「玲人ごめん…今日が始業式なの忘れてて…」
「いやいいって。
まーでも、小学校のときだったらツナをおんぶして俺が走ったのにな。」
「中学生でも小学生でも恥ずかしいよ…」
「そうか?ま、今日は遅刻確定かな…」
「やってみなきゃわかんねーだろ?」
「げっリボーン!ちょ、まっ…」
ズガンッ!
「死ぬ気で登校する!うおおぉぉぉ!!」
「…ってツナ、バック忘れてるし!リボーンもいなくなってるし。
ああもう、メンドイから走ろう…そうすりゃ追いつけんだろ…」
「…ツナはどこまで行ったんだ…あれ、笹川兄?」
ふと土煙の端に見えた人物は、前世では見たことがあるがこっちでは初めて見る人だった。
すっごい芝生みたいな頭だな…っていうか、どう見てもツナに引っ張られてるんだが…
あれキツくないのか?普通他人に片手引っ掛けたまんま宙に浮くほどの勢いで引っ張られ続けたら笑っていられないと思うんだが…
あ。学校ついた。
俺が追いついた時にちょうどツナが止まったようだ。
笹川兄が慣性の法則に従いゴロゴロと転がっていたが、少ししたら止まった。
そして起き上がり言った。
「ボクシング部に入らんか?!」
「ダメです俺を倒せたら許す。」
「それどんな無理ゲー?!それよりも今のってオレが言われたんじゃないの?
そして玲人いつの間に!!」
ツナはぜいぜいと息をしながらツッコミをいれた。
そしてつっこまれたことに俺は全て答えていく。
「一応無理ではあるが俺の弱点を押せば今のツナでも俺を倒せるぞ?
そして今のは確かにツナに向けて言われていたが、俺の許可なしにツナを強制入部とかさせるわけないし、ツナが自分から言ったんなら止めないぞ。
あと最後のは、『俺だから』。」
「最後にとても説得力のある言葉と質問全部答えてくれてありがとう。
あと玲人はこの人しっt…」
「お兄ちゃん!」
「きょ、京子ちゃん?!」
「おお京子!今勧誘して壁にぶつかったとこだ!
ということで、その勝負勝ったぁ!!」
「いつでもかかって来い。」
「ちょ、玲人!お兄さんも何喧嘩しようとしてんですか!」
「お兄ちゃん!喧嘩しちゃダメだよ!」
「…う、…京子。男はときに引いてはいけん時があるのだ…すまん!」
「大丈夫だ。軽く手合わせするだけだから、今回は見逃してやってくれ笹川。」
「ぬう…とりあえず放課後でいいか?沢田も一緒に来い。
そういえば、お前の名前はなんだ?俺は笹川良平。
笹川京子の兄で3年だ。座右の銘は『極限』!!」
「おっと、忘れるところだった。俺の名前は折川玲人。
ツナの幼なじみで親友。妹さんとはクラスメイトだ。」
「それじゃあ放課後にボクシング部の部室で待ってるぞ!!」
…嵐が去った…
「なんかごめんね。お兄ちゃんが無理言っちゃって…」
「だ、大丈夫だよ。玲人は絶対に負けないし、オレはビックリしただけだから…」
「そお?
それにしても、お兄ちゃんのあんなに楽しそうな顔、久しぶりに見たよ!
ありがとうツナ君、玲人君!!」
「いや、礼には及ばないよ。俺は喧嘩売っただけだし。」
「そうだよ。玲人、どうするの?売ったんならちゃんとしなきゃだめだよ?」
「おう。もちろん放課後ボクシング部いくぞ。
一応ツナも一緒に来てくれ。」
「良いけど…珍しいね、玲人がそういうこと言うなんて。
今日傘持ってきてないけど大丈夫かな…?」
「おーいツナくーん。今日の降水確率何%か知ってるかーい?」
「今朝のニュースでは0%だったよ?」
「ありがとう笹川。ということだ。
傘の心配は必要ないぞ。」
「えと、玲人君。」
「なんだい?笹川。」
「その…私も玲人君って呼んでるし、私の事も名前で呼んでほしいな!」
「んー、じゃあ『京ちゃん』でいいか?」
「?良いけど…呼び捨てでいいよ?」
「いやぁそれはなんか俺が言えないから。
はじめは『京子ちゃん』にしようかと思ったんだが、それよりこっちの方が良さそうだったから。
これからも宜しくな京ちゃん。」
「うん。宜しくね玲人君!」
――放課後――
さて、放課後になったんでボクシング部に行こうと思ったんだが…
出口でリボーンが待ち伏せしてるんで教室から出られないんだが。
ツナも一緒にいるから逃げるのもむずいし。
つかなんで待ち伏せしてるんだよ!何か、俺が笹川さんとやったら原作と変わっちまうからか?!
いーじゃんか俺だってたまには遊びてぇんだよ!
一応中身は30前半だけども!身体は健全な中学生なんです!!
もーいい、原作なんかしった事か。俺は俺がしたいようにする!
とりあえず今はボクシング部に行く。
大丈夫、ここは…
2 階 だ !
「獄寺。教室の鍵よろしくなー。
ツナ、行くぞー。(窓から)」
「え、ちょっと待って()の中がおかしいえ何マジで飛ぶのちょ姫抱っこはやだ怖い怖い怖いぃぃ!!」
「やほーい。」
「ぎゃあぁぁ!!」
「十代目ぇ!」
「っち!」
「ほいっと。さてツナ立てるか?って気ぃ失っちまってるや。
まあいいやこのままいこっと。」
「おっ邪魔しまーす。」
「おう。待ってたぞ!沢田はなぜ寝てるんだ?」
「俺が無茶をしたんで気を失っちまったんだ。
まあもう少ししたら起きると思うからちょっと待っててくれるか?」
「どんな無茶をしたんだ?」
「2階の窓から飛び降りただけだが?」
「なんだと!?2階の窓から…極限に男らしいな折川!
