俺は冥界のある場所にあるお屋敷の応接室にいる。お供しているのはシャナとヘカテーだ。現在、二人はソファに座っている俺にしなだれかかり、腕に抱きついて、俺の匂いを嗅いだり、顔を擦りつけて自分の匂いを付けたりしている。
「人間風情が何の用だ?」
入って来たのは金髪の優男。そいつの後ろにはメイドと奴の女王がいる。
「お前が負けるって、忠告しに来てやったんだよ、焼き鳥野郎」
「貴様ッ!!」
焼き鳥野郎が激昂し、俺に炎を放とうとした。その瞬間、シャナが大太刀型の神器・贄殿遮那を瞬時に引き抜き、焼き鳥野郎の首筋に切先を突きつけた。それはヘカテーも変わらず、錫杖型の神器・トライゴンを焼き鳥野郎に向けている。その先端には、水色に光輝く球体に圧縮された高純度の魔力が存在している。そして、どちらも俺の前に出て、片手で俺を守るような体制を取っている。
「言っておくけど、私もソイツも不死殺しくらい簡単にやるわよ」
「グッ!」
実際、贄殿遮那の切先によって、焼き鳥野郎の首に少し傷が付いたが、本来なら再生するはずの傷が再生しない。
「止めておけ。こっちは商談に来ているだけで、現状はお前の命に興味は無いんだ。まぁ、こんな事で命を捨てたいなら構わないが」
「くそっ! 話だけは聞いてやる」
「まぁ、こっちはこのままだとお前がリアスに負けると伝えに来ただけだ」
「この俺がリアスに? はっ、有り得ないな」
「それが、ありえるんだよ。情に深いグレモリーらしく、サーゼクスが妹にルークとして、魔王と神(聖女)の力を持つ異世界の存在であるアウターを紹介したからな。このまま行けば、お前は食われるか、完全に浄化されて人生終了だ」
実際、文字通りに食われるだろうしな。あの原ベコ魔神・ミーコと同類なのだし。
「あっ、有り得ん!」
「ちなみに、そいつは存在その者が、異界の神が不死である自身を殺す為に数世紀に渡って作り上げた神殺しだ。パッシブで全攻撃に不死殺しがつくぞ」
「そ、そんな存在がいたとして、何故サーゼクスが‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥この縁談は両家の合意だぞ!」
「はっ、そんなのてめぇが、女を道具としてしか見てないからだろ。まぁ、俺も似たような物なんだがな。それでも、てめぇよりはマシだろうが。どちらにしろ、サーゼクスにとったら、大切な妹をそんな奴にはやれないって事だろうな」
「しかし‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「事実かどうか不安なら、実際に配下に襲わせてみろよ。それで、名古屋河理緒が化物だって事がわかるだろうよ。それに気付いて、俺達を雇わなかったら、それはそれで高みの見物をさせてもたらうだけだから、好きにしろ」
実際、どっちでもいい。眷属達には普通のレーディングゲームを体験させたいし、俺は俺で理緒にやり返したいだけだしな。
「良いだろう‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「連絡は駒王学園の軽音部によろしく。こっちの戦力は少なくともテロリストのシュドナイや神滅具持ちに匹敵する実力者ばかりだからな」
「ああ。それでは、手配する」
「まぁ、頑張りな」
俺は焼き鳥野郎に理緒の写真と住所を渡して帰った。もちろん、二人とフェニックス領内でデートした後だ。