六十八話
なんとかアリアを取り戻す事に成功したキンジは、シャーロックの居場所を聞いていた。
聖堂の奥の扉に消えたと返答を受け、アリアを伴って進んでいく。
一気に近未来的な様相となった通路を歩き、その先にあった厚い隔壁にあったのは、ラジオハザード。
放射性物質に対する注意喚起のあるそれが、音も無く開いた。
今までで一番広大なホールに、巨大な柱のごとく並び立つICBM。
床に開けられた深穴に収まったそれを見て、キンジは冷や汗を流す。
弾頭の中身次第によっては一国を滅ぼしかねないような代物を見れば、無理もない反応だろう。
「なんで・・・・?」
しかし、アリアの反応はキンジのそれとは少し違っているようだった。
回りをキョロキョロと見回し、キンジと目が合うと大きく目を見開いた。
「あたし・・・・ここに来た事がある・・・・!」
その言葉に、キンジは眉を寄せる。
色々な事がありすぎて錯乱状態にでもなったのかと思ったが、どうにも違うらしい。
だが、同時にありえないのも事実だ。
「そんなハズないだろアリア。それは既視感ってやつだ」
「違うの。たしかに・・・・見たことがある。それにここで・・・・あんたと会ったことがある・・・!」
「・・・・ありえん。少なくとも俺はそんな覚えはないぞ」
ただの錯覚だと片付けて、歩き出そうとした直後・・・・
雑音混じりの、音楽らしきものが聞こえてきた。
それは段々と音量を上げていき、空間全体に響いていく。
それは歌劇・・・・・モーツァルトの『魔笛』。
「音楽の世界には、和やかな調和と甘美な陶酔がある」
ICBMの影から、シャーロックが姿を現す。
その手には、アンプに繋がれた蓄音機。
「僕らの繰り広げる戦いという混沌と、美しい対照を描くようにね。このレコードが終わる頃には―――――この戦いも終わっているだろう」
蓄音機を足元に置いて、数歩だけキンジ達の方へと歩み寄った。
キンジが身構え、睨みつける様を見たシャーロックは笑みを浮かべる。
「はは、ついに決着、という顔をしているね。だがそれは早計というものだ。僕は一つの記号にして、通過点―――――『序曲の終止線』に過ぎないのだから」
「序曲・・・?」
「そう、これは君とアリア君が奏でる協奏曲の序曲に過ぎない。この意味は、じきに分かることだろう。ところで――――」
古風なパイプを取り出し、火をつけてくわえる。
わざと勿体ぶらすように一拍おいて、雰囲気を味わうようにゆっくりとその先を口に出す。
「同士討ち―――――カナ君がイ・ウーに仕掛けようとした罠の味は、いかがだったかな」
自然と、アリアとキンジは横目で目を合わせる。
今までの事のみならず、二人の衝突すらこの人物の掌の上だったという。
やられた、とキンジは内心で舌打ちする。
シャーロックがどんな思惑があって仕向けたのかは知らないが、少なくとも自分達にとって不利な状況になったことは事実だったからだ。
パトラ戦に甲板での弾幕戦、それにアリアとの戦闘。
それらによって、二人の弾薬はもう残り僅かなのだから。
アリアでさえ残り数発、キンジに至っては武偵弾を除けば一発のみ。
「曾お爺様」
そんな中、アリアが一歩前に踏み出した。
そこに先程までの弱々しさも不安定さもなく、毅然とした態度でシャーロックを見据えている。
「あたしは・・・・曾お爺様を尊敬しています。だから、あなたに銃を向ける事は出来ません。あなたに、命じられでもしない限り」
そうして、二丁のガバメントを床に置いた。
「あたしは、あたしを取り戻そうとしたパートナーに銃を向けました。追い返そうとして、でもそれは出来ませんでした」
ゆっくりと、しかしハッキリと、小さな声で続ける。
「キンジはあたしがやっと見つけた、たった一人のパートナーなんです。きっと・・・・・・いえ、恐らく絶対に、マリアとの約束も破っているのだというのも理解しています」
マリアの名を呟いた時に、表情が悲痛に歪む。
キンジも、その理由を推し量れないほど愚鈍ではない。
かつてパートナーになることを約束し、互いに支え合うと誓った仲だ。
それを裏切る事になると、アリアは後ろめたさに苦しんでいるだろう。
しかし同時に、キンジはこうも思う。
きっと・・・マリアはそれを咎めたりはしないだろうと。
それはもう、ここまでの道のりを思い返せば確信に近い形で言い切れる。