そうだ、俺が勝ったらお前もボクシング部に来い!どうだ?」
「ほう?いいんじゃないか?
俺は絶対に負けねぇからな。俺が勝ったらどうする?」
「おお!俺だけ何もないのはフェアじゃないな!
そうだな…俺にできることなら何でもしよう!」
「じゃあ今後一切ツナに勧誘をしない…でどうだ?」
「むう…俺も男だ。一度言ったからには極限に曲げん!
さあ、準備して来い!こちらはいつでもいいぞ!」
「じゃあ着替えてくる。」
「…あれ、ここ…どこ?」
「おう!目が覚めたか沢田!」
「あ、京子ちゃんのお兄さん…ってことはここボクシング部?!」
「そうだぞーツナ。じゃ、やりましょっか。
いざ、」
「尋常に…」
「「勝負!!」」
――ツナ視点――
「あー、始めちゃった…」
「もう始まっちゃってるね。お兄ちゃんも玲人君もがんばれー。」
「十代目!さっきは大丈夫でしたか?折川のヤロォ!
そこの人ー!そいつボコボコにしろー!!」
「物騒だぞー獄寺。2人とも頑張れー!」
「みんな見に来たんだ!?まあ玲人の圧勝だろうけど…」
実際、今お兄さんが攻めてるけど全部ニコニコしながら避けてるんだよね。
にしても玲人があんなに楽しそうな顔久しぶりに見たかもしれない…。
…でも、だんだんつまらなくなってきたみたい。
――玲人視点――
はあー。こんなに打ち続けてよくバテないなー笹川さんは。
でもだんだん避けるだけってのもつまんなくなってきたな…
とか思ってたら笹川さんが止まった。
「なぜ攻撃してこんのだ!
極限に本気でやらんか折川ぁぁ!!」
「って言ってもなあ。
そういえばこれって制限時間あるの?」
「いや、これは力試しのようなものだからな。時間は測っておらんぞ!」
「じゃ、俺が今から1分間攻撃するから、それに耐えられれば俺に勝ったってことでいいよ。」
「む!?それでは戦っとらんではないか!」
「いや、俺の攻撃1分持つやついないから、持ったらそれで俺の中のランキングに勝つからそれで十分だ。」
「む?よくわからんが一応戦うことになるのか?」
「ああそうだな。」
「じゃあそれでいいぞ!極限に期待するぞぉ!!」
「あ、あと俺ボクシングのルールは知らないからとりあえず我流で叩き潰すけどいいか?」
「もちろんだ!もう一度言うがこれは力試しみたいなものだからな!ドンとこい!!」
「じゃあ、ドンといかしてもらおうか…な!!」
言い終わったと同時に少し屈みながら距離を詰め、下からすくい上げるように腹に軽く(玲人基準で)一発入れた。
これで普通だったら気を失った上にリングから出ちまうんだが、どうやらそう簡単にはいかないようだ。
吹っ飛んだもののリングに張られてる紐っぽいの掴んで戻ってきたし、フラフラしてるけど気絶もしてないし。
もしかして原作より強くなってるんじゃないのか?
それとも、死ぬ気モードで本気でツナが殴ったからあんな派手にぶっ飛んだのか…
まあ、多分後者だな。
「すごいな京ちゃんのお兄さん。さすがボクシング部のエース。」
「…折川もかなり強いな!今のは極限に効いたぞ!」
「今までで俺の攻撃まともに食らって倒れないのはお兄さんだけだよ。
でも急がないと俺が負けちまうから急ぐぞ…って?!」
「ちょ、リボーン!」
ドンッ
えーー…笹川さんに死ぬ気弾って…確か変わんなかったよな。
「?なぜ俺は転んだんだ?まあいい。続きをしよう折川!」
「そうだな!」
…さらに頑丈になったとかないよなと考えながら、笹川さんの懐に入り下から骨にダメージがいかない程度に強くアッパーをかました。
「…にしても、玲人ってホント強いよね。
お兄さんには悪いけど、玲人が負けるのは考えられないよ。」
「そりゃあツナと俺の入部がかかってたし、冗談でも負けるのは嫌だしな。
まあ、今のとこ苦戦しそうな人は2人いるけど。」
「え?!玲人が苦戦しそうって…「1人はリボーンな。」
ごめんあいつ忘れてた…あと1人は?」
「ツナは風紀委員って知ってるか?」
「もちろん!風紀委員のトップの雲雀恭弥さんはとっても強くて今のところ負けなしだってってまさか…」
「そうそのまさか。この前屋上行ったらさー、トンファーで殴られそうになって。
とりあえず応戦したけど素手だとやっぱ少し痛いから飛び降りて逃げた。」
「玲人…なんで屋上から飛び降りちゃうんだよ!危ないじゃんか!!」
「大丈夫、んなことしても俺は怪我ひとつしてないから。」
「そういう問題じゃなくて!…あんまり危ないことばっか玲人がするからすごい心配なんだよ?」
「俺は毎朝階段から落ちてるツナの方が心配だけどな?」
「うっ…それとこれとは別だよ!」
「まあ細かいことはいいじゃんか。
あ、そろそろ分かれ道だな。またなー。」
「うー。また明日ー!」
そういって別れてから少しして苦笑した。
「…あー、なんか心配されるのってうれしいな。」
すごい身体の内側がポカポカする。
こういうのは、悪くないな。
――あとがき(?)――
えーっと、お兄さんが原作より周りの空気を読んでいるような、またはバカな気がするのは気にしないでくれるとうれしいです。