小説『緋弾のアリア ―交わらぬ姉妹の道―』
作者:Pety()

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七十話










言葉を放つうち、だんだんと何かが抜けていくような感触を覚えた。
自身の事ではあるが、存外にプレッシャーを感じていたのかもしれないな。

・・・・この瞬間にいたるまで、気の遠くなるほどに多くの時間を過ごしてしまった。
とうの昔に退場するべき老兵が、随分と長く居座ってしまったものだ。

目の前には愛する曾孫とそのパートナー。
あまりにめまぐるしく変化する展開に、頭が追いつかないらしい。

思わず笑みをこぼしそうになるが、僕にも後輩に威厳を見せたいという意地くらいはあるのだ。
『緋色の研究』は世界の生命線、まさにこれまでのイ・ウーと似て非なるものだ。

彼らがどのような選択を選ぼうとも、今この時だけは、是が非でも受け取ってもらわねばならない。
故に、僕は銃を向けるのだ。

前方に存在する鏡のような光、その中に写る過去の人物に向けて。
背中をこちらに見せて、その向こうから走ってくキンジ君と視線を合わせている。

「アリアっ!」

彼が叫ぶのとほぼ同時に、引き金を引いた。
長年共にあり続けた緋弾が、スローになった世界を飛んでいく。

僅かな狂いもなく、緋弾は過去のアリア君の背中に吸い込まれた。
ゆっくりと倒れていくその姿を最後まで映す事無く、『暦鏡(こよかがみ)』が消失する。

伸ばした手が空を切り、キンジ君が勢いのままに倒れた。

「キ・・・キンジ?」

いまだ視力が戻りきっていないらしいアリア君が、おぼつかない足取りでキンジ君に近づいた。

「アリア君、キンジ君。『緋色の研究』は君達に引き継ぐ。イロカネ保持者達の争いは、まだ互いを牽制し合う状態だが、そう遠くない内に激化するだろう。その時はどうか、その力を悪用しようとする者達から緋弾を守ってくれたまえ――――――世界のために」

ドクン、と。
空気が震えるような鼓動が、五感以外の感覚を刺激する。

アリア君は辛うじて気付いていないようだが、僕にはハッキリと感じられた。
静かに、だが激しく、キンジ君の気配が変わっていく。

それは、僕の攻撃を見事に捌いて『条理予知』を覆した、さきほどの彼と同じものだった。
いや、あるいはそれ以上かもしれない。

自身の体がゆっくりと老いていくのを自覚しながら、僕はキンジ君を見据える。

「ふざけんな・・・!」

案の定、彼は激怒していた。
既に体はガタガタで、立つのさえやっとなほどに疲労している筈だというのに。

その目は、今までにないくらいの猛々しい炎を宿していることだろう。
あいにく盲目なため、直接確認する術はないがね。

「お前は・・・・血の繋がった曾孫をっ! そんな争いに巻き込もうってのか!」

―――許せない、こいつだけはっ!

そんな彼の思念が、直接頭に響くような気さえした。
こうしている間にも彼の存在感は増す一方で、おそらくその力は飛躍的に上がっているに違いない。

いささか冷静な思考が飛んでしまってはいるが、単純な実力ならカナ君とすらマトモに立ち合える勢いだ。

「・・・・キンジ君。君はこの時代におけるアリア君の重要性が分かっていない。一世紀前の僕のように、彼女は今の世界にとって必要な―――――」
「違うっ!」

僕の言葉を遮り、一喝した。
ビリビリと大気が押し寄せる感触に、思わず笑みを浮かべそうになってしまう。

だが、今は駄目だ。
今だけは、彼の意思を刻んでおかねばならない。

「どんな大層なもん腹に抱えてたって、こいつはただの高校生だ! ゲーセンごときで夢中になって、桃まん食い散らかして、テレビ見てバカ笑いしてる・・・・普通の高校生だ! 分かってないのはお前の方だ!」