上手く言葉に言い表すのは難しいが、敢えて言うなら元パートナーとしての見解とでも言えばいいか。
そもそもからして、二人が引き離された時点で確定と言ってもいい。
イ・ウーを継がせて一緒に過ごすのが終着点なら、最初から共に歩かせればいいではないか。
ただでさえ息がピッタリであろう仲良し姉妹、まして程度に差はあれど両人とも紛れもない天才である。
それはさながら、元々一つだった物が綺麗に割れていたかのごとくピタリと嵌る、それくらいに理想的なタッグになったであろう筈なのだ。
それを何故わざわざ他人であるキンジを挟んでまで事を進めたのか。
真意は分からないが、少なくともマリアも一枚噛んでいるとキンジは踏んでいる。
それはつまり・・・・・二人の約束はとうの昔に破綻しているのだ。
八年前―――――二人が道を違えたその時から。
「それでもあたしは、彼に協力しようと思います。これは、二人に敵対するという意味なんです。どうか、お許しください」
「―――いいんだよ、アリア君」
しかし、シャーロックの浮かべるのはとても満足気な表情だった。
それは言うなれば、子の成長を喜ぶ親のごとく優しげで、柔らかかった。
「君はそうして、僕らの存在を心の中で乗り越えた。敵対すらをも決意し、彼という存在をゆっくりとだが大きく捉え始めている。まだ、愛の量は僅差のようだがね」
キンジは、どうやらシャーロックが自分らにとって苦手な分野の話をしている事に気付く。
文面はともかく、その意味がイマイチ汲み取れないのだ。
ただ、どうも弾切れ狙いなどという姑息なものよりも深い目論みがあったという事だけは理解した。
「つまり、全部自分の推理通りに事が運んでいるって言いたいのか。シャーロック」
「はは。こんなものは初歩だよ」
キンジが睨みをきかせても、サラリと受け流しながら笑う。
「じゃあ――――これは推理出来たか」
唐突に、キンジはアリアの即頭部にベレッタを突きつけた。
ここに来る直前に、二人で言い合わせた通りに。
「・・・・」
それを見てシャーロックは―――
ただ黙って、パイプをくわえ直した。
そこには驚きも困惑も見られず、むしろ二人を観察しているように見える。
「君。それは人質を取ったつもりかい?」
「お前はアリアが目当てなんだろう。それに、アリアがいなくなればイ・ウーは仲間割れを起こすって兄さんに聞いたもんでね」
銃口をそのままに、キンジはアリアの背後に回る。
「君は撃たないよ」
「言っとくが、俺はもうヤケクソだぜ」
そう言いながら、キンジはアリアの影からシャーロックを盗み見た。
こちらを向いているのを確認し、もう片方の手にある物の感触を確かめる。
「そう言えばシャーロック。あんたにプレゼントがあるんだ」
ダメ押しとばかりに大きめの声を出し、こちらへの注目を促す。
その瞬間に、キンジは手の中の白い銃弾をピンッと弾いた。
「兄さんからのな!」
―――カッ!―――
瞬間、小さな太陽と見紛うほどの閃光が炸裂した。
金一から譲り受けた武偵弾の一つ、閃光拳銃弾。
手投げでも使用出来る、要は閃光弾だ。
世界最高にして最強の名探偵。それを、真正面から戦って勝てると安易に考えるほど日和った思考は持ち合わせていない。
故に、無力化することを画策した。
サイズに反して通常の閃光弾以上の威力をもつこれは、どれだけ短くとも数分間は視力を奪う。
「キンジ・・・・今よ!」
顔を庇っていた手を下ろしたキンジは、アリアがしゃがみこんでいるのに気付いた。
「お前、目を閉じなかったのか!?」
「いいから早く! あたしの事はいいからっ・・・!」
キンジの方へ振り返ったアリアは、しかしその焦点が合っていない。
一時的に失明し、キンジの姿は見えていないだろう。
自らが目を閉じれば、シャーロックに警戒されると考えてそうしなかったのだ。
そして恐らく、アリアはシャーロックが光を見た瞬間を捉えた。
それらを瞬時に理解し、キンジはシャーロックに向かって駆け出し―――――
直後に、その足を停止した。
止めざるをえなかった。
「今のは中々に知恵を回した方だね。しかし、君達は推理不足だったようだ」
閃光が弾ける前と全く同じ姿勢で、平然と、シャーロックは立っていた。
まるで何事もなかったかのように、だ。
唖然とするキンジ。
どうして効かなかったのか? 何故失敗したのか?
