キーンコーン…
「ツナー。帰ろーぜー。」
「ちょっと待ってー。」
フラッ…
「?どうしたんだ?具合悪いのか?」
「ん…なんか体ダルいや…風邪かな?」
「ツナ、その手の平どうしたんだ?」
「へ?な!なんだこれっ?!」
「それはドクロ病っていう不治の病だ。
ツナ、死ぬぞ。」
「いきなり何不吉ぶっこいてんだよ!!
お前は死神か!登場最悪だぞ!!」
本当心臓に悪い登場の仕方だな。
目に見えるくらいの不吉なオーラを身に纏ってくるとか…
「今までに何発の死ぬ気弾を脳天に食らったか覚えてるか?」
「は?」
「…10発…か?」
「そうだ。丁度10発だぞ。
死ぬ気弾で10回殺されると被弾者にとんでもないことが起こるといわれてるんだ。
まさか不治の病とはな…残念だ。」
「終えるなー!
つーかなんでそんな大事な事だまってたんだよ!わかってたら…
はー…帰ろ、玲人。」
「いいのか?」
この時は、女たらしのシャマルが『男は診ない』とかいうんだよな。
…女装したらオトせるか…?
「思ったより冷静だな。」
「当たり前だ。不治の病なんて信じるかよ。
こんなの洗えばとれるよ。」
保険は大事だよな…
「…ごめんツナ。ちょっと用事思い出したから先帰るな。
あと、今日は早めに帰った方がいいと思う。
なんか嫌な予感がするから。」
「え?うん、わかった…」
「じゃ、また後でな!」
「…後でって明日と言い間違えたのかな?
玲人がいやな予感がするっていうと大抵当たるんだよね…早く帰ろ。」
俺は一旦家に帰り兄ちゃんの部屋から借りたミニワンピとショートパンツを着て、さらになぜかあったシリコン製のパッド付きブラをつけ(カップはD)、ツナの家に向かった。
ツナの家に着くと、中から何かが階段から落ちる音がした。
おーおー派手にやってるねー。めちゃくちゃうるせぇ。
さてと、基本的にシャマルは女性には優しいから上手く落とせればツナの病気を治してくれっかもしれねー。
男は診ないって言ってるが。
いざ!
「こんにちわツナ兄。お邪魔してもいい?」
「へ?!玲人??」
「何言ってるの?私は双子の妹の玲香だよ?」
俺は目線をしっかり合わせ思った。
ツナ、合わしてくれ!
「ご、ごめん…間違えっちゃった」
ツナはすぐわかってくれた。よし、第一関門突破!
「ま、いいや。それよりその腕どうしたの?タトゥー?」
「違うんだ!これドクロ病っていうみたいで…!
洗っても消えないし、だんだん気持ち悪くなってきてるし…!」
「それ治せないの?」
「そこのシャマルっていう人が治せるらしいんだけど、男は診ないって言ってて…」
「うーん…」
「おや、お嬢ちゃん可愛いね〜。おじさんとチューしよ〜。」
「ひゃぁ!」
うえ!変な声出ちまった!…シャマルが悪いんだ、いきなり抱きついてくるから!!
「キミほんと可愛いね〜。おっぱいも大きいし!」
モニュンッ!
「わ、わ!」
偽乳がシリコン製だからか、胸に当たる部分がモゾモゾ動いて気持ちわりぃ・・・!
だけど我慢だ俺!今の状態を逆手に取れば…
俺は一旦距離を取り、上目使い+真っ赤な顔で
「…シャマルさん。ツナ兄治してくれたら、いくらでもチューしてイイ、ですよ…?」
といった。すると、10秒くらい経ってから
コパァ!!と真っ赤な液体が大量に宙を舞った。
…なんか色んなとこで鼻血吹いて倒れた人がいるけど(シャマル含む)、大丈夫だよな。
「…おおぅ、ここまで可愛いデレはそうそうお目にかかれそうにねぇな…
しょうがない。君に免じて一回だけ治してやる。今回は特別だからな?はぁ。」
「あ、ありがとう!」
「よかったね!ツナ兄!!」
いやマジでよかった。あんな単純で。
確かすっごい天才じゃなかったっけ?
なのにこんな小娘1人が一回誘惑しただけでオトせるとは…
「さー、終わった終わった。さて、玲香ちゃん!
約束通り、チューさせてー!!」
「いいですけど…後悔しますよ?」
飛びつこうとしたシャマルはいきなり止まったかと思うと、
そのすぐ目の前にサバイバルナイフが刺さった。
それでも揉みにこようとするシャマルの前に全身黒づくめの黒子みたいな人が立ち塞がった。
「ちょ?!誰ですか?手いうかなんで俺ん家の中で戦おうとしてるんですか!」
「いやー、俺は約束通りチューいっぱいさせてもらおうとしただけなんだけど…」
「なんか玲香様の貞操が危なそうだったのでつい。」
「私にそういう事しようとする人は、全員こんな風に邪魔されるんですよ。」
「そうなんだ〜…」
そういってシャマルは適当に抜こうとしてるんだが、今目の前にいるのは、俺とツナの事を幼稚園の時から守り続けてきた影武者クンだ。
軽くはあしらえないと思うぜ?
――シャマル視点――
俺は玲香ちゃんというくすんだ金髪の巨乳の子からものすっごい可愛いお願い…『ツナ兄を治す』を聞いてあげたのに、いきなり現れた黒づくめの男によって邪魔されてる。
適当に抜けようと狙ってるのに全然隙がねぇし。
これは護衛付きだから手ぇ出すなってことか?
…天才を、なめてもらっちゃ困るんだけど。
――玲人視点――
だんだんシャマルの目が怪しげに光ってきたー…
「ねえ君さ、邪魔しないでもらえるかな?ちゃんと同意は得てるんだから。」
「だけど貴方の目がギラギラ光ってるんですよ。」
「まあまあ」
…約束破るのは性に合わないんだよ…むちゃくちゃシャマルがキモくても。
「大丈夫ですよ。これは私が持ち出した交渉ですから。」
「……わかりました。」
そういうと黒づくめの人は玄関から出て行った。
「さて、自分で言ったことには責任をもちますが…ほんと後悔しても知りませんからね?」
「大丈夫だって!さああっち行こうか…」
わー。はぁはぁ言っててキモーイ。
「あ、じゃあツナ兄部屋貸して。すぐ終わるから。」
ツナに心配ないという意味で言ったんだが伝わったみたいだ。
「わかった。じゃあオレ居間にいるね。」
「え、…?」
「じゃあ行きましょうか。」
なにこれ、よくあることなのという目で見られたが構わず上に引っ張っていき、
ツナの部屋に入るとパタンと扉を閉め、ベットに腰かけて言った。
「…さ、やりたいならどうぞ。
ただし、このままやると絶対後悔しますが。」
「?では遠慮なく!!」
ムチュウッ
うわっヤニくっさ!
そして頬にキスをしたシャマルはふと覗き込んだ服の中を見てやっと気づいたようだ。
俺が『女装した男』だということに。
「は?へ?んん??……んぎゃああぁぁぁ!!!!」
そのあとシャマルは真っ白な灰になっていた。