小説『おひナイ』
作者:五月雨桜花()

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『キーン・コーン・カーン・コーン』

          バッ

 急いで身を起こした。

 ヤバい寝過ごした! 朝の夢見の所為で少し寝不足気味だったからな。

「起きましたか、翁牙様」

「ああ、すまなかったな2時間くらいその態勢でいたんだろ?」

「どーってことありませんよ」

 と言って立ち上がろうとしたが、足が痺れているのだろう。案の定バランスを崩した。

「おっと」

 とっさに背中に手をあてて支える。それと同時に足に手を回し持ち上げる。

「きゃっ!」

 いきなり地面から足が離れて悲鳴を上げた。

 ここ2日で二度目のお姫様抱っこだ。

「何て言うかさ〜」

「な、なんですカ」

 何に緊張してるんだろ、声裏返ってるじゃないか。よく見ると顔も赤いし。

「いや、昨日の今日で俺の生活が180度変わった気がしてさ、俺の世界には今まで姫華とジローしかいなかった。それなのに今では2倍になった。2人から4人になったって言っても、あまり進歩していない感じだが、俺の中では大きな進歩だと思ってさ。でも、今日は姫華と二人の時間があまりなかったから、これから遊びにいこう!」

「は? はい」

「今日は、ゲーセンに行くぞ」

 それから一度教室に荷物をとりに戻った(お姫様抱っこのまま)が、ジローたちはおらず、俺たちはそのままゲーセンに行くことにした。

-9-
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