「僕は盲目なのだよ。六十年前、毒殺されかけた時からね」
「・・・!」
「しかしそれを知る人間は、イ・ウーでもマリアのみだった。他の者には見えるよう振舞っていたからね。最初の頃は推理力が助けてくれたものだが、今では音や空気の流れで分かるんだよ」
「・・・ッ・・・!」
やられた。
全て無駄になった。
そう思った瞬間、キンジの中のベルセが再び猛り始める。
アリアの時と違い、今回は抑える理由はどこにもないのだ。
またたく間にそれは表面化し、体に力が満ちて思考が攻撃的になる。
ささやき声が聞こえないのは、キンジに拒絶の意思がないからかも知れない。
「キンジ、逃げて! 曾お爺様はあたしが――――」
「出来るわけあるか、引っ込んでろ」
アリアの言葉をにべもなく切り捨て、一歩二歩と前へ出る。
体中から獰猛さが溢れ出るような感覚を覚えながら、仁王立ちして対峙する。
「シャーロック、ここらで決めようぜ」
「何をだい」
「武偵と探偵、どっちが強いか」
ベレッタを抜き、バタフライナイフも開いて睨みつける。
アリアが失明していることを内心で感謝するキンジ。
これからの戦いは、どう転んでもあまり見せるようなものじゃない。
「・・・・キンジ君。今さら語るまでもなく、僕は150年以上、多くの強敵達を仕留めてきた。一方の君は僅か17年の人生を平和な島国で過ごした学生。そんな未熟な君が、僕と決闘しようと言うのかね」
「そりゃあ確かに、名探偵様から見れば俺は未熟だろうさ。武偵としてもEランクの落ちこぼれだしな。だが、自分のパートナーに手を出した奴を放っておくほど腐ってもいねぇつもりだ」
それに、とキンジは続ける。
言葉をはく内に、これまでの諸々の出来事が脳裏をよぎっていく。
アリアの事もあるが、もちろんマリアや金一の事も含めて。
全ての元凶がすぐ目の前と考えるほど、怒りは上限を知らず高まっていく。
「激しく個人的にだが、俺はお前をぶん殴りたくて仕方ないんでな」
キンジの発言に、シャーロックは一瞬キョトンとして表情をした後―――
プッと、堪らずといった様子で吹き出した。
「ふふふっ。それは・・・およそ検討がつくがね。やはりそういった方面は複雑すぎて如何ともし難いものだ」
可笑しそうに笑うシャーロックに、逆にキンジは感情を逆撫でされる。
どうにも、彼の何もかもを悟ったような、上から見下ろすような態度が癪に障るのだ。
「アリア君を大切に思うのは大変結構なことだ。しかし、この分だともうしばらく苦労しそうだね」
『魔笛』をBGMにして、シャーロックは金属製のステッキを持ち上げた。
銃ではなく、何の変哲もないステッキ。
「銃じゃなくていいのかよ。俺は老人相手でも容赦しないぜ」
内心で「お前だけにはな」と付け足して―――
残り一発の9ミリパラベラム弾と、武偵弾の入ったマガジンを差し直した。
こちらは遠慮なく使うと、暗に示して。
「後で一度だけ使うと断っておくよ。そしてそれは、僕の『緋色の研究』にピリオドを打つ、極めて重要な一発になると推理している」
また飛び出した新たな言葉に、キンジは眉を寄せる。
同時に、自信をそれだけで十分な存在と舐められた事に憤慨する。
「君の言うとおり、決闘に敬老精神は不要だ。遠慮はいらないよ」
それを、千載一遇のチャンスとして利用することを選んだ。
驕りが過ぎる先人に、目にもの見せてやろうと。
「心配するな、俺は武偵だ」
ベレッタで、シャーロックに銃口を向け―――
「任務は、遂行する!」
一発目、通常弾を撃ち込んだ。
シャーロックはそれを、さも当然のようにステッキの先端で弾いた。
ギィン! と金属音が響き、弾かれた銃弾は天井へと飛んでいく。
「シャーロック!」
息つく暇もなく、キンジは二発目を発砲した。
さきほどとは違い、黒く塗り潰された弾を。
再びステッキでそれを防いだ瞬間、シャーロックが眉を寄せる。
―――ドウウウウウウッッ!!―――
直後、紅蓮の炎が室内を照らした。
「ここっ、今度は動かないでくださいね。また開いたら危ないですから」
「ああ・・・・すまない」
リシアの言葉に、どこかげっそりとした顔で金一は頷いた。
その体は包帯でグルグル巻きにされ、パッと見ただけでは金一だと判別出来であろうほどに見事なミイラ男状態である。
「いきなり絶叫などするからそうなるのです。仮りにも医療に通じているというのに、らしくないですね」
「・・・・・・」
しれっとそう言葉にしたマリアを、金一は何とも言えないような顔で見る。
自業自得と言われれば否定は出来ないが、原因そのものである人物に言われるのは不満だった。
最も、それを追求する気力すら出ないのが正直なところである。
「ところで、一つ聞いてもいいか・・・・・?」
故に、最初に感じた疑問を解消することにした。
「なんでしょうか」
「君は・・・・・いや、君達はどうしてまだここに?」