そうなのかもしれない。
僕は、アリア君と共に過ごしたわけではないのだからね。

例え推理で彼女の人柄を把握出来ていたとしても、人の心とはそんな容易く理解されるほど軽いものではない。
僕自身、女心は苦手分野だと承知しているのだから。

しかし、故に人間とは興味深いものなのだ。
百年以上生きていようが、いまだに底が知れない未知の結晶。

まるで宇宙のように、どれだけ奥に進んで覗いても無限に広がり続けている。

「君の気持ちは分からないでもない。君は彼女のパートナなのだからね。だがキンジ君、この世には君の想像を遥かに超えるような悪意を持つ人間が数多く存在するのだ。そんな者達がイロカネを狙い、その力を人に害する目的のために使おうとしている。だからこそ、アリア君やマリアのような人間にこそイロカネを―――――」
「俺は世界なんてものに興味はねえ! 悪意なんざ知ったことか!!」

気のせいなどではなく、キンジ君の気迫がより一層の高みに昇った。
それは果たしてアリア君への情なのか、それともマリアの名まで出た事に対する憤りなのか。

これはさすがに、推理などで答えを出すのは野暮というものだろう。
消え行く老人が余計な事をするものではない。

そっと、光を映さぬ目を閉じる。
彼の思いは充分に知れた、後は彼等の問題なのだから。

「・・・・それが、世界の選択か」

呟いて、彼らに背を向ける。
例え二人がどんな道を選んでも、争いは続く。

イ・ウーの崩壊と共に、世界中の結社が動き出すことだろう。
『緋色の研究』によってイロカネの力が解明されていき、一昔前までは使い方の分からない希少な金属程度の認識しかなかったイロカネは、もはや世界の覇権を握るために必要不可欠な秘宝となった。

これまで以上に凶悪な敵が、遠からず二人の前に現れるだろう。
そして、その中には―――――

「なら、平穏に生きるといい。その意思を貫いて、次の世代に緋弾を継承するんだ。君達は、もう十分に強くなった。その願いは、きっと叶うだろう」

自分のためのICBMへと歩を進め、静かに退場しようとする。
その途中で、床に突き立っていた刀を回収した。

僕らのいる格納庫の天井で、ハッチが開く。
既に太陽が顔を半分ほど出している空は、卒業式に相応しい綺麗な蒼だった。

無論、このまま終わるはずなどないのだがね。

「おい、そんなんで終われるか。こっちを向け」

低く鋭い彼の声に、足を止める。
もはや抑えきれない様子の怒気が背中にチクチクと刺さり、常人ならそれだけで泡を吹いて倒れることだろう。

「何だい」

彼とは違う意味で低くなった自身の声に、少しだけ違和感を覚える。
たった数分で百年の歳月を取り戻そうとする体に、妙な感慨が湧く。

「俺は・・・キレたぜ」

チャキッと、おそらくバタフライナイフを開いたのであろう音が聞こえた。
それでいい、向かってきたまえ。

君はまだ、やらねばならない事があるはずだ。
パートナーが一発受けた借りを返さない武偵などいないだろう?

