小説『魔法科高校のイレギュラー』
作者:rassan()

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 主人公という存在



[風間。聞こえるか?]

「深島さん? 何か・・・・いや、何が起きているのですか?」

[うむ、沖に軍艦を発見。早急に索敵を提案する。]

「っ!? 各隊員、訓練中止! 第二種戦闘配置! 哨戒班は至急連合方面の沖の確認を!!」

「はっ!」

 はいどうも、三島錬だ。連合からの軍艦を発見したため、軍基地にいた風間さんに状況の説明をしている最中である、親父が。俺はそれを精霊を通して感じながら、独立魔装大隊の人たちを見ていた。

 原作の男性隊員は顔の詳細がわからなかったので見分けがつかないが、女性のほうは一際綺麗な人がいたので、この人が藤林さんなのだろう。今も端末で何かをしているので間違いないだろう。

「それにしても・・・・深島さん、ありがとうございます。あとはこちらで・・」

[そのことだが、こちらは索敵しかせん。やろうと思えばできるが。]

 えっ? できんの? 親父殿・・・俺、そんな遠くはまだやったこと無いけど・・・

[錬がな。]

 俺っ!? いきなりの無茶振り!! 何もしないんじゃないの!!?

「錬が?・・・そういえば、錬も来ているのですか?」

 おっと、ここで挨拶をしとかないと。

[ええ、来てますよ、風間さん。]

「さすがは錬だな。ここまで飛ばせるとは・・・それよりも何かするのか?」

[いえ、今始めて聞きましたよ・・・・]

[何、はじめから言っているように索敵しかさせん。できるかできないではできるが、そうなると厄介だからな。]

「そうですな。ここはわれわれに任せてもらったほうがよいでしょう。」

 いやいやいや、何を二人して納得しあっているんだ・・・俺にはまったく理解できんのだが・・・・

「そういえば、錬。お前と同じ年ぐらいのできそうな男の子と知り合ったぞ。」

[へ? 風間さんがそんなほめる相手なんて・・・]

 風間さんが手放しでほめることは少ない。その風間さんがほめるということは・・・

「今はまだまだだが、磨けば光るな、あれは。精神面でも落ち着いているようだし、錬の相手にはいいと思うぞ。」

[風間さん・・・名前は聞かなかったのでしょうか・・・・」

 とうとう来たか・・・・まぁ師匠や風間さんと知り合ったのだから予想できたので、心の準備はもう万全だったが。

「『司波達也』と言っていたかな。直接聞いたわけではないので間違っているかもしれんがな。」

 やっぱりかよ・・・ここで俺の原作に対する考えを教えたいと思う。基本的には不干渉だ。それでどんな影響が出ようとも、ここはもう俺にとっては現実なので、流れに身を任せるのが俺の考えだ。まぁ要するに俺がやりたいようにやると言うことだ。

[ふむ、風間がそこまで言うとはな・・・錬にとっても良い・・か。]

「ええ。」

「風間隊長! 沖に軍艦を発見! 至急第一種のご命令を!」

「了解だ。総員第一種戦闘配備! 各員は準備が出来次第持ち場につけ!!」

[風間。こちらは索敵を続行。変化があり次第、お前だけに伝えるようにする。こちらもあまり手札をさらしたくないのでな。]

「了解です。あなたが索敵をしてくれるだけでだいぶ助かります。」

[錬。お前は島全体を確認して民間人で取り残されていないか調べ、風間に伝えろ。]

[はっ、父上。しかし、近くにいる軍人に説明したほうが早いのでは?]

「いや、このやり取りの感覚は独特だから、慣れている俺にしてくれ。隊員では作業に遅れが生じる可能性がある。」

[わかりました、風間さん。]

「それでは私は指揮に専念しますので。」

 そういった風間さんはすばやく作戦室と思しき場所へと去っていった。さてと、修練の成果でも見せますかね・・・・

[錬。修練の成果を試すときだ。この状況でも冷静に物事を判断しろ。おそらく海岸では戦闘が起こるからよく見ておけ。魔法を持つものとして避けては通れないことだからな。]

[はい、父上。]

 俺はまだ本当の殺し合いを経験していない。あくまで鍛錬や修練なのでそういうことはしなかったのだ。なのでこれが初の戦闘なのだ。俺が実際にやるわけではないが・・・

[錬。ためらうなよ。ためらうだけ味方が危険にさらされるからな。]

 これはいつも言われている。親父は若いときに連合の軍人を見逃してしまったために味方に被害を出してしまった経験がある。そのときは当時、直接の上司だった夜島さんが撃退したため大丈夫だった。夜島さんとはそのときの縁で今の関係になっている。夜島さんがどうして今の立場になっているのかは後日説明したいと思う。

[では・・オンッ!]

 親父が掛け声とともに集中する・・・・よし、俺も頑張るか。


 バッ


[っ!!]

 俺は懐から出した御札を使って、地の精霊で地形を把握し、民間人を探す。

 ほとんどの人はシェルターに避難しているようだ。さすが軍人。仕事が早い。これは早く終わるかも?


 タッタッタッ


 っておい!? こいつどこ行く! ってもしかして・・


 『司波達也』


 が海岸に向けて走っていた。しかも年の割には結構な速さで。

 何をしてんだ、あいつは・・・・まぁいい、とりあえず風間さんに伝えるか・・

[風間さん、おそらく『司波達也』と思う男の子が海岸に向けて走っているのを発見。判断を受けたいのですが・・・・]

「何?・・・・錬、支援に回れ。気づかれないようにな。」

 はい? いいの? ていうかたぶん『精霊の眼』で気づかれると思うけど・・・・

「おそらくあの少年は戦闘訓練を受けている。錬も気になるだろ?」

 そういう意味で気にはなっていないのだが・・・まぁいいか・・

[了解。少年の支援に回ります。]

 まぁ正直言うと実力が気になってたし・・・

 はてさて、主人公と言うのはこの世界ではどうなんのかね〜

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