マリアとリシア。
彼女らがまだここに留まっている理由が思いつかない。
百歩譲って金一の看病をするためだとしても、もう充分に果たしたはずだ。
傷を開いてしまったが、それは起き抜けにマリアと顔を突き合せなければ起こり得なかった事である。
極端に言えば、あれさえなければリシアの手を煩わせる事はもうなかった。
「単に休息を取っていただけですよ。といっても数十分程度ですが」
「休息?」
思わぬ返答に眉を寄せる。
金一の最後の記憶が無傷のマリアだっただけに、その反応は当然と言えるだろう。
「ああああのですね。金一さんを助けるために少し無理をしたんです」
「俺・・・・を・・・?」
「じ、実は――――」
リシアの説明を、金一は一言一句聞き逃さぬように集中した。
曰く、イロカネを用いた危険な手法で命を繋いだこと。
それは金一の肉体がという意味とは別に、使い手であるマリアにとっても言える事だった。
そのあまりにも常軌を逸した精密操作を実現させるため、危険域の一歩手前までイロカネに入り込んだのだ。
それは多大な精神の消耗と、肉体的な負担を強いるもの。
マリア以外は知る由もないことだが、ともすれば歴代のイロカネ保持者達すら挑戦した事のない危険極まる所業だったのだ。
それこそ、イロカネに心を食われた者達に匹敵しかねないほどに。
「それで、その・・・・マリアさんも役目は果たしたようなので、ここで少しばかり休んでいこうと・・・」
「・・・・そうか」
ポツリと、一言だけ漏らした金一。
イロカネに関して決して精通しているとは言えない彼だが、それでも相当な労力を費やして救ってくれたという事は理解出来た。
マリアは休息を必要としただけで、それがそれだけ大変なものだったかが窺い知れるというもの。
「ちなみに、ぬしらが近かったのはボートの広さの問題ぢゃからな」
「うっ」
不意にボソッと呟いたパトラに、金一はあからさまにビクリと体を震わせた。
「決してマリアが望んでお前の隣で寝ておった訳ではないぞ」
ジト目を向けてまくし立てるパトラに、金一は冷や汗を流す。
バツが悪そうに視線を外せば、同じくジト目を向けるリシアと目が合った。
「なるほど、そんな事を考えていたわけですか・・・」
「い、いや・・・・・それは・・・・」
しどろ戻ろになりながら、言い返せない自分に悪態をつきたくなる。
彼女達の言うとおり、もしかしたら・・・マリアが意図して添い寝をしていたのではないかと心の奥の隅の隅でちょこっとだけ申し訳程度に考えていた自分を否定しきれない金一。
「なんぢゃ図星か。男の下心が透けて見えるのう」
「まさか金一さんがそんな人だったなんて・・・・・予想はしてましたけど・・・」
さりげなく内心を暴露したリシアだが、それを咎める権利は持ち合わせていない。
ぐぅの音も出ずに項垂れる金一を、白雪が唖然と見ていた。
彼女はキンジほど金一と親しい訳ではないが、その人柄くらいは知っていた。
それ故に、こんな姿は新鮮を通り越して異常にすら見える。
それに――――と、白雪はチラリとマリアを見る。
自身の恋敵と瓜二つでありながら、その身に纏う空気は別格という言葉すら生温い。
金一との戦いを見たわけではない白雪だが、それでもマリアが自身を遥かに凌駕する存在だと感じ取っていた。
それにくわえて今のやり取り。
恋する乙女の一人として、彼女は敏感に感じ取っていた。
これはまるで、金一がマリアという人物のことを―――――
「星伽白雪さん」
「はひゃいっ!?」
今まさに思考の対象だった人物に声をかけられ、白雪は素っ頓狂な返事をしてしまった。
赤面しそうになるのを必死に制御し、いつの間にやら視線を向けてきていたマリアに向き直る。
「そう緊張せずとも、貴方に危害をくわえる気はりません。このメンバーでは気を張ってしまうのは致し方ないでしょうが、どうか安心してください」
「あ・・・・・」
本当にごくごく自然と手を握られ、白雪は声を漏らした。
手首をなぞるような撫で方に、不思議と張り詰めていた気が緩むのを感じる。
マリアの言う通り、場の殆どが味方とは言い難い状況に、白雪は滅入っていた。
襲われる可能性が低いとは言え、無意識にでも力んでしまうのは仕方ないことだろう。
自身が戦えるような状態ではないのだから、それもひと押しだったに違いない。
手から伝わる暖かさと、意識しなければ分からないほどの微笑み。
それによって、白雪は自分でも妙だと思うくらいにマリアの言葉を受け入れていた。
これが、恋敵である泥棒猫の妹だとはとても信じられないくらいだった。
なにかの間違いでは? と、わりと真剣に考えたほどに。
「あ、えと・・・・ありがとうございます」
「いえ」
ペコリとお辞儀をした白雪にそう返すと、マリアはそっと手を離した。
離れていった温もりに、ほんの少しだけ名残惜しさを感じる白雪だった。