日曜日にみんなでプールだ〜。
イェ〜〜イ!
…………とでも言うと思ったか?
冗談じゃない。
姫華と二人で行くならまだしも、ジロー、スバル、奏、紅羽が一緒だぞ。
絶対何かあるよな。
ことの発端はあの後の会話だった。
ジローが言うは、近衛が家に来たときちょうど紅羽がシャワーを浴びるときで、シャンプーが切れてリビングに来た下着一枚の紅羽に遭遇すると言う事件が起きた。
「……くっ、くくくっ……っぷはははは!」
俺は笑いをこらえようとしたが、無理だった。
「あははははははははっ!」
奏にいたってはもう堪えることすらしなかった。
「笑うなっ! こっちは大変だったんだぞ!」
「そんなこと言うなよ、笑うしかないだろ?」
「本当に大変だったんだぞ! あの後、紅羽は部屋から出て来ないし。仕方なく先に学校に来たけど大丈夫かな、あいつこのまま不登校にならなきゃいいけど」
その心配はないだろ、だって……ていうかなんで……。
「あら、それなら大丈夫よ」
奏はジローの背後を指差した。
「だって、そこにいるわよ。あなたの妹さん」
「は?」
ジローは振り返るとそこには屋上の扉。
わずかに開いたその隙間からこちらを向く大きな瞳が二人分。
「げっ!」
「はぁ……」
ジローと俺の声が重なって出た瞬間。
どかんっと扉が開いて、見なれたショートカットと、腰には少し届かないポニーテールが現れた。
「探したよ。兄さん」
「探しましたよ。翁牙様」
「ふ、二人ともいつからいたんだ?」
今の発言から、ジローは気付いてなかったみたいだ。
いつからって言うと、紅羽はついさっきから、姫華はほとんど最初からだ。
なんだか姫華の反応が怖いのでちょっとジローたちはシャットアウトだな。
「どうかしたのか?」
「最近はいつも奏様と一緒にいるんですね。私といるより楽しいですか」
ああ、そういうことか。
「そんな訳ないだろ、俺の一番はいつでもおまえだよ」
「そんな事ないです、最近は奏様とよく朝食を食べています。今までは私と二人だったのに」
寂しいんだよな。
「何度も言わせるな、何があろうと、どんな事になろうと俺の一番は永遠におまえだよ。俺は何よりもおまえを優先しているつもりだ。最近のことも、いつも俺につきあって友達のいなかったおまえに初めて友達が出来そうだった。それを応援するのは主の務めだろ」
「あっ……」
「心配するな」
そう言って頭を撫でてやる。
後ろからBLだの、私が彼女だの聞こえるが気にしない。
こういうことになり、ジローたちがプールに行くらしいから一緒に行こうと俺が言った。
紅羽とスバルのためだから、俺たちは暇だしな。
その間に友好を深めようということだ。
姫華のためだが、なんだか途方もなく不安でいっぱいだ。