小説『呪い使いの転生者』
作者:unworld()

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呪い使いと帰り道

俺は今日は歩いて街を散策していた。
散策と言っても買うものもなければただぶらぶらしているだけなんだが…

「ふぁぁぁ…」
「眠そうだな…」

隣から眠そうな声が聞こえる。
その声が綺麗だから不快には感じないが、眠そうこのうえない。
その声の主は矢月響だ。
俺が知りあった女子で今は高校に行っているとか…

「んで、お前はなんでそんなに眠たそうなんだよ。」
「そう?」
「ああ、眠そうとしか感じない顔だな。」

実際眠そうだ。
ただ、響の顔は性格はともかくとしてかなり美形だ。
整った顔立ちをしていて長い黒髪がよく似合う、そういったような感じだった。
こういった眠そうな顔をその一部として描かれ、まるで一つの作品のような風貌さえだせる。
これで告白されたことがないなんてことはないと思う。

「あーあれね、女の子にはいろいろあるのよ。薫」
「はいはい、わかりましたよ。響様〜」
「うっさい」

まさに一瞬、響から拳が飛んでくる。
そのスピードも体重の入れ方や力の加減も絶妙な拳…俺はそれを受け止めた。
なぜ、可憐で美しい少女が暴力的なのかを説明しよう。
それはあいつの家系にある。
かなり昔から矢月家は存在し、今や矢月流の武術が確立した。
それをすべて受け継いだのが響らしい。
響はエリート中のエリートだ。
エリートすぎて困るくらいだ。矢月の巫女として神託を聴くことができ、ましてや、今のように武術も出来る。勉強も優秀だ。
こんなエリートみたことはない。
まさに文武両道、才色兼備だ。
非の打ち所がない天才だ。
だが、彼女の凄さはそれだけじゃない。

異能の力

それがあいつ、響にはありもう目覚めている。
その力は命、すなわち魂を視る力だ。


魂は命や、感情などを統括しているものだ。

それを視るということは命や寿命や病気を視るのと同じことだ。しかし、それは響にとって重荷だ。
人の命を視るいうことは人の命が散るところを視ることができるということだ。
響は多分だが心を擦り減らしている。
もう、限界だって近いだろう。
だからこそ、あいつは言ったのだ。
誓ったのだ。

「すべての人を救いたい」と…

人の死を視たことがあるのは俺も一緒の事だった。
響は自分を救えない。だけど、他の人は救える。たまたま、偶然とはいえ俺らは同じ境遇を背負った人間だった。
だから、あいつは俺を救うと言ったんだ。

響は強い。
対して俺は強くない弱い。
人の死を経験し響は立ち上がることが出来た。
俺は…すべてを捨てた。
死の怖さ辛さを知っているはずなのに俺は人を殺したことがある。
生きることを死ぬ事を感情を仲間を…いろんなものを捨てた。
こんなブラックな奴と響のようにホワイトな奴はもう全然次元が違うのだがな…
そんなことを考えてると響が俺の顔を覗き込んでいた。

「かーおーるー聞いてる〜?」
「悪りぃ、聞いてなかった。もう一回言ってくれ」
「もうっ…だからね、今からご飯食べない?」
「おっともうそんな時間か…」

時計を確認するともう、1時近かった。
俺は別にそこまで腹は減ってないが響の方は減っているのだろう。

「そうだな。さて、何を食おうか…」
「そーねーパスタは?」
「ん、いいな。なんかうまいとこしらねぇか?」
「なら、こっちね。」

響に案内されついたのは結構お高いことで有名なイタリアンの店だった。

「確かここ、結構高いところじゃ無かったか?金あんのか高校生」
「うるさいニート、お金くらいあるわよ」
「ニートゆーな」
「仕事は?」
「……神社警備員」
「家なき子なの!?」
「同情するなら金をくれ。」
「あげないわよ!全くもう。」
「はいはい」

実際家はないがマネーはある。
ざっと、貯金は○千万くらいある。
それに仕事だって傭兵だ。
自慢は出来んが…

「さぁ、入ろっ。」
「ひっぱんじゃねぇよ。」

俺はこの扱いにすこしイラッとしながらも、別にいいとさえ、思い始めた。
響は救う人間で、俺は壊す人間だ。
それなのに、あいつは響は俺のことを認めてくれた。
それが嬉しくて、でも、悲しくて…
俺もいつかは矢月を離れなきゃいけない。しかも、多分それは遠くない未来だ。

俺たちはパスタを食べ終わりいろいろな買い物などをして帰路につく。


「んー美味しかったー」
「そうだな。」
「また…来ようね!」

響が俺に眩しいような笑顔を向けた。
来れるかどうかはわからない…だって自分が進む道さえ違えている気がする。それさえもはっきりしないのに
俺は答えた。

「ああ、来よう。約束だ」
「うん!!」

俺と響は手を繋いで歩き出した。
さて、帰ろう。
俺が一歩を踏み出した瞬間。
世界が歪み、黒一色に染まる。
目の前には俺が佇んでいた。

「やぁ、僕…」
「よぉ、なんだ、中途半端じゃねぇか」
「もう、時間だ。
君はいかなきゃいけないんだよ。」
「……そうかよ」

その瞬間黒い空間が崩壊を始める。
足場から白い光が漏れ始める。
その光は神々しく、眩い。
俺はその光に包まれ目を覚ました。

俺が起きるべき場所は海の上だ。
しかし、俺が起きた場所…それは

自宅のベットの上だった。



どうも、unworldです。
今回の話は中途半端なお話ですね。
なぜ、中途半端かといいますと、まだ、記憶を取り戻さないまま話を続けた方がしっくりくるからです。
これから無印編が急激に進みます。
無印編で新技を出そうと思います。
もし、なにか出して欲しいものがありましたらコメントをくれるとまことにありがたいです。
では、応援やコメントお待ちしております。
これからも、『呪い使いの転生者』をよろしくお願いいたします。
更新遅れて申し訳ありませんでした!

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