【 第9話 】
「今は午後6時だよな!」
「そうであります」
何とかフロニャ文字を覚えることが出来た。
「リコのおかげだよ!ありがとな」
「照れるでありますよ〜///」
リコの頬が赤くなる。
文字を覚えると言っても、日本で言う平仮名と数字だけだった。
「姫様のコンサートっていつからだった?」
「7時からであります」
「今からどうするんだ?」
「もうすぐ移動するであります」
リコはカバンに荷物を入れる。
「俺は何を持っていけばいいんだ?」
俺のカバンはこの城のどこかにある。
今の俺じゃー探すことは出来ない。
「何にもいらないであります」
リコは用意できたのかカバンを持つ。
「行くであります」
「本当にすぐだな!」
俺はリコに続いて研究院をでた。
「何で行くつもりなんだ?」
「セルクルであります」
「そんなに遠いのか?」
「少し遠いであります」
リコは俺に説明してくれる。
リコが言うには、ここビスコッティ共和国とガレット獅子団領の間にある街でコンサートがあるらしい。
「じゃー行くか!」
「はいであります」
俺はセルクルがないため俺はリコの後に続いてローラーで滑って行く。
俺はもっといいものがないか考える。
「あっ!」
「どうしたでありますか」
「いいものを思いついたんだよ!」
俺はジェットボードを思い浮かべ指輪から呼びだす。
俺はサーファー気分でジェットボードの上に乗り、気力を使い地面の上を楽に滑る。
ローラーもいいんだが足が疲れるんだよ。
まあ。これなら輝力は使うけれど楽だからいいだろう。
「すごいであります」
俺はリコの横に並び街をめざした。
「遅いぞ勇者!」
エクレは街の入口で待っていてくれた。
「そんなこと言っても俺、ここ知らなかったし」
俺はジェットボード『トルネイダー』をしまいエクレ、リコと会場をめざした。
「すげーなここ!」
「あたりまえだ!姫様が歌うのだから!」
「そうでありますよ勇者様」
今思ったのだが俺の名前は勇者なのか?
それよりこの集まりはすごすぎる。
姫様のコンサートがここまで人気があるとは思わなかった。
失礼のように聞こえるが気にしないでほしい。
「ここだ!」
俺たち3人の席は予約されていたのか横3席分空いていた。
たぶんエクレがやってくれていたのだろう。
だから早くにここに来ていたのだろう。
「ありがとなエクレ!」
「なっなんの話だ!」
エクレの頬が少し赤くなる。
「ここの席、エクレが用意していてくれたんだよな!?」
「お前に取ったわけではない!リコのついでに取ってあげただけだ!」
「エクレありがとうであります」
リコは今にも泣きそうな涙目でエクレに言う。
「俺はそれでも嬉しいよ!」
エクレは「ふんっ!」と視線を俺から逸らして席に座った。
「二人は仲良しでありますね!」
「そんなわけないだろ!」
エクレは否定する。
「そうだな!」
俺は正直に答える。
『パチパチパチ……』
ここに来ていたみんなが拍手をする。
気づいたら姫様はステージに立っていた。
「みなさ〜ん、こんばんわ〜!」
『おぉーーー!!』
みんなの声援?が姫様に向かって送られる。
「お元気ですかぁ〜、歌聴いてくれますか〜」
『おぉーーー!!』
姫様は俺を見つけたのか小さく手を振ってくれる。
俺も姫様に手を振りかえす。
「聴いてください、きっと恋をしている」
こうしてコンサートが、姫様の歌が始まった。