小説『おひナイ』
作者:五月雨桜花()

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 登校中ジローとスバルを見つけた。

「おっ、あんなところにいたぞ」

「そうね、でもあんまり近づいちゃいけないわ。スバルは敏感だから」

「それは心配なさそうだ、すごく緊張してるみたいだから10メートルくらいまでなら大丈夫だろう」

「そうね行ってみましょうか」


 ということで移動中なう


「けっこう近いな、微かに会話が聞こえる」

「私には聞こえないわ」

「私も聞こえないです」

「仕方ないな。解説してやろう、こんな感じだ」


『さっきからずっと黙ってるけど、なんか喋ろうぜ』

『…………』

『まさか、朝のキムチがあたったのか、おなかでも痛いのか?』

『……おまえはいつもあんな朝食を食べているのか』

『冷蔵庫にキムチしかなかったんだ』

『買ってくれば良いだろう』

『妹の趣味だ』

『そうか』

『ああ』

『…………』

『また黙ったな』

『…………』

『機嫌でも悪いのか』

『そんなこと……ある』

『あるのか……』

『ああそうだ。だいたいボクの裸を見ておいてよくそんな気軽に話しかけれるな』

『眼鏡してなかったからいまいちよく見えなかったんだよ』

『言い訳するな、また目を潰すぞ』

『遠慮します』


「ってな感じだ」

「変態です」

「く、ふふふ。あとでそのネタでからかってみましょう」

「相変わらずの性格だな。まあそういうとこも嫌いじゃないけど」

「えっ?」

「翁牙様?何をおっしゃっているのですか」

「なにって、別に思ったことを言ってるだけだが」

 なのに何で奏は頬を染めてるんだ。

「……普段から本音を言うのなら、あなたの体質はそんなに悪くはないのね」

「まあそうだな、まあこれでも隠してる方だぜ。それに本当に大事なときに駄目な体質だよ」

「直りそう?」

「多分無理だな。良くは成るかの知れないが、完璧にとなるとちょっと……」

「まあ別に、実害がないなら良いんじゃないかしら」

「そうですよ。それに翁牙様が至らぬところは私がフォローします」

「ありがとな」

 本当に直さないといけないのは、もう一つの方なんだがな……。

「いえいえ、そのためのメイドですので」

 それでも、素直な姫華の好意は、喜んで受け取っておくよ。

 と、どうでもいい話をしているうちに学校に着いた。と言ってもクラスは同じなので大して変わらないが。

「私はスバルのところに行くわ」

「じゃあ俺たちはジローのとこだな」

「また後でね」

「ああ」

「はい」

-4-
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