小説『HUNTER×HUNTERの世界で動物とじゃれあいたいです』
作者:唯野歩風呂()

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 「タマゴ……」


 猫ってたしか哺乳類じゃなかったっけ?

 いや、私の知ってる猫ってわけじゃないのか。……羽生えてるし。


 近づいてみると、卵は大体六歳の私と同じくらいの大きさだった(115センチくらいだろうか)。


 【もうすぐ生まれるんだよ】


 どうやら子どもが生まれたときのために馬魚と飛ぶ鶏を取ってきたらしい。


 「え、でも生まれたときは普通母乳なんじゃ」

 【母乳?我等の種族は初めから肉食だが】


 そうですか。

 私が間違っていた。
 ここは普通の世界じゃありませんでした……。


 【?何を落ち込んでおる】

 「いえ。状況を自覚しただけです」


 そう。もうここは私がいた地球ではないのだ。
 いままでの普通を普通を考えてはいけない。

 特にここは町じゃない。獣しか住まない森なのだ。


 私はここで生きていく。


 元の世界で動物関係の職業につくことはできなかったけど、代わりに素敵な能力と環境をくれたのだ。



 …………と思っておいてやるよ、ド新人神様め。


 心の中で毒を吐いて多少すっきりすると、改めてタマゴを見る。



 それにしても、すごく綺麗なタマゴだ。


 ウズウズ


 「あ、あの、触ってみても?」

 【そっとなら構わないよ】


 許可をもらい、さらにタマゴに近づくと、その白さがさらに際立つ。

 まさにシミ一つない肌!!

 私はそんなことを思いながら手を伸ばし、そっとその表面に触れる。


 「あ、すごい。滑らかであたたか――」


 ピシッ


 「っ!!??」


 さ、触ったか所にヒ、ヒビが!!??


 「ご、ごめんなさい!そんなに強く触ったつもりは――ぐえっ」


 謝ろうと声を上げた時、ヒビから白く長いものが飛び出し、喉に巻き付いた。

 見ると、タマゴのヒビの間から、真っ赤に光る二つの目がこちらを見ていた。


 「っ!〜〜〜っ!?〜〜〜!?」


 【ほら、それは食べちゃいけないよ。獲物はこっち】


 胴体にフワモコのしっぽが回され、タマゴから引き離された。

 喉を締め上げていたものが外れ、急に入ってきた空気に咳き込む。


 私の代わりに差し出したのは、先ほど獲ってきた馬魚。

 置かれた馬魚でタマゴは見えなくなってしまったが……。


 ……なんか、馬魚の身体がどんどん前に行ってないか?

 というか、前の方がだんだんなくなってきていないか!?


 唖然としてるうちに馬魚はタマゴの中に消えた。


 げっぷ


 その音と共にタマゴからポンと馬魚とおぼしき骨が出てきた。


 「いやいや!流石にないでしょ!大きさが違いすぎるでしょ!普通じゃないを通り越しておかしいでしょ!」


 と、前の私なら叫んでいたことだろう。


 しかし、馬魚の骨が出てきた瞬間に割れたタマゴの中を見たとき、全部吹っ飛んだ。


 みゃーっ


 それは、ちちゃくて白くて丸っこい、真ん丸の瞳がとてもキュートな、



 猫の赤ちゃん(羽根つき)



 ……うん。可愛いから何でもいいや!


 可愛いは正義!!








〜あとがき〜

だが人はそれを「現実逃避」ともいう…………かもしれない。

猫の赤ちゃんって殺人級に可愛いと思う。
どんな赤ちゃんでも可愛いが。

犬の赤ちゃんも好きです。特に数歩歩いてコロンと転がるところとか見ると悶絶します。





-5-
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