小説『猟奇日記』
作者:ウィンダム()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『第四章:D氏の日記』

 私の記録を紐解いてくれてありがとう、これを読んでいるキミに感謝する、
 読んでくれるお礼と言ってはなんだが、私はキミに素晴らしい体験を提供しようと思う。

 おっと、自己紹介が遅れて失敬。
 私は生物学者のD、サイエンティストだ。
 そして職業柄か私は生き物を愛する。
 もっとも生き物を愛するのは何も私に限った事ではない、世の多くの人々が生き物を愛する。
 その愛し方も人それぞれだろう。

 ある種の人々は、全ての生き物は人間が干渉しない自然界においてそのルールに従って生きていく。
 人間はそれを静かに見守ることこそ彼らへの愛と考える。
 また、別な人々は生き物を身近な存在にするためペットとして家族のように愛したいという人々もいる。
 これらはどれも甲乙付け難いものがある。
 私はと言えば・・・、そう、後者が私のスタンスとなる。
 だから私もペットを飼っている。
 どのようなペットか?

 それはそれは愛おしくカワイイペットだ。
 そのペットを飼えば免疫力やアレルギー抑制力が高まるという素晴らしい効用もある。
 現に私はそのペットを飼っている。
 特に自然界の研究において遠くの異国へ旅立つときは必ずそのペットを連れていく。

 私の愛するペット、それは私の体内で飼育されている。
 そう・・・、私が愛するペット、それは寄生虫である。

パタン!
僕は思わず本を閉じる。
とてもじゃないがこれ以上読む気になれない。
冗談じゃない、気持ちのワルイ!

これを読んでいる皆さんだってそうでしょう? 
こんな気持ちのワルイ話を読みたいですか?
イヤでしょう? 僕だってイヤだ。

しかし、なんでこうもロクでもないヤツばかりが出てくるんだ?
飲尿マニアの変態医者に痰壺マニア、そうかと思えば剃毛マニアの変質者!
そして今度は寄生虫マニア!

  いい加減にしてくれ! もうウンザリだ!

僕は閉じた黒い本を思い切り地面に叩きつける、そして無性に腹立たしくなってくる。
どう考えてもこの本は僕を馬鹿にしている!

  人をおちょくるのもいい加減にしやがれ、バカ野郎!

地面に叩きつけた黒い本を睨みつけていると、またしても体が動かなくなる。
どうやら寄生虫マニアが僕に憑りついたらしい。

-12-
Copyright ©ウィンダム All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える