そして土曜日の夜、というかさっきの続きだ。
俺の明日の準備を終え、夕食を食べた。
食後の休憩時間の話だ。
「明日は楽しみか?」
「はいっ♪ とっても楽しみです。翁牙様と一緒に出かけることもあまりないですし、今回は新しい知り合い……いえ、友達も一緒です。これで楽しみじゃなかったらいったい何が楽しみ何だってくらい楽しみです」
な、なんてことだ。姫華がものすごい勢いでしゃべってる……だと。
こんなこと滅多にないな、やっぱり相当楽しみなんだな。
「明日の準備はしたか、水着とゴーグル忘れるなよ。あと髪留めも必ず持っていけよ、持っていかないとプールに入れないからな」
「心配しなくても、準備は万端です。何なら確認してくれてもいいですよ?」
どうしようかな? 心配だから確認しておきたいところだけど……。メイドとはいえ女性の荷物を触るのは気が引ける。
「いや、やめとくよ。今回は姫華を信用してみる」
「おっ! 意外ですね、てっきり調べるかと思っていたんですが」
「調べた方がよかったか?」
「いいえ、恥ずかしいので本当を言うと見ないでほしいです……」
なら最初から言うなよ。……待てよ、ここはからかうところだな!
「やっぱり見ることにする! なんだか心配になってきた(笑)」
「(笑)って何ですか!? 今見ないでくださいって言ったばっかりですよね?」
「そこはあえてだろ。押すなって言うと押しちゃう感じのやつだよ」
「いや、そう言うフリじゃないですから!? 女の子として恥ずかしいその一心ですから!」
「わかってるって、そういうお年頃ってやつだろ?」
「そんな温かい目で見るのはやめてください! あと、お年頃じゃないです! ものすごく一般的な恥じらいの精神です!」
「ってことは、最初のあれは誘ってたって捉えていいのか?」
「えっ……? あっ……! 違います、関係ないです! いつものノリです! ただ今日の荷物が恥ずかしいものだっただけで」
はっはっはっー。姫華のやつ、顔を真っ赤にして可愛いな〜♪
「冗談だよ、今回は信用してるって言っただろ? ただ少し胸にモヤがかかってるって言うか、胸が詰まってるって言うか……」
「心配性ですね、大丈夫ですよ。それに何かあっても私が翁牙様は守ってみせます」
「はぁ、……それは男のセリフだよ。今度こそ俺は―――を守ってみせる!」
「……? 今度こそって何ですか? それに誰を? ……! まさか私以外の雌猫と?」
「あ、いや、……違う! ただ目の前で困ってる人を必ず助けてみせるってことだよ。ていうかお前、自分も雌猫なのか?」
くだらないツッコミを入れながら、ふと思い出す。
そうだったな、今のお前は…………………。
「なんだか釈然としませんが、いいです。お互いに頑張りましょうね♪」
「ああ……、そうだな」
これ以上―――を悲しませたりしない! 絶対に!