そう容易く受け取ってはあげられないが、君がどんな手で来るのか、僕はとても楽しみだ。

「お前は、アリアを撃った。一発もらったら、一発返すのが武偵だ」
「君にそれが出来るのかい?」
「出来るさ。『桜花』―――――絶対に躱せない一撃でな」

言下に、キンジ君が全力で駆け出した。
右手に持ったバタフライナイフを後ろに引き、その直後に推理する。

あれは、これまでの彼が使った事のない技だ。
予備動作も、筋肉の動きも、構えも、どれも覚えがない。

そして、空気が破裂したような音が響いた。
これは、物体が音速を超えた時に発するもの。

「―――この桜吹雪―――散らせるものならっ!」

彼の足が、膝が、腰が、背が、肩が、肘が、手首が、全く同時に瞬間的に加速している。
それと同時に、何かが裂けるような音と共に鉄の匂いを感じ取った。

「散らしてみやがれっ!!」

この局面で・・・・・いや、この局面だからこそか。
最後の一撃に捨て身の技とは、まったく恐れ入る。

まるで物語の主人公のようじゃないか。
これが無意識だと言うなら、この先彼は相当に苦労するだろうね。

確かに、これは躱せない。
事前に知って身構えたならともかく、放たれた今となっては後の祭りだろう。

「うおおおおおぉぉぉおおっっ!!」

迫りくる刃に対し、僕が動かしたのは足ではない。
絶対に避けられない(・・・・・・・・・)ことは確かだが、絶対に防げない(・・・・・・・)わけではないのだから。

その切っ先に向け、自身の左手を突き出し。

―――バチィィィッ!―――

その一撃を、受け止めた。
人差し指と中指による、真剣白刃取りで。

「惜しかったね、キンジ君――――」

残念だが、今回は敗北に甘んじてもらおう。
右手の刀を、お返しにと振るう。

そして、同じくバチィッ!っと音が鳴った。
彼が僕と同じように、刃を片手で受け止めたからだ。

「惜しくねぇよ」

彼が不敵に笑ったのが手に取るように分かる。
これは、日本でいうところの『千日手』だ。

文字通り千日経っても次の手が出せない、双方共にお手上げの状態。
しかし、不意に深く息を吸う音が聞こえた。

「そう来ることは―――――」

両手に、微かな揺れを感じた。
それが、キンジ君が頭を後ろに反らした事によるものだと認識した刹那の後―――――

「分かってたんだからなっ!」
「―――っ!」

―――ガスッッッっ!!!―――

頭を、思考を吹き飛ばすような衝撃が襲った。
ここまで直接的なダメージを被るなど、一体何年ぶりだっただろうか。

それはブラド、パトラ、カナ―――――
そして、マリアでさえ成し得なかった事だと言うのに。

(本当に、面白い子だよ・・・・・君は)

まさか最後の最後に、後輩から頭突きで送られる羽目になるとはね。
これも、僕の人生のツケ(・・)とでも言えばいいのかな。

床に背を打ち付けながら、そう思った。
『魔笛』のレコードが終了し、キンジ君の元へアリア君が駆け寄る。

しばしの間、二人がなんとも甘い空気を醸し出す。
無粋極まりないが、直接目に収められないのが残念だった。

いくら大気の流れなどで視覚以上に周囲を把握出来ると言っても、やはり直接見るからこそ意味のある光景があるのも事実。
造形を思い描こうとも、僕は彼等の顔すら拝めないのだ。

こう言う時だけは、昔の自分を怨みたい気分になる。
もし目が見えたのなら、マリアの笑顔もたくさん見れていた事だろう。

今でこそあの調子だが、会った当時などはそれこそ無邪気に笑ってくれたものだ。
あの子が笑顔を振りまく度、それを直に見る事が出来る者達に年甲斐もなく嫉妬してしまったのは、ここだけの話だがね。

などと・・・・あまり感傷に浸っている場合ではなかったね。
二人がこちらに意識を向けていない内に、砂金で人形を作り出す。

音を立てずに起き上がり、ICBMに乗り込んだ。
タイミングよく二人が立ち上がり、アリア君が手錠を持って人形の横にひざまずく。

ほんの一瞬だけ、ためらうようにしてから・・・・

「曾お爺様・・・・いいえ、敢えてこう呼びます・・・シャーロック・ホームズ」

ガチャリと、人形の手に手錠をかけた。

「―――あなたを、逮捕します」

それこそ、彼女の卒業の証。
今この時、彼女は本当の意味で僕を超えたのだ。

彼女の奏でる序曲は、これにて終わりを告げる。

「素敵なプレゼントをありがとう。それは曾孫が僕を超えた証に、頂戴しよう」

予想外の方向から聞こえた僕の声に、二人は驚いた様子でこちらを見上げた。
少しづつ、体が重くなっていくの感じながら手を振る。

「キンジ君、さっきの一撃は見事だったよ。推理する暇もない、鮮やかな手並みだった。年を取るというのはもどかしいね。先程までの若い僕ならどうなっていたか、試したくなってしまったよ」

