
「いいでありますよ」
リコは「こっちであります」と言い奥の方に歩いていく。
俺はそれに続く。
「いやー俺この城に何がどこにあるとかわからなくてさ!」
「そうでありましたかぁ」
「それで思いついたのがここにいたらいいじゃないかってことになって」
リコは本を探しながら俺の話を聞いてくれる。
「勇者さまは面白いでありますね」
「そんなことないよ!それよりさっきから何を探しているんだ?」
「勇者召喚に関する本であります」
「俺も探すよ!」
さっきから気になったことを聞けば俺のために頑張ってくれていた。
これは俺も手伝うしかない。
と思い俺は席を立つ。
「ありがとうであります」
俺は本棚の前に行く。
ずっしりと本が並べられている。
「リコはここにある本、いくつ読んだんだ?」
「全部読んだであります」
じゃー一回はその本を見ているってことだな。
「いつから読んでいたんだ」
「3歳からであります」
「……すっすごいんだなリコは」
さすがに驚く。
さっきから俺がなんで質問ばかりしているか?
それは本の題名が読めないからだ!
ここではフロニャルド語と言うらしい。
「ありがとうであります」
俺はリコに気づかれないように席に戻る。
なんかごめんな。
がんばってここの文字を覚えることにするよ。
リコはいまだに探している。
よく頑張るな小さいのに。
「あっ!思い出したであります」
リコは自分の机がある方に向かい宝箱みたいなものあける。
「あったであります」
宝箱から分厚い本を手に持つ。
「これであります」
リコは俺に本を読むように渡す。
「あっその〜…………」
「なんでありますか」
「俺、読めないんだわぁ///」
自分でもわかるくらい顔が赤くなる。
勇者なのにどんくさいよな。
「そうでありましたか」
リコは俺の代わりに本を読んでくれる。
「…………」
リコは集中しているせいか一言もしゃべらなくなった。
俺もそれを邪魔をしてはいけないと黙り込む。
「えっ!……」
リコが急に声を出す。
それに驚いて俺は椅子から落ちる。
「どうしたんだリコ!」
「あっすみませんであります」
ただ単に何かに驚いただけだったみたいだ。
俺はそのまま椅子に座る。
リコは本を読み終えたのか閉る。
「なんか書いてあったか?」
「なかったであります……もっと探してみるであります」
俺は時計を見る。
が読めない。
なんて不便なんだ。
「リコっ!俺にフロニャ文字を教えてくれ!」
「いいでありますよ」
そうしてリコは白い紙に文字を書いていく。
こうして俺はリコにここの文字、フロニャ文字を教わることにしたのだった。