「なんで相合傘しなかったんだ?」
「それは、俺の体質を知って言ってるのか。ていうかなんで知ってんだよ、見てたのか」
「それはもうばっちりと」
下駄箱でジローに追た後の第一声がこれだ。奏の方はスバルに同じようなこと聞いてるんだろうなー。
靴を履き替えて、教室に向かう。
「不潔です」
「なんでだよ! ていうか他にかける言葉はないのか?」
「ないですね、皆無です」
手厳しいな〜。
「俺が悪いんじゃないんだ!紅羽の陰謀なんだ」
「言い訳は見苦しいですよ。女の敵さん」
「定着する前にやめてもらえませんか!?」
「では、チキ……」
「それだけはやめてくれ!!!」
「あっはっはっはっは」
「さっきからしゃべってないのにここだけ笑うのやめろよ」
「ははは、無理だ(キリッ)」
「改まるな」
「というか、朝食キムチだったのか」
「そんなとこまで聞いてたのか!?」
「ほとんど聞いてたぞ」
「さらっと重大なこと言ってんじゃねーよ!」
「まあ気にすんなって」
「それは俺が言う言葉だろ!?」
「誰が言ったって変わんないって」
「それもお前が言うことじゃねぇ!?」
「ふふっ」
「おっ、姫華が笑うのは珍しいな」
「俺も数えるほどしか見たことないな。ていうか、主なのにヨルもあまり見ないんだな」
「………それについては保留で頼む」
「そんなこと言うなって」
そんな笑って聞くなよ!
「言いたくないんだ!」
「何の話だ?」
「はっ?」
「勘違いしてるようだが、俺は聞いてないぞ。長い付き合いだ、お互い秘密もあるだろ。だから、頼むなよ。わかってるから、話せるようになったら話してくれればいいから、話せるようにならなかったら話さなくていいから。俺たちはそう言う仲だろ」
「そうだったな、つくづくジローが友達で良かった」
「こちらこそ」
温かい空気がこの場を包む
「そろそろ教室ですよ♪」
「テンション高いな。そろそろ『奏たち』も来るだろ。俺たちもテンション上げてこうぜ」
「そうだな」
「……そうですね……」
あれ? 姫華のテンションが目に見えて落ちたぞ。なにか不味いことでも言ったかな?
ということで、ジローとの友情が深まった。
……これ以上、男と友情が深まってもなぁ〜?