人形に視線を戻したキンジ君の顔が、悔しさに歪むのを感じ取った。
人形から投げ渡された手錠をキャッチして、少しずつ離れていく二人を、何も見えない瞳で見下ろす。

「どこへ行く気だ! お前、今日までしか生きられないんじゃなかったのか!」
「何処にも行かないさ。『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』と昔から言うだろう? 僕も、そして君らも、卒業の時間だ。花火で彩ろう」

言葉の意味に気付いたらしいキンジ君が息を呑む。
オルクスと同じく、これがミサイル型の乗り物だと理解したのだ。

白煙の勢いが増し、ICBMが勢いを増した上昇していく。

「曾お爺様、待って!」

キンジ君の横をすり抜けるように、アリア君が飛び出してきた。
パートナの静止も聞かず、一目散に走ってくる。

「行かないで・・・! あなたのこと、ママのこと、マリアのことだって! もっともっと・・・・話したい事がっ・・・!!」

背中から二本の小太刀を引き抜いて、飛ぶ。
ICBMの表面に刃を突き立てて、必死に登ろうとしてくる。

キンジ君もその後を追うように、バタフライナイフと僕が残した刀を持って飛び移った。
ロッククライミングの要領で登るアリア君に、今さらながら罪悪感を感じる。

僅か16歳の少女が、こんなにも必死な思いをして苦しむ世界。
本当に、いつの世も、ままならない事ばかりだ。

後悔はしていなくとも、人並みの感性があれば良心を抉られるのは仕方ない。

「アリア君」

だからこそ、彼女にはパートナーが必要なのだ。
悲しい事だが、マリアではない別の誰か。

全く同じ環境で育った者とは、常に互いを支える場合おいてこれ以上ない同士でると同時に、時として残酷なまでに目を曇らせる毒になる。
ホームズのパートナーとは、そんな稀有な瞬間にこそ救いの手となりえる存在でなければならない。

もちろん、彼女達が絶対に相容れない者達という訳ではない。
ただ、二人にはそれぞれの理由があって引き離さざるを得なかったのだ。

「短い時間だったが、とても楽しかったよ。何か形見を上げたいところだが、申し訳ない。僕はもう、君にあげられる物を何も持っていないのだ」
「曾お爺様・・・」
「―――だから、名をあげよう。僕は緋弾を英訳した二つ名を持っていてね。『緋弾のシャーロック』―――――その名を、君に・・・・」
「名前・・・・」


「――――さようなら、『緋弾のアリア』―――――」


その継承を最後に、僕はハッチを閉じた。
ICBMが速度を増して行き、気圧の変化で音が遠のくのを感じる。

中に設置された座席に腰を降ろし、僕は息をはいた。
もう、体を動かす事すら億劫に感じている。

右手で左手に触れば、シワだらけで骨が浮き出ているであろう事が分かる。
長く自身を支えてくれた耳も、鼻も、段々とその役目を終えようとしている。

まるで薬でも盛られたかのように、思考が鈍化していく。
駆け足で迫り来る気配を前に、恐怖はなかった。

人として十分過ぎるほどにに生きたのだから、ここで恐れるのは滑稽の至りだろう。
全ての荷が降りた今は、なんとも言えず清々しかった。

唯一の気がかりといえば、やはりマリアの事だろう。
知らず消え去っていく感情を自覚し、間違いなく恐怖しただろう。

僕の能力を色濃く継いでしまったがために、あの姉妹はそれぞれのリスクを抱えることとなった。
ホームズ家が彼女達を欠陥品と称したのは、実は少なからず的を射ていたのだ。

