小説『寝坊しただけでからまないでください。迷惑なんで。』
作者:てた・りる。()

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「もーすっかり秋だなー。」

「夏休みもあっという間に終わってなんかさみしーなー。」

「補修ばっかだったしな。」

「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねーすか?」

その時後ろから何かが風を切る音が聞こえたので、ツナの背中の前にお弁当の蓋を差し出しておいた。

そしたら二つのイガ栗が飛んできた。

「栗もうまいぞ。」

「…イガ栗を投げるのはダメだろ。」

「リボーンだな!学校に出没すんなって言ったろ!ッイタタタ!!」

「あー…ツナごめん、言い忘れてた。」

リボーンはツナのすぐ後ろにいたのだが、着ているのがイガ栗のように棘だらけのものだったので、
後ろを振り向いたツナに棘が刺さってしまったのだ。

「ちゃおっス。これは秋の隠密用カモフラージュスーツだ。」

「100人が100人振り返るぞ!!」

「ファミリーのアジトを作るぞ。」

「はあ!?」

「へー。面白そうだな、秘密基地か。」

「子供かおめーは!アジトいーじゃないすか!
ファミリーにアジトは絶対必要っすよ!」

「決まりだな。」

冗談じゃねーよ…こんときに雲雀とぶつかるんじゃなかったっけ?
俺はファミリーじゃないから行かなくてもいいんだけど、ツナが怪我すんのわかってて放置するのもなー…
…しゃーないか…

「どこに作るんだ?裏山か?」

「なわけねーだろ!」

「学校の応接室だ。」

「「「!?」」」

あー、やっぱなー。

「応接室はほとんど使われてねーんだ。
家具も見晴らしもいいし、立地条件は最高だぞ。」

…どっかで武器調達しねーと…



「へー、こんないい部屋があるとはねー。」

「君、誰?」

あー…やっぱいますよねー。
……掃除用具入れ発見したけど、ちょっと遠いな。

「なんだあいつ?」

「獄寺待てっ…」

「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?
ま、どちらにせよただでは帰さないけど。」

「!!んだとてめー」

「消せ」

雲雀は鉄製の棒―トンファーで獄寺の顔を傷つけることなくタバコのみを切った。

ホントすごい命中率だよな。あれ結構めんどくさいんだけど。

「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、咬み殺したくなる。」

「「っ!」」

うわー、一気に空気が重くなったな。
あれ?ツナは?

「へー、初めて入るよ、応接室なんて。」

なんであんなとこに!

「待てツナ!!」

「え?」

「一匹」

まるで電光石火のように素早く近づき、勢いよくぶん殴った。
ツナは入口付近にいたのに一発で窓まで飛ばされてしまった。

「のやろぉ!ぶっ殺す!!」

まじブッコロス☆と言いたいとこだけど…

「山本、5秒だけ持ちこたえて。」

「へ?おぉ」

俺は少し離れていた掃除用具入れから箒を取り応接室に戻ると、
ちょうど山本が攻撃されているところだった。

俺は雲雀が蹴ろうとした瞬間、雲雀の足をすくい上げるように箒を振り上げた。
よし、なんとか山本は守れたな。

「…あれ?君この前屋上にいた…」

「ああそうだ。お前が初めになぐった奴な、俺の親友なんだよ。
しかも、友達も一人しっかりやってくれちゃって…
俺って結構自分の親友とか絡むとすげ〜沸点低いんだ。
つーことで…少し、遊んでやるよ。」

そういうと雲雀は少しイラッとしたのか殴りかかってきた。

それを俺は躱して流していなして、たまに攻撃した。
その間ずっと随分前に一回だけ見た『舞』をイメージして微笑みながらやってたら、
だんだん雲雀の機嫌が悪くなってきた。

