「「あはははははは」」
翌日。
昼休みの屋上。
澄み切った青空の下で、俺と涼月は笑っている。
「……笑い事じゃないよな、事態は深刻なんだぞ」
だって……ねぇ?
昨日の紅羽が俺たちとジローたちを間違えたあとで、こんなに面白いことになってたなんてさぁ。
最初からジローたちを見張ってたらしいんだが、途中で入れ替わったみたいだ。
あのあと紅羽はジローたちのところに行って近衛に言ったらしい『女装趣味のあるヘンタイさんだったなんて!』って。
うん、馬鹿だな。
まあ今まで男だと思ってた人がいきなり女だっていうのもね、だから女装にに行き着いたようなんだよ。
しかし本題はそこじゃない。
突然だが紅羽は昔から言っていたが『自分より強い人が好き』らしい。
紅羽は相当強いんから、そんな奴ほとんどいないだろう。
しかし近衛は強かったらしい。
『あたしの……あたしの兄さんを返せ―――っ!』とか言って突っ込んでった紅羽を返り討ちにしたらしい。
………………………………………。
そして近衛を男だと思っている紅羽は、近衛に恋をした。
って訳よ。
「いいじゃない。お似合いの二人だと思うわ」
「……おまえ、本気で言ってんのか」
「ジロー、人の恋路を邪魔すると馬に蹴られるぞ」
ぽんっ
「ぽんっ、じゃねーよ。肩叩くなよ。何だ、諭してんのか馬鹿にしてんのかどっちなんだよ!」
「多少の障害なんて二人の愛があれば乗り越えられるでしょう?」
「そうだな。俺の近くにもそんな人いたぞ、な?」
「頼むから俺に同意を求めないでくれ。そんなことを聞くためにおまえをここに呼び出したわけじゃないんだよ」
「まさか! 自分も同性愛に目覚めようと! さすがジローだ、俺たちの予想の遥か上を行っている」
「違うからな、俺さっきから突っ込んでばっかりだよ! そう言う話じゃなくて、紅羽は近衛の秘密を知らないんだぞ。それともおまえはあいつらがそういう関係になってもいいのかよ」
「あら、最近じゃそういう恋愛も珍しくないんじゃない。意外と近くにそういう趣味の人もいたことだし」
まあな、ただちょっと変わってるやつだが。
「とにかくだ。協力してくれ涼月。おまえにだって責任はあるんだぞ」
「責任?」
そうなのか?
「そうだよ。……おまえ、今朝も近衛を俺のうちに寄越したろ」
「そうね。何か問題でもあったの?」
「大ありだ。おまえのせいでこっちはえらい目にあったんだよ……!」
「「?」」
俺たちは普通に三人で朝食食べてきたけど?
そしてジローは語り出す。