最も、彼らが含んだ意味と実際の意味はまるで違う。
欠陥というより、欠点と例えるのが適当だろう。

アリア君が直感だけを受け継いだ故に、物事を論理的に説明出来ず孤立してしまったように・・・
マリアもまた、推理力だけを継いだが故の欠点・・・・・いや、危険(・・)が存在する。

そしてそれは、そう遠くない未来に表面化することだろう。
その時、マリアの隣にパートナーがいなければ・・・・・その時は――――――――

「・・・・・彼女を――――頼む」

しわがれた声で呟いたそれは、果たして誰に向けた言葉だっただろう。
永い時間の最後を、家族として過ごしてくれた大切な少女。

恥ずかしい限りだが、曾孫というより娘と感じていたのは否定出来ない。
大切な家族だと告げられ、不覚にも感動してしまったのだから。

ワトソン君との別れの時もそうだったが、やはり人というものは孤独というのにとことん弱いらしい。
どれだけ慣れたつもりであっても、知らず心の奥に溜め込んでいるものなのだ。

それに気付かず忘れ去った者は、大概において大きすぎる後悔をする羽目になる。
人の人生に後悔は付き物だが、その中でも一二を争う類のものだろう。

しかし、幸運にも僕はそれを味わわずにすんだのだ。
どうかマリアも、救いある人生でありますように。

最後の時は走馬灯で人生をやり直すと言われるが、僕は違うようだね。
フッと笑いを漏らし、瞼を閉じた。

疲れたのか、とても眠い。
いよいよかと思いつつ、それに誘われる事に抵抗は感じなかった。

むしろ自分から歩み寄りたい気分にすらなり・・・・ゆっくりと、歩き出した。





―――アリア君。君はきっと強くなる

―――それを何に用い、何を成すかは君次第だ

―――お母さんと幸せに暮らせる日々が来るのを、身勝手ながら、僕も応援させてもらうよ



―――キンジ君。アリア君もそうだが、君とはもう少し話をしてみたかったよ

―――特にマリアとの中学校生活のこととかね。あまり詳しく教えてはくれなかったんだ

―――まだ少しだけ、気持ちに揺らぎがあるようだしね

―――どれを選ぶも自由だが、きっと相当な苦労をするだろう。男として、それは甘んじて受けたまえ

―――今しばらくは、アリア君を支えるパートナーとして、よろしく頼んだよ


―――金一君。直接詫びる事ができなくてすまないね

―――許してもらえるなどとは思っていないが、老人の自己満足に過ぎない戯言だと流してくれ

―――今回の事を通じ、君は素晴らしい進歩を遂げた。間違いなく誰よりも、ね

―――君もこれから大変な苦労をするだろう。 意味は実に多岐に渡るが、頑張ってくれ

―――男として、一個人として応援させてもらうよ



―――マリア。君にはいくら感謝してもしきれない

―――こんな老人の言葉を信じ、ここまで共に歩いてくれて、本当にありがとう

―――君は僕の一番の同士でありながら、同時に一番の被害者だった

―――本来ならばどれだけ僕を恨んでも足りないないほど苦しんだだろうに、君は僕を是としてくれた

―――心の何処かで、一刻も早く終わる事を望んでいた僕にとって、君は光に等しい存在だったよ

―――娘を得た父親は、構いたいあまりフザケが過ぎるようになると聞いた事があるが、僕がまさしくそれだったね

―――最後まで振り回してばかりで心苦しいが、どうか最後に言わせて欲しい

―――いつか、必ず・・・・・日の光満ちる世界で、幸せに笑って生きてくれ

―――それが僕の、最後に残った唯一つの願いだ







―――随分と長くなってしまったが、そろそろ幕を引くとしよう。


―――永い永い時の中で、僕を支えてくれた全ての人へ、至上の感謝を述べよう。


―――家族も、友人も、恩師も、宿敵も、そしてなにより愛する娘へ・・・・




―――――ありがとう。

―――――さようなら。

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