その間に山本は獄寺とツナを抱えていつでも逃げれる準備を整えていた。

俺はそれを確認すると、雲雀のトンファーを思いっきり弾いた。

弾かれたトンファーは部屋の隅へ飛んでいき、俺が何で追撃してこないのかわからない雲雀は怪訝そうに
俺を睨みつけた。

「そー怒んなって。…場所変えるぞ。ついてこい。」

俺はツナたちが逃げられるように応接室から走り出した。

「僕の目の前で廊下を走るなんて、いい度胸だね。…咬み殺すっ…」

雲雀は部屋の隅に転がったトンファーを拾い上げると、
鬼の形相で走り出ていった。



学校の廊下を二人の男子が走る。
一人は箒を持って後ろを気にしながら、もう一人はトンファーを持って鬼の形相で箒を持ってる男子を
追っていた。

生徒たちは先に走ってくる玲人を見て数人(RTMメンバー)が道の端によるよう他の生徒に呼びかけ、
他の生徒たちはそのすぐ後ろを走ってきてる怒気をまとった雲雀をみて慌てて端による。

さっきからやけに走りやすいと思ったら…RTMか。
まあ、ありがたいしこのまま体育館裏行くか。


体育館裏とうちゃーく。
雲雀もしっかりついてきてるし、今頃ツナたちはリボーンが保護してるはずだ。

「こんなとこに連れてきたんだから、死ぬ覚悟は出来てるよね。」

「死ぬなんて物騒だな。大体、俺負ける気ないし。」

「…君は強いけど、草食動物達と群れてたからね。
絶対咬み殺す。」

「そういうのは俺に一発でもちゃんと攻撃当ててからでもいいと思うぜ?」

俺は余裕そうに箒をクルクル回して遊んでみせた。

まあ、ここで逃げてもいいんだけど…
今逃げると今後ことあるごとに狙われそうだからな。制限時間つけとくか。

「さっさと終わらせたいし、手加減はしてやるし、骨も折らないようにしてやっから、
長くて昼休み終わりまでな。」

「別にいいよ。そこまで持った人いないし。」

「おう俺もだ。長くて…一分弱かな。ま、そんなのどうでもいい。
…かかって来い。」


喉目掛けて突かれたトンファーを体を捻ることで躱したらまるで読んでいたかのようにそのまま横に振られ、
回避不能だと判断して無理に防ごうとしたら上に弾かれ、弾かれた箒をくるりと回して下から迫っていたもう片方のトンファーを流して距離をとった。

おいおい、いくら本気でないとはいえ、こんなに急に成長するもんか?!
これなら骸なんて簡単に倒せるぞ?…あと少しで昼休み終わるし…このままいくと、引き分けになるよな…
ま、それでいいか。めんどいし。

あと少しで昼休み終了のチャイムが鳴ろうという時に雲雀がラストスパートをかけてきた。

それこそ、チャイムの音が聞こえないくらいに。


「…雲雀ー。チャイム鳴ったんだけどー?」

「僕は聞こえなかったよ。」

笑顔で言われ、やっと気づいた。
…こいつ、狙ってやったな…!
よく考えてきればこいつディーノの時も全然やめなかったじゃねぇか…!
でももうこれ以上は付き合ってやりたくないんでね、力ずくで帰らせてもらおうか!!

…あんま力で押さえつけるのは、好きじゃないんだけどな、めんどいから。

俺は周りに人の気配がないことを確認して、リボーンでも目で追えないくらいのスピードで
トンファーを弾いて、そのまま腕を捻って壁に押さえつけた。

一瞬ポカンとしていたが、すぐに逃れようとした雲雀に、あんまり動くと腕が折れるぞというと大人しくなった。

「…で。もう昼休み終わったんで俺は帰るから、追い打ちしてくんじゃねーぞ?
やったら、そうだな…」

俺はそこでいったん切り、殺気を出してから言った。

「腕の一本や二本は覚悟してもらおうか?」

雲雀はうなだれたまま何も言わなかった。
俺は殺気を消して雲雀の腕を離した。

「無言は了承だと思うからな。」

そのあと少し警戒しながら歩いていたがひばりは追ってこなかった。


――雲雀視点――

雲雀は玲人が見えなくなってからへたりこんだ。

…人の殺気にあてられるなんてね。

さっき言っていた『腕の一本や二本』というのはきっと『骨を折る』のではなく、
…『腕を切る』という意味でいったんだろう。
そう言えるほどの殺気だった。

こんなに大きな借りを僕がタダで返すわけにいかないね。
…必ず100倍にして返すよ。

少し震えが残る足をたたいて応接室に戻って行った。


―――あとがき(?)――― 

更新遅くなってすいません。
期末試験があるのでまた少し間が開いてしまいますが、
呆れないで温かく読んでくれるとうれしいです。

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